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    開業する前に知っておきたい成功と失敗のパターン | 勤務医ドットコム

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    開業する前に知っておきたい成功と失敗のパターン

    tokyoh@dmin2017

    勤務医として働く医師の将来のキャリアの一つとして「開業」があります。自分の城を構えて、オーナーとして働くことに夢を見る医師は少なくありませんが、実際は開業した全員が成功しているわけではなく、人知れず失敗してしまい、厳しい現実に直面している医師の方もいます。失敗を防ぐために必要なのは準備です。
    そこで今回は、開業の成功と失敗のパターンを紹介します。

    準備すべきことは多岐に渡る 一つとして怠らないように

    開業を成功させるためには、何よりも「事前の準備」が重要です。実際にクリニックをオープンするには、開業に適した土地と建物を探す、医療機器を契約して導入する、必要な備品を揃えるなど、準備段階でやるべきことが山ほどあるものです。

    勤務医を退職後に数か月だけ準備してクリニックを開業するのは難しいでしょう。短期間で無理やり詰め込んで実現しようとすると、後になってしわ寄せが生じて、経営につまずいてしまう可能性があります。

    開業医として働くことは医療行為を行うだけでなく、「経営」そのものなので、準備段階で経営者の視点を養う必要があります。たとえば、「何科で開業するか」もその一つです。当然、勤務医として専門性を培ってきた分野で開業を行うものですが、「内科」で働いていたから「内科」を掲げればいいと考えるのは少し危険です。

    なぜなら、内科は競合のクリニックが多数存在するからです。事前にリサーチをしてみればわかることですが、開業しようと考えているエリアを見てみると、内科が他にもいくつかあることがわかるでしょう。「そのときに、どうするか」が開業を成功させるためのポイントです。たとえば、そのエリアの住人の年齢分布などを調査した結果、「循環器内科」とピンポイントで打ち出したほうが多くの患者を集められる可能性があります。

    土地と立地も重要です。仮に内科がそのエリアに存在しないからといって、「ライバルがいないから開業に適している」とは言い切れません。ニーズがあってはじめて患者を集めることができるので、たとえ駅近の優良物件が見つかったとしても、すぐに契約はせず、本当にその土地で、その診療科で患者を集めることができるのか、多角的な観点からリサーチをするようにしましょう。

    開業を成功に導くために必要な「開業事前チェックシート」

    クリニックが「飽和状態」といわれている現在、開業を成功させるのは簡単なことではありません。成功の確率を少しでも上げるために、まずは開業を考えはじめたら「開業事前チェックシート」を作ってみましょう。

    これは「いつ開業するか」「何科で開業するか」「エリアはどこを考えているか」「メインターゲットはどの層か」「どのような戦略で経営するか」「資金調達はどうするか」「患者をどのように集めるか」など、項目ごとに書き出していき、イメージをリアルにしていく作業です。

    実際に書き出してみると、自分ではよく考えているつもりでも「何となく」で決めようとしていたポイントがあることに気付くと思います。それを自分自身で、また、自分だけでは難しい場合は開業コンサルタントなどに依頼して、徹底的にブラッシュアップして煮詰めていきましょう。「何となく」は絶対に避けてください。

    なかでも大事なのは「戦略」の部分です。クリニック飽和状態の現在では、「何となく」の戦略で開業しても患者を集めることはできません。そこで事前に自身の“強み”と“弱み”を書き出していき、自分にはどのような武器があるのか、そして弱点はどこなのかを確認します。

    たとえば、内科の勤務医Aさんがクリニックを開業しようとした場合、範囲を広くした方が患者が多く来るかもしれないと「内科、小児内科」と併記しようとしたとします。でも、Aさんは「小児診療の経験が少ない」という弱みをもってます。欲を出して弱みにも手を広げてしまうと、後で後悔することになりかねません。

    また、“強み”を可視化することで「高度な医療サービスを提供する」「時間をかけた診療スタイルをとる」「予防医療に重点を置く」など、付加価値となるものが見つかってくるはずです。弱みには手を出さず、強みを打ち出していくことが成功する開業の一つの方法と言えます。

    開業を失敗する医師の例

    最後に、開業に失敗するパターンをご紹介します。開業は、最初に建物や医療機器などに多額の出費をしてクリニックを設立して、その後はクリニックの売上から出費分を取り戻す(実際は借り入れた金融機関に返済していく)という流れになるので、「開業に失敗する」とは「最初の出費が大きすぎて売上があっても返済できない、または、売上が上がらずに返済できない」のどちらかを指すことがほとんどです。

    そのため、最初の出費はできるだけ抑えて開業をする方が無難です。自分の城を構えるとなると、豪華なソファなど不要なところまで高価にしようとしてしまうものですが、その出費が後々自分の首を絞めることになりかねません。人件費にしても、最初はどれだけ患者が集まるかわからないため、全員を固定スタッフで固めるのではなく、パート採用をして人件費を抑えて、黒字化した後に正規のスタッフを採用するという方法もあります。

    売上が上がらない理由もいくつか考えられますが、やはり「立地」は大きなポイントになります。不動産会社から言われた通りに契約してしまうと、「実は想定するターゲットがほとんどいなかった」ということも起こりえます。それを防ぐためにも、必ず現地を自分の足で歩き、周辺をよく観察し、徹底してリサーチするようにしましょう。

    まとめ

    開業を夢で終わらせないためには、地に足をつけた事前準備が必要不可欠です。しっかりと準備をしたうえでクリニックを開業すれば、自分も地域の人たちも笑顔にできることでしょう。
    開業については以下の記事でも詳しく解説してますので、ぜひ参考にしてみてください。

    開業する際の資金繰りと計画
    独立・開業する準備金、他の医師はどうやって集めている?

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