前回は区分所有のメリットを紹介しましたが、もちろん投資である以上はリスクもあります。デメリットについても解説しましょう。
デメリット1 空室時に収入がゼロもしくはマイナスになる
区分所有の場合、一度退去されてしまうと、当然家賃収入はゼロになります。また、管理費や修繕費は継続して入金する必要がありますので、収支がマイナスになる可能性もあります。もちろん、都心の駅近物件など好立地であれば、次の入居者は早く決まるでしょう。しかし、それでも1カ月近くは持ち出し期間が発生する場合があるのです。
ただ、好立地物件に住む人は、少なくとも2〜3年は住むことを前提にしていることが多いといえます。ですから、一度入居者がつけば、長期間にわたって安定的に収入を得ることが可能です。
より需要が多いワンルームタイプを選んだり、新築や築浅の物件を選んだりすることにより、空室リスクは大きく減らすことができるでしょう。
デメリット2 利回りが低い
これは流動性が高いことの裏返しでもあるのですが、好立地の区分物件は投資家の需要も多いため、購入金額が高くなる傾向があります。結果、一棟物件や地方の物件よりも利回りが低くなってしまいます。ただ同じ区分でも、ファミリータイプよりもワンルームタイプのほうが利回りが高い傾向があります。
デメリット3 資産が増えるのに時間がかかる
デメリット2と重なる部分がありますが、毎月のキャッシュフローが2〜3万円が基本の区分所有の場合、本業をリタイヤするだけの収入には遠く及びません。何十戸も高利回り物件を所有すれば話は変わりますが、区分所有の家賃収入だけで生計を立てられるようになるには、時間と労力がかかるといえます。
デメリット4 オーナーの決裁権が限定的
区分所有の場合、建物全体の管理に関する権限が限定的になります。たとえば、リフォームや修繕工事、共有スペースの改良なども、所有者全員の承諾が必要になります。また、地震や火災が起きたときも、自由に建物の再建を行うことができず、一棟の木造物件のように更地にして売りに出すこともできません。
ただ、室内をはじめとする所有権の範囲であれば、特にファミリータイプの場合は間取りの変更なども可能です。
デメリット5 客付けが後回しになる可能性がある
空室が出たとき、1室所有するオーナーよりも、1棟丸ごと依頼してきたオーナーが優先されて客付けをされる可能性があります。
ただ、都心・駅近の物件であれば、客付けに労力はほとんどかかりませんので、このデメリットは不動産業者が少ない地方物件に限ってということになります。
デメリット6 建物が失われた場合、残される資産がわずかになる
これはあまり現実的な話ではないかもしれませんが、万が一天災や軍事的攻撃によって建築物が完全に損壊してしまった場合、残されるのは土地の持分だけになります。都心・駅近の区分所有の場合、土地よりも建物のほうが資産比率として大きいので、建物を失った場合のダメージは甚大といえるでしょう。
以上、区分所有のデメリットについて解説しました。
区分所有のデメリットとその対策を把握した上で、不動産投資を始めましょう。