「高利回りだと言われ契約したけれど、入居者がすぐに出ていってしまった……」
不動産投資の物件を探しているとき、すでに入居者もいて高利回りの人気物件だからと、不動産業者に契約を急かされたことはないでしょうか。
このような物件を、よく調べないままに契約してしまうのはとても危険です。
そこには、契約前に想像していなかった落とし穴が潜んでいるかもしれません。
今回は「見せかけの入居者」にスポットをあててみましょう。
オーナーチェンジ物件は安心?
不動産投資をおこなう上でまず気になるのが「空室リスク」ではないでしょうか。
物件を購入しても入居者が決まらずに家賃収入を得られないとなると、毎月支払いだけが発生してしまいます。
そんな心配が不要なのが、すでに入居者がいる物件「オーナーチェンジ物件」です。
もともと住んでいる入居者はそのまま、オーナーのみが変わる場合こう呼ばれます。
購入後すぐに家賃収入を得ることができるため、投資をする側からみれば大きなメリットとして映るかもしれません。
そこに、今回の落とし穴は潜んでいます。
見せかけの入居者とは
購入前からすでにそこに住んでいる入居者。実は、売主に用意された「見せかけの入居者」といったケースが存在します。
売主は、「すでに入居者がいるので安心ですよ」と購入希望者に言って売りやすくするため、知り合いなどに声をかけ、名義を借りて一時的に空室をうめるのです。
また別の理由として、銀行が購入者へ融資をする際、すでに入居者がいるため評価が高まり、融資の審査が通りやすくなるといった一面もあります。
このように実際には住んでいない見せかけの入居者を用意することを「偽装入居」と呼びます。
契約が決まってしまえば、この入居者が退去したという連絡が入り、家賃収入が消え、ローンの支払いだけが残る上、入居者募集の費用も合わせて発生します。
偽装入居を見破るには
ここで、この偽装入居を見破る方法をご紹介します。
売主が名義だけ借りている場合、その部屋には誰も住んでいません。
購入前に現地へ行き、次のポイントを確認することで偽装入居を見破ることができます。
①カーテン
まずは窓をチェックしましょう。通常であればあるはずのカーテンがなく、中に家具がある様子もない……その部屋には人が住んでいないと考えられます。
②ポスト
空室のポストはチラシが投稿されて溢れるのを防ぐため、テープで塞がれていることが多いです。テープで塞がれていなかったとしても、チラシがあふれていたら……きちんとチェックしましょう。
③ガスメーター
ガスの使用があるかメーターを見て確認しましょう。冬場にもかかわらずガスが使用された形跡がなければ、人が住んでいない可能性があります。
④電気メーター
ガスメーターと同じく、電気メーターもチェックしておきましょう。ガスと電気に関しては、一人でチェックしていて不審者に間違えられないよう、不動産業者と一緒に行くのがよいでしょう。
⑤室内
入居者がいる場合、通常部屋の中を見ることは難しく、断られるケースが多いようです。これについてはダメ元で、不動産業者に相談してみましょう。
このようなポイントを確認し、人が住んでいないことがわかれば、偽装入居である疑いは強まります。しかし、売主が実際に人を住まわせるケースもあり、その場合は別の方法でのチェックが必要となります。
レントロールは必ずチェックする!
不動産の賃貸借条件を一覧表にした表を「レントロール」といいます。
部屋ごとに家賃や敷金、入居開始日や契約期間などの契約条件に加え、入居者の属性が記載されているものもあります。
この中で、偽装入居かどうかを見極めるためのポイントを紹介します。
①入居開始時期
入居日がほとんど最近のものだったり、古い物件なのにある一定の時期に集中していたりしたら注意が必要です。
売主が意図的に準備している可能性が考えられます。
②契約名義
複数ある部屋の契約が個人ではなく、同じ法人名義の場合も気をつけましょう。
売主が不動産業者の場合、その会社の社員を一時的に住まわせているといった悪質なケースも、残念ながら存在するようです。
③直近の契約時の賃料
周囲にある同条件の物件の家賃相場と比較して、明らかに高い家賃で入居しているようであれば不自然と言えるでしょう。
バレやすい部分なのであきらかなものは少ないようですが、売主が利回りをよく見せるためにおこなうケースも存在します。
入居者がいるからといって安心しない
物件を選ぶ上で、すでに入居者がいること自体はメリットです。
その入居者が偽物の可能性があるということ、そしてその見極め方を知った上で、不動産投資に有利な物件を選んでいきましょう!
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