総合病院などで働く勤務医は年収も高く、源泉徴収票をみると多額の所得税・地方税を納めている事実に驚愕されている方もいらっしゃることでしょう。少しでも納める税金を少なくしたい、節税したいと考えることはとても自然な流れです。では、高所得者層の医師(勤務医)が節税のためにできることとはどういったことでしょうか。
高所得者層の医師(勤務医)が節税のためにできる4つのこと
ここでは、節税のために実践できる方法と、その詳細についてまとめました。一つずつみていきましょう。
①扶養控除・配偶者控除
給与をもらい受ける勤務医として働く医師は、所得から税金の控除を受けることができます。これから紹介する2つの控除がポピュラーです。
・扶養控除→16歳以上の扶養親族がいる場合に適用されます。控除額は年齢区分によって異なります。生計を一にしている民法上の親族であることが適用条件ですので親だけではなく、祖父母も扶養家族として受け入れうるとそれだけ控除額が大きくなり、節税につながります。対象親族に一定額以上の収入がある場合、扶養家族からは外れてしまいます。
・配偶者控除→配偶者の総所得が103万円以下である場合に適用されます。控除額は一律38万円です。
この他、所得から控除されるものとして、住宅ローン控除や医療費控除、社会保険料控除、生命保険料等の控除が挙げられます。控除対象に該当しない場合もありますし、大きな節税につながるとまでは行かない場合もあるので、ここでは割愛します。
②ふるさと納税や寄付行為
地方創生を狙った「ふるさと納税制度」を通じて寄付すると、住民税の2割を控除上限に寄付額が控除されます。控除上限額以内であることが条件ですが、例として3万円の寄付で2万8千円ほどの控除が受けられます。また、寄付金に見合ったリターンも届くためお得です。日本赤十字社や自治体への寄付行為も控除を受けることができます。ふるさと納税は、特設サイトから応援したい自治体を選び寄付額と希望する返礼品を指定するだけです。支払いを行い、返礼品を受け取って完了となります。自治体から送付される寄付を証明する書類は確定申告で必要となりますので保管しておきましょう。
③不動産投資
所得税の節税を考えるほどの収入がある場合は、不動産投資も一案です。不動産の購入や不動産ローンを組んだ際の支払利息などは経費計上が可能です。そのため総所得を減らすことができ、節税につなげることが可能です。賃貸収入や取引目的の投資によって売却益を得るといった副収入を得られるメリットがあります。不動産は自身の資産となりますので、将来性が広がります。安易な投資は資産の目減りにつながるため、総合不動産会社と提携し物件の選定や購入に至るまでのコンサルを受けるのが一般的です。
④法人設立
多くの勤務医や開業医が法人を設立し、保有する土地や建物等を法人名義に書き換えています。賃貸経営や不動産投資など不動産事業を行っている場合、その事業を法人化させると、個人で支払う所得税よりも課税率を抑えることができます。個人にかかる所得税と法人税を比較すると7~10%の節税につながると考えることができます。法人の経理では、賃貸経営で発生する費用も経費計上できるため、収支によっては法人税を抑えることができます。法人設立によって個人収入と不動産収入とを切り離すことができるため、勤務医個人の収入も抑えることができ、合わせて節税につなげることが可能です。
法人設立には定款作成などを経て会社登記が必要になります。司法書士に依頼し必要書類を整えてもらったうえで、登記を代行してもらうとよいでしょう。
こつこつ節税と考えると、どうしても小手先の帳簿操作などにつながり、最終的に「脱税」と見なされることもあります。違法行為にならぬよう健全な資産運用を試みましょう。特に、総合不動産会社が開催する不動産投資セミナーに参加することで節税の方法等も学べる機会があります。