不動産投資を行う上で、多くの目的は「収益を得ること」が一番となりますが、医師や経営者など兼業で不動産事業を行う場合「節税効果」も見込めます。
では、どのような仕組みで節税効果が現れるのか、節税のために行う不動産投資ははたして有効なのかも検証してまいります。
不動産投資に関係する税金の種類
不動産投資を行うことで、節税効果を見込むことができます。
ただし、不動産の所有者と節税目的の税金の種類によってその仕組みが変わってきます。
では、詳しく見て行きましょう。
給与所得者である個人や法人が行う不動産投資の場合、所得税や法人税を節税することができます。
個人が投資用の住宅を購入し、収入以上に経費がかさんで、不動産事業に赤字を計上した場合は、確定申告によって、勤務先から源泉された所得税が還付されます。
法人も同様、不動産事業も会社の事業に組み入れ、納めるべき法人税を算出することが可能です。
また、個人が遺産を相続することによって多額の現金を相続したというケースも節税の対象となります。
現金を住宅投資に組み替え、土地や建物に変えることで財産の評価額を下げることができます。
それによって相続税が算出されるので、最終的に節税につながるのです。
不動産投資をすることがなぜ節税につながるの?
まず、不動産投資は事業として認められています。
不動産投資を行う際に発生する税金や損害保険料、修繕費や借入金利息を含む12の項目が経費として認められています。
家賃収入や経費を計上し、本業の収入を合わせて申告をすることが可能です。
不動産所得は税務申告上の「損益通算(そんえきつうさん)」の対象となっており、損失が生じた場合、その額を総所得金額から控除できる仕組みがあります。
これによって、所得税の節税効果が生まれるのです。
個人・法人で節税効果は変わる
個人の年間の総所得に着目しましょう。
給与と不動産収入の合計が1,300万円を超えると累進課税によって所得税の課税率が高くなります。
一方、法人名義で所有している資産に対する法人税の課税率は変わらず、年収1,300万を超える個人と比較すると7%~17%ほど税率が低くなるため、投資物件は法人所有にすることで節税につながると考えられます。
年収1,300万を超える医師などが、本業の収入の他に安定した家賃収入を得ている場合は、不動産事業をメインとした別会社を立ち上げ、個人収入と不動産収入を分けることで節税対策につなげることができます。
節税のみを目的とした不動産投資は有効なのか
冒頭にて「不動産投資を行うことで、節税効果を見込むことができます。」と述べましたが、あくまでも「節税」は不動産投資がもたらす効果のひとつであり、「節税のみを目的として不動産投資をする」というのは厳密にいえば得策とは言えません。
初年度には多額の経費がかかるため赤字を出すことができますが、次年度以降は家賃収入も安定しますし、初期投資として投じた修繕等の費用もほぼ不要になるでしょう。
そのため「節税を目的とした赤字」を出すことが難しくなります。
また、相続税対策のために遺産である現金を不動産投資に使う場合、目先の節税だけで格安物件の購入を考えるのは注意が必要です。
家賃収入などの収益が見込めなければ、遺産の有効活用にはつながりません。
手放したとしても、購入時より低い価格でしか売れず売却損が発生します。
もちろん投資物件の売却で得た金額にも不動産所得として課税されますので、税金を無駄に支払ってしまう結果につながります。
不動産投資は、「節税のため」や「土地の値上がりを期待した先行投資」という考えだけには固執せず、「家賃収入から長期的な安定収入を得る」ための投資と捉えることも大事です。
あくまでも節税対策のひとつとして不動産投資という手法があるととらえるのが大切です。
個人収入を得ている方で、不動産投資と節税に関することは一度勉強をされることをおすすめします。
総合不動産会社等が開く不動産投資家向けのセミナーに参加することや、税理士に相談をすることが一般的です。
正しい節税を心がけることで、自己資産も増やすことができメリットが生まれます。