前回の「こんな物件に気をつけろ!本当は怖い地方物件…」に引き続き、今回も地方物件×不動産投資の怖い話です。
前回の記事では、主に物件の条件についてと、周辺を取り巻く会社の質と数についてでした。今回は、エリアそのものです。
世の中には、不動産投資をしてはいけないエリアというのが、存在します。
してはいけない、これが何を指し示すのか?
シンプルです。不動産投資をそのエリアでしてしまうと、確実に損をするエリアです。
元々の地主でさえ、つまり土地をタダで持っている人たちでさえも、苦労している事でしょう。
どんなエリアが該当するのか?見ていきましょう。
賃料が安すぎる地方は、不動産投資禁止!
まず基本的に、賃料が安すぎる地方での不動産投資は、やめておいた方が良いと思います。
具体例を話します。
物件A「1室3万円、20室、年間家賃720万円、物件価格6000万円」
物件B「1室6万円、10室、年間家賃720万円、物件価格6000万円」
どちらも同じ利回りですが、購入するとしたら後者の物件Bを購入した方が、基本的には良いです。1室あたりの賃料が高いからです。
「え?利回りが同じなのだから、変わらないのでは?」
と思うかもしれません。しかしながら利回りが同じでも、賃料が異なれば、部屋数が異なり、部屋数が増えれば、経営コストが上昇します。
具体的に、部屋数が増えると増加するコストは
・リフォーム代
・客付けに伴う広告費、仲介料
・共用部分のランニングコスト
などです。
これらのうち、共用部分のランニングコストは、家賃が仮に2倍だとしても部屋の広さが2倍であれば、そんなに変わりありません。しかし部屋数が増えると、入退去の回数が増えるため、それに伴う広告費や仲介料は確実に負担が増えます。また、当然ですがリフォーム代金もかかります。
以上から、賃料が安すぎる物件しかないエリアは、利回りが高くても経営効率が悪いので、避ける方が良いでしょう。
ただ、この話は「賃料がお化粧されていない」前提です。妥当な賃料である前提です。
仮に賃料がADやフリーレントなどで不当に上げられた、お化粧をした賃料であれば、これは高い方の家賃が実際の市場価格から乖離していて、レントロールが真実とは異なるという事になりますから、家賃が高い方の物件は怪しむべきです。
周辺の仲介業者へのヒアリングなどから、賃料の妥当性を判定した上で、1室の家賃が高い方の物件を、他の条件が同じであれば選ぶようにしましょう。
特定の需要に支えられる地方は、不動産投資禁止!
都市部では、あらゆる需要が複雑に混ざり合って、賃貸需要を形成しています。どこかの会社が倒産したり撤退したからといって、都市部であれば代わりに誰かが参入してくるだけなので、そのエリアの賃貸需要は基本的に衰える事はありません。
しかしながら、地方の場合は話が別です。
地方物件の場合、特定の会社や工場に賃貸需要が依存しているエリアがあり、それは大きなリスクです。その会社が倒産したり、工場が撤退してしまったら、そのエリアの賃貸需要は壊れてしまいます。
そのため、可能であれば工場や企業だけでなく
・市役所などの公的機関
・病院などの公的機関
・駅近、道路付けが良いなどの交通利便性
による、賃貸需要を支える別要素があるエリアを、選ぶようにしましょう。
そのためには、やはりある程度土地勘のあるエリアか、地図を読み込んで実際に足を運んで、決めなければ危険です。
地方物件は特有の旨味もありますが、リスクも特有で、それらをヘッジするために購入に至るまで、それなりの労力がかかってしまうのがネックです。
医師のような忙しい方で、不動産投資初心者であれば、基本的にはまず都心部の物件が良いでしょう。まず「不動産賃貸ってこんな感じなんだ」というのを、安全圏から実感していただく必要があるかなと思います。
大規模工場の撤退によって、賃料が破壊されたとある地方から学ぶ
実際、大規模工場の撤退によって賃料が破壊された、地方があります。
元キヤノンの工場があった、大分県杵築市、国東市です。
家賃0.1万円の衝撃!?
http://blog.livedoor.jp/inomata104_ab/archives/18082174.html
SUUMOで検索すると、国東市では家賃0.6万円の物件が、今も出てきます。
https://suumo.jp/chintai/jnc_000044612540/?bc=100289278945
築34年ですが、外壁塗装がなされキレイで、駐車場付き(笑)6部屋中4部屋が募集中のようですね。
もはやこれでは、管理費などを支払って、固定資産税を支払って、適宜修繕を加えたら、どう考えても赤字になってしまうと思います…。
持っているとお金が出ていく物件。タダで物件を売っていたとしても、もらいたくないですね…。
このように、1つの需要に支えられている地方のエリアにおいて、その需要が消えるないしは減少する事で、需要と供給が完全に壊れてしまうと、賃貸業が全くもって成り立たなくなってしまいます。
これは本当に恐ろしい事で、土地を持っていた地主さんでさえ、損をする事になるでしょう。物件を売るのも、おそらくほぼ無料でさえ、買い手は限られてくると思いますから。
逆に消費者的な立場でいけば、最悪何かあったらここに逃げ込んで、ネットとパソコン1台でなんとかなる仕事で稼げば、食ってはいけそうです(笑)経済的弱者のセーフティーネットという意味では、機能しているのかもしれません…。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。
URL:https://bluestorage.co.jp/
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