みなさんこんにちは、医師で不動産投資家の大石です。
不動産の世界では、2月と3月が繁忙期です。退去も入居も、かなりの数がこの月に一気に流れ込みます。最近はコロナの影響で、転勤を若干あえてずらす企業なども出てきているようですから、4月に多少ずれ込むところもあるみたいですけどね。
さて、そんな繁忙期を終えて、医師である僕が不動産投資家として何をやって、一体どうだったのかという事について、話そうと思います。
繁忙期前に「いかにポータルに乗せるか」が重要
既存で空室の部屋に対して、空室募集を繁忙期で埋めてしまいたいわけですが、一体何をやるのが良いでしょうか?
重要なのは、エリアにもよりますが、基本は「ポータルにいかに掲載させられるか」です。
ポータルとは
・アットホーム
・SUUMO
・ホームズ
など、いわゆる「空室一括検索サイト」です。基本はアットホームとSUUMOが2強で、都心の若い人ほどSUUMOの方を見ていると言われています。
こちらのポータルに、繁忙期前になるべく掲載させたいわけですが、これが中々、複雑な利害関係があって難しいのです。
不動産屋さんと大家の利害関係は複雑
まず大前提として、不動産屋は客付けに費用をかけたくありません。
ポータルへの掲載は当然有料ですから、しないでお客さんつけて入居させる事ができれば、それに越した事はないと考えるわけです。
そして、可能ならば自社で客付けをしてしまいたいという心理もあります。
不動産会社の収入は、概ね入居者からの手数料(家賃1ヶ月分)と、大家さんからの広告費(家賃1ヶ月分)によって成り立っています。
例えばA、Bという会社があったとしましょう。僕はA社に入居付けの依頼をしたとして、A社からすれば自社でお客さんを見つけてくれば、お客さんからも僕からも、家賃1ヶ月分ずつの手数料を得られる、つまり合計2ヶ月分の手数料を得られるわけです。
これを両手取引と呼びます。
一方でA社が、自社での客付けが困難だと判断しB社に依頼して、お客さんをB社が引っ張ってきてくれたとしたら、お客さんからの手数料はB社に入って、A社がもらえる手数料は僕が支払う家賃1ヶ月分の手数料に減ってしまいます。
これを片手取引と呼びます。
こういった構造から、実は不動産会社さんと大家サイドは、完全に利害が一致しているとは言い難い状態であり、その状態からも「放置していると基本は食い物にされる」のが、不動産の世界です。
これは別に不動産屋さんが悪いわけではなく、単純に構造の問題なのです。ただし、長年こういった構造でやってきて成立している業界なので、なかなか変えるのが難しいとう状態だとも言えます。
ポータルサイトの話に戻ります。ポータルサイトに情報を掲載すれば、当然ながら世の中にその物件が貸しに出ているという情報は、一般顧客にも知れ渡りますが、不動産業界の同業他社にも知れ渡ります。
両手取引を完成させる可能性が、低くなってしまうわけです。
ポータル掲載そのものにお金がかかるだけでなく、手数料収入も半分になってしまうかもしれない。そんな取引を不動産屋さんが、好んでやるわけありませんよね?
このように、不動産屋さんと大家さんの利害関係はかなり複雑であり、まずはこの構造を理解した上で、大家としてできる事をやっていく事になります。
とりあえずは「早めに賃貸募集に出してもらう」事から
では一体、大家は何をやるべきか?僕が思うに、基本は「とにかく早く賃貸募集に出す」事が大事だと思います。
まず世に賃貸募集に出して、すぐ埋まってしまえば問題ありません。
むしろそんなにすぐ埋まるようであれば、家賃が安過ぎる可能性がありますから、賃料を多少上げてしまっても良いかもしれませんね。
次に、賃貸募集を早めに開始して、もし埋まらなかったらどうでしょうか。埋まらなければ「埋められないあなたが悪い」と、多少不動産屋さんを攻めるには良い口実になります。
先ほども申し上げましたように、利害関係が複雑ですから、いきなり両手を諦めろとか、あらゆるポータルサイトに掲載させろとか大家サイドが言うのは、若干野暮です。不動産屋さんの気持ちも理解してあげましょう。
しかし賃貸募集に出して埋まらないのであれば、話は別です。早く埋めるために両手を諦めてもらって、一般募集で出してもらったり、他社の仲介にも営業に行ったり、あらゆる仲介業者経由でポータルサイトに掲載させるのは、話の筋としては通っています。不動産屋さんも納得してくれる事が多いと思います。
以上から、まずは賃貸募集を早めに出す、という事を始めるべきでしょう。
不動産の繁忙期は、医師をしながらでも乗り切れる
そんな微妙な駆け引きをやりながら、2022年の繁忙期を終えて、おかげで僕の物件は全て満室になっています。
満室だと本当にやる事がないので、自分が不動産を持っている事を忘れそうになりますけど、1ヶ月に1回、不動産屋さんからの家賃振り込み明細書が郵送されてくるのを見ると、自分が大家だという事を思い出させてくれます(笑)
やってみてわかりますが、大家としての不動産の繁忙期は、医師をやりながらでも乗り越える事ができます。もちろん、慣れるまで多少のコツと時間は必要ですが、1度乗り越えてしまえば正直そんな苦労することはないです。
逆にこの程度の努力で、医師に加えて不動産という収入を自分に組み込むことができるというのは、有難い話ではあります。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。