医師のなかでも豊かな人とそうでない人とに二極化していることは、「医師=お金持ち」はウソ!? 二極化する医師の収入実態で触れたとおりです。それでは、医師のなかでも勝ち組となっている人たちはどのような金融リテラシーを持っているのでしょうか?
資産運用の重要性を知っている
2014年、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』(みすず書房)が大ベストセラーになりました。
この著書のなかで、ピケティ氏は『r(資本収益率)>g(国民所得の成長率)』の不等式で「資本主義の根本的矛盾」を表しました。投資で得られる利益の伸び率は、労働賃金の上昇率を上回るということです。つまり、「たくさん働く人よりも、資産をうまく運用できる人のほうがお金持ちになりやすい」という真実がアカデミックに解明されたといえます。
お金持ちのドクターは、この法則を理解しているので、何らかの資産運用をしています。たとえ本業が忙しく金融の勉強をする時間がなかったとしても、最低限必要な知識を身につけて行動しているのです。
投資とギャンブルの違いを知る
資産運用と聞くと、「そんな怖いことできない」「結局損しそう」「だまされそう」とマイナスイメージを抱く医師もいるでしょう。
しかし、投資とギャンブルは違います。
ギャンブルは勝負事にお金を賭けて、勝者が一定割合の配分を受けるものです。賭け金の総額より少ない金額を参加者が取り合う仕組みなので、確率論で考えると、賭けを続けていくうちに必ず損になります。いわば「ゼロサムゲーム」なのです。
最近の仮想通貨ブームも、基本的な仕組みすら知らず「儲かりそうだから」という理由で始めている人が多いですが、これもギャンブルです。宝くじも同様といえるでしょう。
しかし、投資は「参加者が必ず損をする」仕組みにはなっていません。
たとえば、不動産投資は、売り手も買い手もウィン・ウィンになることが大半です。売り手はビジネスですから利益を乗せて販売するわけですが、投資家は購入した物件を運用したり、売却したりすることで乗せられた利益以上の収入を得ることが可能なのです。
もちろん、不動産投資にもリスクは存在します。
しかし不動産投資の場合、リスクへの対処方法は確立されており、知識を身につけたり、あるいは一部の業務を専門家に委託したりすることで、リスクを軽減することができます。ぜひ「投資=危険なこと」という先入観を捨てて、一歩踏み出していただきたいと思います。
知っておきたい投資の落とし穴
ただし、投資のなかには想定外の手数料がかかったり、なかには詐欺のものがあったりするので注意が必要です。
たとえば、投資信託は購入時に3%の販売手数料がかかります。つまり、利回りが3%以上にならないと買った時点でマイナス益になるのです。ネット専門の証券会社なら手数料が無料のところもありますが、十分な比較検討が必要です。
また、一般的に知られていない金融商品も注意しましょう。有名人などを起用し、派手な広告で出資者を集めた詐欺事件は、最近だと仮想通貨業界を中心に数多く発生しています。
高所得者である医師は、ターゲットにされやすいもの。注意が注意です。