投資物件の購入をすすめる不動産業者は、いつも誠実に説明をしていますが、実は顧客が契約を締結するまで“あえて語らない”事柄があります。彼らは、「我々プロに安心してお任せください!」と胸を張りながらも、そのことについてまったく話しません。しかし、彼らが話さないでいること自体に罪はありません。なぜなら、投資リスクは自己責任だからです。そこで本記事では、投資初心者が気づけないリスクについて解説します。
目次
「不労所得」という響きだけに騙されてはいけない
株や投資信託などの金融商品の投資と異なり、不動産投資は物件を「購入すれば終わり」ではありません。「不動産投資は不労所得なので、多忙な方に最適です」などと購入を勧めてくる不動産業者もいますが、それは事前の説明不足といっても過言ではありません。
安定・高収入である医師(勤務医)は、金融機関にとっても理想的な顧客。積算評価が高い物件であれば、すぐに融資をしてくれます。積算評価とは、土地の価値と建物の価値を数値化し、合算して評価するものです。土地は、前面道路の路線価や最寄り駅までの距離で計られ、建物は、構造と築年数で計られます。
購入者が物件を吟味せずとも、金融機関がこの積算評価で物件の良し悪し、すなわち、融資(=投資)するにふさわしい物件であるかどうかを計ってくれます。たとえば「駅まで徒歩10分圏内のRC造新築マンション」程度の条件をクリアしており、購入者が医師ならば、融資はまず通るでしょう。
しかし、「駅に近い新築」だからといって、必ずしもすぐに入居者が決まるとは限りません。たとえば、近隣の競合物件とくらべて間取が良くない、または設備のグレードが低いなど。そこまでの調査は金融機関の範疇ではありませんから、物件購入を決める前に、投資家自身が入居者ニーズを調査・研究しておく必要があります。
さらに以下では、不動産投資をする際に必ず知っておくべきポイントを、細かく3つにわけて見ていきます。
ポイント1:不動産投資を始める前に「グロス」と「ネット」の違いを知ること
投資物件を探す際に、ほとんどの方がインターネットの不動産ポータルサイト(スーモやホームズなど)を参考にするでしょう。そういったサイトの物件概要欄に「利回り6%」など表記がされているものがあります。
これは賃貸中の投資物件(オーナーチェンジ物件)で、現在どの程度の利益が得られているかをあらわしていますが、こういった不動産広告に掲載されている「利回り」は、ほとんどがグロス利回り(表面利回り)です。グロス利回りとは、現行の年間家賃収入を販売価格で割ったものです。しかし、このグロス利回りは現実的な数字ではありません。
投資家が見るべき数字は、管理費や修繕積立金、固定資産税などの経費や、設備の突発的な故障などが発生した場合に見込まれる修繕費(おおむね賃料の3~5%で算出)を年間家賃収入から差し引いて算出した「実質利回り(ネット利回り)」です。実際計算してみると、グロス利回りで6%あった物件が、ネット利回りだと5~4%と非常に薄利になってしまうはずです。広告を鵜呑みにせず、投資家自身で再計算することをおすすめします。
ポイント2:契約前に「重要事項説明書」を熟読しないと危険!
不動産を購入する際にもっとも熟読すべきは、売買契約書ではなく「重要事項説明書」です。これはいわば、「不動産の暴露書」です。売買を仲介する不動産業者は、取引に際して自らが知ったすべての情報をこの書類に記載しなければなりません。知っていて記載漏れがあると、説明義務違反で罰せられます。「この件は都合が悪いから内緒にしておこう」は一切できません。それは不動産物件の売主も同じです。
重要事項説明書は、契約時に初めて見せられるケースもあり、その場で有資格者が読み上げますが、肝心な部分を聞き逃したり、良く読まずに契約書にサインしたりしてしまうと大変です。たとえば、過去この土地から汚染物質が出た、売主が修繕積立金を滞納しているなど、これまでまったく話が出なかった情報が書かれている可能性もあります。契約前に必ず熟読しておくことをおすすめします。
ポイント3:一棟アパート・マンション経営を左右する「管理会社選び」
区分マンションならば、1室・1世帯のみなのでオーナーの自主管理も可能かもしれませんが、1棟となると、複数の世帯の面倒を見なければなりませんから、日々多忙なオーナーなら不動産管理会社に業務委託することが賢明でしょう。皆さん、インターネットのホームページなどを見て、イメージの良い会社に依頼するのでしょうが、イメージとは裏腹に、入居者に対して不誠実な対応を重ねる管理会社もあります。
その事実はなかなかオーナーには感じ取れません。管理会社はあくまでもオーナーにやさしく、入居者に厳しいのです。管理会社に不安を感じたら、1ヵ月に1度程度は現地視察に行くことをおすすめします。ホコリやゴミが山積みする共用部、無造作に置かれた放置自転車、生い茂る雑草などを発見したら、すぐに管理会社を変えるべきです。ずさんな管理体制下では建物の老朽化も急速に進み、資産価値が下がってしまう可能性もあります。
管理体制が良好な会社でも、「空室がなかなか埋められない=営業に弱い」会社もまた問題です。企業規模はどうであれ、管理部門と営業部門が明確に分類されており、駅前に路面店を構えているような会社であれば、入居者募集営業力にも期待ができます。
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