「とても安い郊外の物件が気になるけど、長い目でみるとどうなんだろう」
不動産投資を検討する際、その入り口となるのが投資物件の選び方です。同じ築古物件であっても、都心と郊外では運用方法が変わってきます。
この記事では毎回モデルケースを設定し、購入から10年後までの収支をイメージしていきます。
今回のモデルケースは「郊外の築古ワンルームマンション」です。
(文章中の金額はあくまでもモデルケースを想定した概算金額です)
モデルケース
物件種別 | 区分マンション |
築年数 | 築25年 |
物件価格 | 800万円 |
エリア | 町田など郊外エリア |
広さ | 21.00平米 |
家賃収入(月額) | 4.5万円 |
金利 | 1.9%(固定) |
都心エリアの築古マンションのため、購入価格は同エリアの中古マンションより更に低めに設定されています。
それでは購入〜10年目で売却するまでの収支イメージを見てみましょう。
収支イメージ
①初期費用
初期費用の一般的な目安として、物件価格の10%程度となることが多いようです。
②ランニング費用/家賃収入(年間)
〈表面利回り〉
年間の家賃収入54万円 ÷ 物件価格800万円=0.068
〈実質利回り〉
(年間の家賃収入54万円 – 年間費用18万円)÷ 物件価格800万円=0.045
今回のモデルケースは表面利回り「6.8%」、実質利回り「4.5%」となります。
調達金利が1.9%のため、800万円 ×(4.5%-1.9%)=208,000円
年間で約21万円の収入が見込める計算になります。
③売却時
不動産の売却益である「譲渡所得」の計算方法は以下のとおりです。
売却代金-取得費-譲渡費用=譲渡所得
・取得費=購入時の取得価額から所有時に計上した減価償却費を差し引いて算出した帳簿価格。購入時の取得価額には、「仲介手数料」「固定資産税精算金」などの諸費用も含まれる
・譲渡費用=売却に要した費用。「仲介手数料」「司法書士費用」「測量費」「売買契約書の印紙」「立退料」など
今回は売却代金を購入時の90%の720万円、減価償却費の合計を概算で237万円、譲渡費用の合計を概算で100万円として計算すると
売却代金720万円 -(購入価格800万円 – 減価償却費合計237万円 – 諸費用約70万円)- 100万円=127万円
この127万円が、物件を売却したことで得られる譲渡所得(売却益)となります。
※この譲渡所得127万円に対しては、税金が発生します。
④リノベーション費用
物件を所有している10年間のうち、入居者交代のタイミングなどでリノベーションを行う場合、その費用が発生します。1回につき、約60万円程度を購入前に見込んでおきましょう。(エアコン・キッチン・給湯器・洗面台・床や壁の張替など)
⑤空室によって発生する費用
郊外のエリア、更に築古物件ということで、一度入居者が退去してしまうと空室期間が長くなることが予想されます。仮に1年決まらなかった場合、家賃×12ヶ月=54万円の収入が入らないことに加え、募集のための広告費用も発生します。入居者が決まりにくいエリアでは、家賃×3ヶ月分の広告費用を覚悟しておきましょう。
モデルケースにみる不動産投資の特徴
今回のモデルケースである「郊外の築古ワンルームマンション」、購入〜10年間のシミュレーションはいかがでしたか。最後に特徴を見てみましょう。
〈メリット〉
・物件価格がとても安い
・価格交渉がしやすい
・築浅よりも家賃の下落幅が緩やか
・不動産投資の実績を作りやすい
〈デメリット〉
・空室リスクがとても高い
・年数経過&郊外エリアのため売り手がつきにくい
・家賃収入に対して管理費用など経費の割合が高い
・ユニットバスなど古い設備は人気が低い
・水道管など老朽化による破損のリスクが高い
築古物件は築浅物件に比べ価格は安くなりますが、郊外のエリアとなると空室リスクはとても高いといえるでしょう。購入時に欠点を調査して指摘したり、相続物件で売主が困っていたりといった理由があれば、価格交渉はしやすくなります。
管理の部分で突発的なコストが発生するリスクや、家賃が安く入居者の属性が低くなりがちなため、入居者によるトラブルも少なくないでしょう。
物件の価値としてはかなり低いので、売却するのが困難なことも予想されます。今回は売れた場合で算出していますが、実際利益を出すためには相当の経験に加え、運の要素も必要になるでしょう。
まずは利益の出しやすい物件で不動産投資をスタートし、その後物件数を増やして
実力が高くなった時に検討すると良いかもしれません。
様々な物件の特徴をおさえ、自分の投資スタイルと照らし合わせ、その上で利益につながる不動産投資をしていきましょう!
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