「修繕積立金が相場よりも安いようだし、この物件で決めても大丈夫かな……」
不動産投資の物件を探しているとき、修繕積立金が相場よりも低く設定されていて、不動産業者からおすすめされたことはないでしょうか。
不動産投資の収支を考えるにあたり、月々発生してくる費用。その種類と正当性については、事前にしっかりと確認しておかなければなりません。
そんな費用のうちのひとつ、「修繕積立金」に今回の落とし穴は潜んでいます。
修繕積立金とは?
修繕積立金とは、物件の状況を診断したり、修繕工事を行ったりするために充てられる費用のことです。区分の所有者から毎月決まった金額を徴収し、大規模な修繕工事に備えて積み立てられます。
この金額を決める際、もとになるのが「長期修繕計画」です。
長期修繕計画とは、マンションの管理組合が作成する長期的な修繕計画で、マンションの各箇所に関する大規模修繕(外壁・鉄部の塗装や屋上防水、給排水管の工事など)の実施時期とその費用についての予定を取りまとめたものです。
この計画は10年〜30年程度の期間を対象としており、それをもとに積み立てる修繕積立金には3つの方式があります。
修繕積立金・3つの方式
それでは順番にみていきましょう。
①均等積立方式
資材・数量等を勘案した上で、長期修繕計画の期間中に必要となる費用の総額を算出し、計画期間の月数で割った額を徴収する方式
②段階増額積立方式
均等積立方式と同じ様に計画期間の費用総額を算出し、購入者が当初負担する金額を軽減するため、定期的に段階的な増額を行い、最終的に必要総額と一致させる方式
③一時金徴収方式
①・②と同様に費用総額を算出し、積立金総額との不足額を明らかにした上で、大規模修繕工事など多額の費用を要する時期に、各戸から一時金を徴収することを前提としている方式
この中で一番理想的なのは①の均等積立方式ですが、実際は的確に金額・数量・時期の把握が難しいため、②の段階増額積立方式がメジャーとなっています。
③の一時金徴収方式では、事前に立てた計画と実際に必要となる費用に大きな開きがあった場合、一時金の負担が大きくなります。
修繕積立金に潜む落とし穴とは?
修繕積立金に潜む落とし穴は、大きく分けて2つあります。
①急な値上がり
②想定していなかった一時金
この二つは、計画していた金額と実際の費用に開きがある場合に発生してきます。
修繕積立金は一般的に数千円〜1万数千円で設定されています。この金額の根拠となる長期修繕計画がしっかり練られていないと積立金学が不足してくるため、急激な値上げにつながることがあります。3〜5倍、ひどいケースでは10倍になることもあるようです。月々5千円だったのが、気づいたら3万円……収支を見直す必要性がでてきます。
もっとこわいのが一時金徴収方式を取っていた場合に、修繕箇所が計画に組み込まれてすらいないケースです。
機械式駐車場には要注意!
具体的な箇所のひとつとして、「機械式駐車場」が考えられます。
平置きの駐車場なら良いのですが、都心ではそのスペースがなかなか確保できないため、機械式駐車場を導入しているマンションがあります。これには地域の条例によって定められている「駐車場附置義務」という法的なしばりも影響しており、今後車の保有率が下がっていったとしても、駐車場自体をなくすことは容易ではないと予想されます。
月々のメンテナンス費用は区分所有者の経費となり、また25〜30年の耐用年数が過ぎた後の新品交換費用は、1台のスペースあたり100万円が目安のようです。15台ぶんなら1,500万円の費用が発生します。
この交換費用について、マンション管理組合が長期修繕計画に見込んでいない場合は要注意です。
購入前に、計画の確認を
先述した機械式駐車場だけに限らず、修繕計画から漏れやすいものはいくつかあります。新築後、はじめての大規模修繕ではまだ不要な箇所も、2〜3回目にまとまって必要となる場合もあるので、どんな計画がたてられているかは購入前にしっかりと確認しましょう。修繕金の積立計画と積立状況もあわせて確認することで、落とし穴を回避できるかもしれません。
また、購入前に物件へ足を運び、共有部やゴミ置場の状況をチェックすることで、管理体制のレベルを確認しておくことも重要です。「管理」に対する姿勢が低い物件は、購入後にトラブルが多発する可能性が大きいからです。
管理体制と修繕計画を確認し、物件を所有する期間と大規模修繕の時期を照らし合わせて検討した上で、有利な不動産投資につながる物件を探していきましょう!
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