不動産投資には高額な資金を伴います。
不動産収入を期待し、融資を受けて投資物件を購入したけれど、返済途中で病に倒れてしまったら不動産経営の先行きが危ぶまれることがあります。
不動産投資をすることが生命保険代わりとなるといわれることがありますが、それはどういった理由からでしょうか。
一般住宅ローンの際にも適用される「団体信用生命保険」をクローズアップし、加入条件や一般的な生命保険との違いについてまとめました。
不動産投資が生命保険の代わりとなりえる理由とは?
不動産投資の場合、アパート一棟やマンションの区分購入などによって、大きな費用を伴います。
購入費用の捻出には、温存させる理由から自己資金は使わず、ほとんどのケースで不動産投資ローンによる融資を受けます。
融資期間中にローン契約者が「死亡または高度障害状態」に陥った場合、賃貸経営が立ち行かなくなることもありますし、ローン返済も滞る可能性があります。
このようなリスクを減らすために、ローン契約締結時に「団体信用生命保険(団信)」に加入することで、万一の際のフォローを受けることができます。
団信は、「死亡または高度障害状態」と診断された場合に限り、保険金で融資額の残債を相殺するシステムです。
厳密には団信は生命保険代わりではなく、金融機関側のリスクヘッジとなるのですが、残された家族や法人にとっては借金が無くなります。
その上、資産価値がある投資物件が残ります。
借金が無くなった状態で賃貸経営ができますので、家賃収入が増え、さらに収益を高めることができます。
残された家族が賃貸経営を続けることが前提となりますが、この家賃収入が保険金代わりとなると捉えることが可能です。
団体信用生命保険加入の条件とは?
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンや不動産投資ローンを申し込む際に加入が義務付けられています。
一般的には「死亡または高度障害状態」で履行される保険商品ですが、保険料を上乗せすることで「成人三大疾病(心疾患・脳卒中・悪性新生物)」にも対応できるプランもあります。
働き盛りともいえる30代~40代の方が不動産投資ローンを契約する際は、成人三大疾病プランを付加することが一般的です。
もちろん「生命保険」ですので、条件に合致しなければ団信への加入ができません。
団信に加入できない場合は、融資が受けられないという結果にもつながります。
団信加入の条件に関しては、各金融機関での審査基準が設けられていますが、それは詳らかにはされていません。
一般的な生命保険の加入条件と同様、三大疾病のリスクを持たない健康体であることが必須条件だといえるでしょう。
一般的な生命保険との違いはどんなことがあるのか?
では、団体信用生命保険(団信)と一般的な生命保険との違いはどんなことがあるのでしょうか。
ここではその違いをまとめました。
①保険金の受取人は金融機関
一般的な生命保険と異なり、団信の保険金受取人は融資先の金融機関です。
その保険金でローン残債が相殺され、家族や法人には借金を完済した状態で不動産物件が残されます。
②保険が適用されるケースが決まっている
医療・入院などの特約が付加されるのが一般的な生命保険ですが、団信が適用されるのは「死亡または高度障害状態」のみです。
高度障害状態の判定に関しては、細かい定義が設けられています。
この定義にあてはめると、重篤な後遺症の懸念や長期的に治療・療養が必要となる心疾患・脳卒中・悪性新生物(いわゆる成人三大疾病)の罹患者に対する適用はありません。
そのため、特約という形で成人三大疾病にも対応するプランも提供されています。
③保険料は金利に含まれている
団体信用生命保険の保険料は現金で支払うのではなく、金融機関が示すローン金利の中に含まれています。
毎月保険料の支払いが発生することはありません。
成人三大疾病対応プランに加入する場合には、所定の金利に0.2%~0.5%上乗せする形で保険料が設定されます。
不動産投資には多額の費用が必要になり、不動産経営を行う上でもストレスを背負うことになります。
病気のリスクをフォローするための保険ですが、団体信用生命保険が適用されないケースもあるということを覚えておきましょう。