不動産投資をはじめようと考えている医師の方へ質問です。
「資金繰りはぎりぎり、しかし損はしていない」。この状態は、不動産投資として成功といえるでしょうか? もし、「失敗」と答えた場合、具体的になぜこの投資が失敗なのか説明することはできますか? 成功と失敗のボーダーラインが明確に定義できていない状態で不動産投資をはじめると、他者から見ると明らかな失敗でも途中で打ち切ることができず、取り返しのつかない状況になる恐れがあります。
そこで今回は不動産投資の成功と失敗のボーダーラインをご紹介します。
「借金の半額を現金でもつ」が一つの基準
不動産投資における成功と失敗のボーダーラインに関する正しい定義は存在せず、投資する個人によって異なりますし、そもそもボーダーラインを設定していない人もいます。
しかし、これから不動産投資をはじめる医師の方には、事前に「ボーダーラインを自分の中にしっかり設定しておくこと」をおすすめします。その目安がなければ、失敗していることに気付かず、悪循環に陥ってしまうことがあるからです。
仮に、一時的に1億円の損失を出しても、長いスパンをかけて損失を回収し、少しでも儲けを出すことができれば最終的には成功かもしれません。しかし不動産投資はこのように全てがV字回復するわけではなく、損失を計上したまま自身の資金が尽きる、または融資を受けることができなくなり、終了する可能性もあります。そうなった場合、手元に残るのは多額の借金のみです。
ただ、借金自体が悪いわけではありません。というのは不動産投資をはじめる場合、多くの医師の方は全て自己資金で行うのではなく、金融機関から借金をするからです。ローンを組んで数千万円のマンションの一室を購入し、不動産投資をはじめるという方がほとんどです。
そこで、不動産投資の成功と失敗のボーダーラインとして、「借金の金額の半分を現金でもっていること」と設定する人もいます。たとえば、3,000万円のローンを組んで不動産投資をスタートする場合、1,500万円のキャッシュは持っておくということです。なぜ半額かというと、不動産は購入額の半額であれば苦労せずに売却することができるといわれているからです。
これも絶対的な正解ではありませんが、一つの目安にしてご自身の「ボーダーライン」を検討してください。
不動産投資を成功させるためのポイント
不動産投資はよく「医師におすすめの投資法」といわれます。その理由は、節税メリットがあることや管理会社に管理を任せることができ、本業の片手間でできることなどが挙げられます。
これは確かにその通りですが、そのまま鵜呑みにして「じゃあ不動産の知識がない自分でもできるだろうと」、何の準備も勉強もせずに始めてしまうと、失敗するリスクが高まります。
なぜなら、不動産投資は購入したマンションやアパートに住んでもらい家賃収入を得る投資法であり、住んでくれる人がいなければ収入はゼロになるからです。入居者にすぐに入ってもらうためには、世の中のニーズを知り、それに適した物件を購入する必要があります。
不動産の知識をもたない医師が適当にはじめて、人気の物件を適切な価格で購入できることはほぼないでしょう。入居者が入らないマンションを購入してしまった場合、節税もできず、収入も得ることができず、購入価格より値下げした金額で手放すしかありません。そうなると、手元に残るのは借金だけです。
準備や勉強の労力を惜しんで、身近にいる先輩医師の不動線投資成功エピソードを聞いてそのまま真似しようとすることも非常に危険です。先輩医師が成功したのは運や情勢の違いも多分に影響しているため、同じようにやったとしても、同様の結果が出るとは限らないからです。
カモにされないために知っておくべきこと
最後に、知っておいていただきたいのは「営業マンから最も狙われやすい職業は医師」といわれていることです。なぜなら、医師は高収入で自己資金があり、社会的な信用度が高く金融機関からの融資を受けやすい職業だからです。
「本業に影響を出さずに、絶対に儲かります。さらに節税にもなるのでやらなければ損ですよ。他の医師の方はみなさんやられてますよ?」。このような巧みな営業トークを真に受けて、「じゃあやってみようかな。私は不動産のことはわからないからプロのあなたにお任せするよ」と依頼してしまう医師の方も実際にいます。
不動産投資をはじめることが悪いというのではありません。前述の通り、事前の準備も勉強もせずに、営業マンに促されるままに「やってみる」ことがよくないのです。運よく成功する可能性もゼロではありませんが、そうスムーズに事は進まないものです。
悪徳不動産業者にカモにされないためには「信頼できる不動産業者に依頼すること」です。その業者を探すことも含めて、「自分で準備と勉強をしておくこと」が大切なのです。
まとめ
不動産投資初心者は、自分1人で成否の判断をすることは難しいものです。そのため、できれば信頼できるパートナーになる不動産業者を見つけておきたいものです。もちろん、自分自身でも勉強をして「どこに目標をおくか」「ボーダーラインはここ」と定めておきましょう。うまいことを言って医師に近づいてくる業者はたくさんいる、ということも忘れないようにしましょう。
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