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    医師のキャリアアップに必要な資質と注意すべきこととは | 勤務医ドットコム

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    医師のキャリアアップに必要な資質と注意すべきこととは

    tokyoh@dmin2017

    医師として順調にキャリアを重ねていけば、自然と「キャリアアップ」について考えるタイミングが訪れるでしょう。「もっと自分を評価してくれる職場で働きたい」「収入を増やしたい」「●●について学べる環境に身を置きたい」など、その動機はさまざまあると思います。しかし、キャリアアップには求められる資質や適切なタイミングがあり、闇雲にキャリアアップを図っても、うまくいくものではありません。

    理想のキャリア形成を叶えるためにも、正しいキャリアアップ術を学びましょう。

    求められる資質に自分は見合っているのか?

    医師のキャリアには6段階のステージがあるといわれています。

    ①初期研修(学部卒業~2年)
    ②後期研修(初期研修~3年/卒後5~6年)
    ③ステージA(後期研修~30代中盤/卒後10年程度)
    ④ステージB(30代中盤~40代前半/卒後10~15年程度)
    ⑤ステージC(40代前半~50代前半/卒後15~25年程度)
    ⑥ステージD(50代後半以降/卒後30年以降)

    転職マーケットにおいて最も“売り手市場”になる時期は④ステージBでしょう。1~2種類の認定医や専門医を取得して、経験も体力もあるこの時期の医師は、多くの医療機関が欲しがる人材です。

    ここから逆算して考えると、①初期研修から③ステージAの時期は、臨床医として十分な知識と経験を積むべき期間だといえます。ただ、②後期研修や③ステージAのときに転職をする医師も少なからずいるのも事実です。もしも売り手市場に入る④ステージBより前に転職を考える場合は、「自分ができること」と「転職先から求められていること」にギャップがないかを事前に確認することをおすすめします。どんなに意気込みがあったとしても転職はシビアなものなので、そのギャップが大きいと、転職活動がうまく進まないこともあるからです。

    ④ステージBの売り手市場であっても、これは同じです。たとえば、④ステージBの医師が転職をしよう とした場合、症例数の多さよりも、執刀医だった件数を重視されることがあります。手術に「参加した」件数ではなく、「自分1人で手術を行った」件数を聞くことで、その医師が1人でどこまで担当できるスキルがあるのかがわかります。

    また、30代後半になるとスキルだけでなく、マネジメント力も求められるようになります。後輩の指導をする機会が増えてくるため、円滑にコミュニケーションが取れる人材か、周囲に自分の考えをしっかり伝えられる人材か、というところもチェックされます。

    進路変更は迅速かつ慎重に行うべき

    ②後期研修では、大学医局に所属して後期研修を行う、または所属せずに後期研修を行うかを選択します。最近は後期研修中にキャリアチェンジを行う医師が増えているといわれています。その理由は「イメージしていたものと違う」「自分のやりたいことと違った」など、さまざまなようです。

    この時期にキャリアチェンジをすることが悪いわけではありません。以前は後期研修期における転職はNGとされていましたが、今は時代が変わり、珍しいことではなくなっています。

    だからといって、安易な気持ちで転職をしてしまうと、「ここも違う」「満足できない」と、いつまでも満足感を得られないまま転職を考え続けることになってしまいます。進路変更をしたいと決めたら迅速に動くべきですが、決定するまでは周囲に意見を聞くなどじっくりと考えたほうがよいでしょう。

    ちなみに最近は「30代でクリニックを開業する医師」も増えているといわれています。これに関しても安易な独立開業は失敗や後悔の元なのでご法度ですが、十分な知識と経験を積んだ「自分ならやれる!」という強い自信のある若手医師であれば、早めに行動を起こすことは悪くありません。というのは、若い医師のほうが金融機関からの借り入れに無理が少なく、返済も時間をかけて行うことができるからです。

    転職において「正解」はないかもしれませんが、慎重に考えたうえで迅速に行動することは大切なので、これだけは頭の片隅に入れておくようにしたいですね。

    医師がキャリアアップで失敗するパターンとは

    最後に医師がキャリアアップを図るうえでありがちな失敗のパターンをご紹介します。
    是非ご自身のキャリア形成に役立ててください。

    ①情報収集を十分に行わずに転職する
    キャリアアップのために転職をするなら、複数の転職先の候補をリストアップし、できるかぎり直接足を運んで客観的に比較・検討するようにしてください。「早く転職したい」と焦って一つの候補だけを見て判断するのは非常に危険です。

    また、知人の紹介だけを頼りに転職先を決めるのも避けた方が良いでしょう。どれだけ信頼できる人に紹介してもらったとしても、本当に自分に合った職場かどうかは自分でしか判断できません。自分が転職した場合に上司になる人物はどんな人なのか、自分のやりたいこと、学びたいことができる環境・体制なのかを知っておく必要があります。

    情報収集が不十分だと「聞いていたのと違った」「思うような仕事ができない」「人間関係がうまくいかない」など、働き出してから後悔をすることになりかねません。

    いずれのケースも、まずは自分で転職先候補の病院について調べたり、転職エージェントに確認して十分な情報収集を行ってから判断することが重要なポイントです。

    ②一つの条件にこだわり過ぎてしまう
    キャリアアップを図るうえで、希望の条件を決めることは必要不可欠ですが、一つの条件にこだわりすぎるのは失敗の元です。

    仮に「収入アップ」だけに固執して転職した結果、激務のあまりに体調を崩して働けなくなってしまっては、元も子もありません。希望の条件が「職制上の階級」なのか、「収入」なのか、「スキルアップできる環境」なのか、「労働時間」なのかは人それぞれですが、どの条件を重視するかの優先順位をつけ、バランスよく検討し、総合的に判断するようにしてください。

    まとめ

    医師としてのキャリアを考えるうえで大切なのは「ビジョン」です。自分はどんな医師になりたいのか、将来どのような働き方をしたいのかなど、常に未来のことを考えて、そこから逆算してキャリアを築いていくとよいといわれています。

    たとえば現在、初期研修中の医師の方は、20年後の未来である⑤ステージCの段階ではどのような医師になっていたいですか? この問いに対する答えは人それぞれで、その答えの数だけキャリアの道筋があります。

    ただ、ビジョンを思い描き、そこに向けてキャリアをコツコツと築いていくことは大切なことですが、現実では思いも寄らないことが起こるものです。医療のニーズや技術も時代とともに変化していくもので、その変化に柔軟に対応しながら、ビジョンを少しずつ変えていくことも必要です。

    あまりにビジョンを凝り固めすぎて現実に対応して動けない人になってしまうと、転職マーケットでは厳しい戦いを強いられる可能性があります。ビジョンは持ちつつも、柔軟に。常に医療業界の動向にアンテナを立てて情報収集をしながら、最適なビジョンを描き、満足のいく転職活動をしたいですね。

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