患者による医療の評価を知ること、すなわち患者の主観的感情である「患者満足」の検討は、患者インサイトを探る上で大きな手掛かりとなります。
そして、安定した経営基盤の確立、つまり継続的に受診してもらいロイヤリティを高めてもらうためには、個々の患者の満足度の向上は不可欠の要素です。
ポイント「期待と成果の不一致」
患者が受信前に抱く医療サービスに対する期待の水準と、受診後の医療に対する評価の相違は、濃淡の差はあれ、必ず実感されるものです。
その不一致の差によって満足が決定されると考えられます。
患者満足の実証実験は、欧米などでさかんに行われていますが、プライマリケア医による医療サービスのパフォーマンスが、患者の期待に適合すればするほど、患者はその医療サービスに満足するという結果が多く現れています。
したがって、患者満足で重要な点は、医師およびチームスタッフが「患者の期待」を満たすことであり、「患者の期待」と「診療・治療の成果」とのギャップをいかに減らすかがポイントになります。
患者および家族満足度の4つのゾーン
図は、患者および家族の満足度を4つのゾーンに区分けしたものです。
右上の「治って感謝」は、患者の期待通りの医療サービスを得られ、結果的に疾患が治癒した場合です。このゾーンでは、患者の満足度は当然のことながら高くなります。
右下の「治らず感謝」は、患者は期待通りの医療サービスを提供してもらったと実感しているのにもかかわらず、治療は上手くいかなかったゾーンです。医師やコメディカルの対応やパフォーマンスに敬意を表し、満足度は「治って感謝」と比べ、それほど差が見られません。
左上の「治って不信・不満」は、的確な治療によって治癒しても、患者や家族に満足が得られなかったゾーンです。医師やコメディカルの対応に常に不安にさいなまれていた心の内が反映され、結果は良としながらも、医療者への不信感が芽生え、トータルの満足度は低くなります。
左下の「治らず不信・不満」は、医療側の対応にも結果にも満足できず、不信・不満が募っているゾーンで、「こんな病院(診療所)にかからなければ良かった」との感情が芽生え、それは下手をすると訴訟や風評に繋がり、医療機関にとって大きな危険性をはらむことにもなりかねません。
さいごに
患者満足度の向上は、治療にも影響すると考えられます。満足度が高い患者は医師の指示に従い、前向きな治療に対する行動変容を促します。
とりわけ、何年も治療を続ける慢性疾患では、患者満足度が高いほど治療を継続しやすく、治療成績にも好影響を及ぼすと言われています。
次回は第2回患者満足度を測るをお届けします。
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