医師として日々仕事に追われ、忙殺されていると、ふとネガティブな考えが頭の中を支配します。実際、僕もものすごく忙しく働いている時は、そうでした。
しかしながらそこから脱却してみて分かった事は、医師人生をつまらなくするのは自分自身で、特に自分の頭の中、即ち「考え方」であるという事がわかりました。
今回はそんな、医師人生をつまらなくする3つの考え方についてです。
1、仕事はあくまで給料を貰うためだけのもの
医師だけでなく、日本で給与所得者として働いていると、この思考に陥ってしまう可能性があります。別に仕事を頑張らなくても、頑張っても、同じだけの給料が貰えてしまいますから。
さらに言えば、仕事を取りにいかなくても、向こうからやってきたお客さん(病院の場合は患者さん)と仕事を日々こなしていくだけで、毎月ほぼ決まった給料が貰えます。これはポジティブに捉えれば安定していますが、ネガティブに捉えれば面白み、ランダム性にかけます。
人間はある程度の不確実性、ランダム性を好む傾向にあり、その嗜好度合いは個体によって異なるそうです。不確実性やランダム性を好む人ほど、患者さんが勝手にやってきてそれをベルトコンベアーのように処理していく日本の医師としての業務に、脳が飽きてしまうのかもしれません。
この思考に陥ってしまった場合、まずは「1日1人余分に、必ず誰かに喜んでもらえる努力をしてみる」のがオススメです。簡単に言えば、仕事で「給料には反映されないけれども医療現場で価値を誰かに提供できた」という体験を、意識して実行してみてという事ですね。そしてそれを積み重ねます。
そうすると、確かに貰える給料は増えていないかもしれませんが
・上司からの信頼
・患者さんからの感謝の言葉
・後輩からの尊敬
が手に入るかもしれません。
自分の職場で周囲に価値を提供する事は、直接的な給料という形では自分に返ってきませんが、自分に対する信頼と自信に繋がります。これは必ずしも換金可能ではなく、場合によってはお金よりも大きな価値を持ちます。
仕事の対価はお金だけではない、という事を身をもって味わう事で、日々の「なんとなくつまらない感覚」から抜け出し、周りに価値を提供する事で信頼を得て、思わぬチャンスへと繋がるでしょう。
2、誰がやっても変わらない、自分の代わりはいくらでもいる
代替可能性について考えるのは危険です。
実際のところ、確かに人材はほとんどが代替可能です。カリスマ経営者であるスティーブ・ジョブズでさえ、いなくなってもApple社は続いています。ジョブズでさえ代替可能な人間であるというのに、一体誰が代替不可能なのでしょうか?
代替可能であるという事と、価値のある人間かどうかという話は全くの別ものですが、人によっては混同してしまいます。誰がやっても変わらない、自分の代わりはいくらでもいる、だから自分の提供する仕事上の価値を向上させる気も起こらない、自分には価値がない。この思考は2つの意味で非常に危険です。
まず、自分の提供する仕事上の価値を向上させる気が起こらない状態が慢性化すると、本当にそうなってしまいます。提供できる価値がどんどん減少し、あっても陳腐化し、代替可能性を自ら広げてしまいます。余計に自信が無くなってしまい、悪循環です。
さらに仕事上の価値と人間としての価値は全くの別ものです。仕事上、周囲に価値提供ができないからといって、その人そのものの人間性は本来関係ありません。例えるならば、仮に犯罪者で社会に悪影響を及ぼした人であっても、我が子であれば問答無用で可愛い。それが人間です。
3、毎日が同じ事の繰り返し、これが死ぬまで続くのか?
仕事に慣れてくると、あらゆる仕事が予想の範疇に収まってしまう事で、毎日が同じ事の繰り返しに感じてしまう事があります。これはポジティブに捉えれば、仕事に慣れ、経験が蓄積してきた証拠です。
確かに、医療現場で全く新しいチャンレンジングな事を毎日やり続けるわけには、いきません。しかしながら仕事以外で新しい事に挑戦してみる事はいくらでもできますし、仕事で医療以外の領域で新しい挑戦をしてみる事はいくらでもできます。例えば人材育成や、現場のマネジメントなど、人が絡む業務は正解が無いので、極めようとすると終わりなき旅になります。
趣味でも仕事でも、新しい挑戦が受け入れられるようなターゲットを見つけて、小さな挑戦を日々繰り返す。毎日同じ事を繰り返す部分と、新しい挑戦をする部分、2つを分けて同時進行で走らせる。そうする事で毎日の単調さから抜け出す事ができます。
おわりに
いかがでしたか?少しでも当てはまると思った方は、その思考をまず捨てる努力をしてみて下さい。
簡単な事ではありませんが、意識して行う事で割とできてしまったりするもの。重要なのは「良く無い思考を意識的に排除する」という事なのです。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。