少し前まで、医師だけで無くサラリーマンでさえ、転職は珍しいものでした。
今となってはどうでしょうか?サラリーマンに至っては「転職してステップアップして行かない方が、おかしい」という意見さえ、散見されます。
流石に医師に、この理論をそのまま転用するのは、少しおかしいとは思いますが…とはいえ医師も転職がフツーの時代になってきました。
明らかに時代の潮目が変わった昨今、医師のキャリア設計も、既存のものとはまた別で、組み替える必要が出てくると思われます。
新・医師のキャリア設計、参考になる具体例
僕の周りでも、医師として新しい時代に適応したキャリアを歩んでいる医師が、いらっしゃいます。
とある人は、医療系ベンチャーに医師として参加しています。
医師としても週3程度で勤務しながら、週2くらいをそのベンチャーに医師として参加している配分のようです。
確かに、医師であれば週3働けば全然生活していけますし、残りの週2を好きな事に使うのは、アリですよね。
それを趣味に費やさず、あえてベンチャーへ参加して医師として求められる仕事をしていく、というのは面白そうであるのと同時に、ビジネス界隈での知識や経験、人脈も広がりそうで、勤務医や開業医以外のキャリア形成における根幹を築くと言っても、過言ではないかもしれません。
パッと思いつく似たようなルートとしては、専門医としての知識を製薬で生かす、というルートです。
こちらは華やかなルートに見えますが、昨今は製薬も薬価引き下げがキツく、新薬開発のインセンティブが下がる中、先行投資で医師を高額の給与で雇用するというのが、なかなか難しいようです。
しかしながら、必ず「製薬トレンド」というものは存在します。自分の専門がたまたま、製薬トレンドに乗っているようであれば、そのトレンドに乗って思い切って飛び込んでみるのも、悪く無いかもしれませんね。
新・医師のキャリア設計、やはりチャンスは東京に
上記のように、医師が病院以外の場所で求められるケースは、増えてきています。しかしながらそのような場合、多くは資本力のある会社や、出資を受けたベンチャーであったりするので、そのようなチャンスが落ちている場所に行かなければ、チャンスに巡り合う事は無いでしょう。
そうなってくるとやはり…東京に行かなければ、新・医師のキャリア設計は難しいのかもしれません。
地方にいても
・自分で会社を作る
・自分でビジネスを構築する
場合は、別の可能だとは思います。医師としての価値を全く発揮できないので、コストパフォーマンスがグッと下がってしまうという、ジレンマはあるかもしれませんが…。
そうなると、やはり若手で独身の医師は東京に入って、勤務医を週3〜4くらいでやりながら、別の道を模索する、というのが新・医師のキャリア設計には都合が良さそうです。
新・医師のキャリア設計、医師免許はこんなところでも役に立つ
病院で医師として働く、会社で医師として働く。
どれも医師免許を「労働力」として見立てた場合の話ですが、医師免許は免許単独でも、その効果を高く発揮できます。
1つは、銀行からの融資です。
医師免許がある、というだけで銀行からの信用力はかなり高く、限定されたリスクの範囲に収まって、それが医師免許で担保される範囲であれば、銀行からは結構良い条件で融資が出ます。
実際、不動産を買う時は医師免許の効果は抜群です。逆に
先生、貸せます、貸せるんですけど…物件が微妙じゃ無いですか?
みたいな、「与信は良いけど今後のことも考えるともう少し良い物件を買ってくれ」というような事を、言われた事もあります(笑)
やはり不動産しかり起業しかり、銀行から借り入れをして何かをするのであれば、医師免許の効果は絶大です。
他にも、例えば食品衛生管理者に、医師はなる事ができます。
飲食店やレストランを開業する時に、必要になるやつですね。これも医師免許さえあればクリアできてしまうのですから、便利な免許です。
他にも、例えば健康診断の特定保健指導。これを行えるのは医師、保健師、管理栄養士となっています。当然医師も行う事ができますね。
あとは…やはり経営者の輪の中に入っていくと、一番多いのが
先生!ウチの産業医になってくれませんか!
というパターンです。
産業医を探しているけど見つからないし、もう早く見つけたいんだけど…となっている中で、たまたま知り合いで医師がいれば、そりゃあ頼みたくもなりますよね。
このように、医師というのはそれだけで珍しい、希少価値のある存在です。
帰属するコミュニティによりますが、少し外の世界に出てみるとその希少性ゆえ、求められる密度がわかると思います。また、どういう内容で求められる事が多いのか、というのも実感できるでしょう。
それをまずは実感する、という意味でも、やはり病院の外に出て、世界を広げてみる。これは結構、新・医師のキャリア設計においては、重要な事なのではないかと、僕は思っています。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。