老後2000万円問題を筆頭に、日本でもお金の問題が注目される時代になりました。それらの話題が延長して、副業や投資など「一昔前なら怪しいと言われていたもの」が、フツーに語られるようになりました。
医師も例外ではありません。
医師が副業するということは、イメージがつきにくいかもしれません。医師といえば高収入で安定した職業の、代表格のようになっていますからね。しかしながら実際に、副業や投資によって得られるメリットについて、事前に理解してからであれば、少し抵抗感が減るはずです。
今回はそんな、医師が副業で得られるお金以外のメリットについてです。
医師が副業で得られるお金以外のメリット
医師が副業をすると、ただでさえ忙しいにも関わらず、余計に忙しくなって心の安定を失うのではないか?
そう思った方もいるのではないでしょうか。
逆です。副業によって心の安定感は増します。
1.心の安定
理由はいくつかあります。
まず、医師としての仕事は「常に稼働している」わけではなく、当直や待機など、場所的には拘束されるものの具体的な労務が発生するわけではない、という事があります。
つまり、確かに医師は忙しいのですが、副業によって余計に忙しくなるかというと、そうでもないという事です。単純に手が空いているけれども拘束される、その状態に「手元に自分の副業がある」という状態になるだけです。
これは、不思議と心の安定につながります。
その理由の1つは、やはり手元にするべきことがあるという事の安心感です。少しでも前に進んでいる、その安心感が心の安定につながります。手持ち無沙汰で暇な時間は、人間を不安にさせますから。
もう1つの理由は、やはり収入源が分散しているという、安心感です。
1つの収入源に依存することは、その収入源を失う事を恐れるようになってしまいます。結果的には判断が過度に守りに入ったり、権力者からの無理な要求に対して応えてしまったりします。
収入源が分散化すると、実質的にリスク分散が得られるだけでなく、それによる心の余裕と心の安定が、得られます。
2.クリエイティブな挑戦ができる
心の安定が生まれると、何かに挑戦してみようかなという気持ちが生まれてきます。
実際、いつもなら早起きできない休日に早起きができるようになったりして、時間的な余裕も生まれやすくなるのです。
その時間と心の余裕をもって、クリエイティブな挑戦をする事で、また別の道が開けたり、収入がさらに分散化したりして、どんどん道が開けていきます。
この感覚は、実際に経験のある人にしかわかりませんが、まさに「道が開ける」とは、このことかと思うはずです。
3.コミュニティが広がる
病院という組織、医師という社会は、それなりの規模の人数がいるにもかかわらず、思いのほか狭い世界です。転勤と言っても、同じような人が近いエリアでグルグルと移動している事が多いため「あれ?どこかで会ったことありますよね?」という事が頻繁に発生します。
この狭い世界は、顔見知りが増えて日々のコミュニケーションと業務が円滑に回りやすいというメリットもありますが、やはり世界が狭いまま終わってしまうというデメリットもあります。
副業によって今まで出会わなかった人、触れなかった業界や会社組織と触れ合うようになります。場所や環境もそうですが、やはり出会う人とコミュニティが変化し、多様化するという事は非常に価値のある事です。
感覚としては、小学校の頃に他の小学校の野球チームと、一緒に野球をして合宿する。そんなイメージです。
出会わなかった人、考え方が違う人に囲まれるだけでも、狭い視野で誤った判断を下す確率も減り、困った時に相談できる相手も増え、少数の人に嫌われたり疎まれる事を恐れなくなります。
コミュニティの広がりによって、人生が楽しくなる。これはお金に変えられない価値があります。
4.心地よい疲労感がある
副業によって頭も身体も使います。業務によっては普段と全く違う考え方、脳、身体の使い方をしますから、疲れる事は疲れます。
しかし、心地よい疲労感というのは良いものです。
ベッドに入って眠るときに、今日1日をやりきった、全力で活動しきったと自信を持って言えるようになります。満足感をもって1日を終える事は、人生を充実させます。
5.時間の流れが遅くなる
心の余裕が生まれ、新しい挑戦をし、知らない人や世界と触れ合い、充実感を感じながら毎日を過ごしていると、時間の流れを遅く感じます。
子供の頃、夏休みって長かったですよね。あれに近い感覚です。
大人になってその感覚を味わう事になるとは予想していませんでしたが、やはり楽しいものです。
時間の流れが遅くなり、1年を長く感じる。副業にはお金以外も、このようなメリットがあります。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。