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    【現役医師連載コラム】初期研修先をブランド病院にするデメリット | 勤務医ドットコム

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    【現役医師連載コラム】初期研修先をブランド病院にするデメリット

    tokyoh@dmin2017

    初期研修先の病院を選ぶ時、どうしても頭の中でチラついてしまうのが、ブランド病院ではないでしょうか?おそらく医学生の方のイメージとしては

    ・なんとなくキラキラしていそう
    ・初期研修をそこでやれば、人生が明るくなりそう
    ・とりあえずそこに行っておけば、後悔はないかなって

    という感じでしょうか?

    「あ!それって私のことかも…」

    と思った方は、ちょっとまった。初期研修先をブランド病院に選択してしまうことの、デメリットって把握していますか?

    ブランド病院は、イメージが先行し過ぎていて、どうしてもメリットばかりが輝いて見えます。

    しかし当然のことながら、選択をするという事は他の可能性を切り捨てるという事。メリットの裏側には必ずデメリットが存在します。

    今回は、そんなブランド病院で初期研修をする事のデメリットについてです。

    ブランド病院での初期研修デメリット

    その1.時間が無くなる

    まず圧倒的に大きなデメリットの1つとしては、時間が無くなるという事です。

    ブランド病院での勤務は、ハイパー勤務になりがち。休日も午前は回診をしてカルテ書きが基本のところが多いです。

    もちろん、今の時代はそれでもキッチリとタイムカードを切って、残業代が出る病院がほとんどですが、お金が入ったとしても時間が削れている事には変わりありません。

    時間が削れると

    ・プライベートの時間が無くなる
    ・女性の場合、結婚のタイミングを逃す可能性がある
    ・将来について考える時間が無くなる
    ・場合によっては(ジム等へ行けず)健康を損ねる

    といった、各種のデメリットに派生していきます。

    特に女性にとって、結婚出産の優先度は人によって異なるものの、逃すとリカバーが難しい内容ではあります。ここに人生の比重を重く置いている場合、正直なところブランド病院でのハイパー勤務は、辞めておいた方が効率的かもしれません。

    その2.選択肢が狭くなる

    ブランド病院で初期研修を行う事で、実は選択肢が狭くなる部分もあります。もちろん、選択肢が広がるという部分もありますが、そちらにあまりにもスポットライトが当たり過ぎていて、実は狭くなる部分があるんだという事をここでお伝えしておきます。

    具体的には、2つのベクトルで狭くなります。

    1つは、時間が無くなる事により「選択肢の幅」を広げる事が、できなくなってしまう事です。あらゆる活動、出会いによって選択肢の幅は広がりますが、それが仕事で忙殺される事で無くなってしまいます。

    せっかく都心に出ても、ハイパー病院で仕事に忙殺されているようでは、一体何のために都心に進出したのか、わかりませんよね。都心という「出会いの質と頻度」の大きなメリットを、自ら捨ててしまっているわけですから。

    もう1つは、周囲の人間の思考が偏っている事により「頭の中の選択肢」が、狭くなります。本来であれば多様な考え方、多様な価値観、多様な人種に触れる事で「頭の中に思い浮かべる将来の選択肢」が広がるはずです。

    しかしながら、やはりブランド病院に勤務している勤務医、初期研修医を見れば、かなり偏った価値観を持った、偏った人種だという事が、わかると思います。

    それが良いか悪いかはここでは議論しませんが、少なくとも「思考の偏る集団に身を置く事になる」という事実は、そのルートに進むと決めた人であればメリットにもなり得ますが、まだ将来を決めていない人であればデメリットになります。

    その3.基準が上がる

    ブランド病院で働いている初期研修医、勤務医の先生は、能力だけでなく志も高い場合が多く、嫌でもその雰囲気の中に取り込まれてしまいます。

    人によってはその気に当てられて「自分は周りに比べてダメなんだ」と思ってしまったり、時には精神を病んでしまう可能性があります。

    医師としてどれくらい志が高いか、能力が高いかは、個人の人格とは全くもって無関係です。しかしながら、まだまだ若い初期研修医でその感覚を身につけるのは難しいと思いますから、自分にあまり自身が無ければ、大きなデメリットになり得るでしょう。

    その4.体や精神を壊す

    個人的にはブランド病院でハイパー初期研修を行う事の最大のデメリットは、これだと思います。

    初期研修医が頑張り過ぎて、体や精神を壊してしまい、初期研修を修了できませんでした、なんていうのは…全く笑えません。もしもう少し緩い病院で働いていたら…と後悔してしまう事でしょう。

    特に、少なくとも「自分はブランド病院で働けるくらいの人材だ」という自負があって挑戦するわけですから、そういう医師が挑戦してポキッと折れてしまうと、かなりダメージが大きいと思います。

    自分の健康を維持するというのは、労働環境としては最低ラインです。このラインを割ってまでする価値のある仕事なんて、ほぼ存在しません。自分を大事にしましょう。

    その5.お金がない

    最後に書きましたが、ブランド病院での初期研修は給料がそんなに高くないと言うのも大きなデメリットの1つです。

    これは僕の持論ですが…そもそも医師という仕事が好きなのか、向いているかどうかなんて、やってみないとわからないわけです。だったら、何かあった時のことも考えて、給料が高い方が良い。これは非常に合理的な選択肢です。

    もちろん、中にはお金が欲しくて医者になったのではない、という人もいるでしょう。それはそれで、1つの正解です。ただそれで、ふと30歳手前になってキャリアに悩みを感じ、精神的に燃え尽きてしまい、おまけにお金もない、となるともう目も当てられません。人生をリスクヘッジするという意味でお金は、ご実家がものすごいお金持ちである場合等を除いて、重要なファクターなのです。

    最後に

    いかがでしたでしょうか?

    メリットとデメリット、長所と短所というのは裏返しです。例えば最初に書いた「時間が無くなる」というデメリットは「医師として多くの経験を積める」というメリットにもなり得ます。結局は切り口の問題で、どの面を見ているかという視点の問題なのです。

    ただし、そのメリットとデメリットの比重は切り方によって変わりますし、人によって感じ方も異なります。長時間労働は全く問題ない人もいれば、そうでない人もいます。

    メリットとデメリットを語る際には、その裏側と自分なりに比較して、自分の答えを出す事。これが最も重要だと言えるでしょう。

    現役医師連載シリーズ


    ▼著者
    大石龍之介
    株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

    URL:https://bluestorage.co.jp/

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