多忙な医師が将来を見越して資産を形成しようと考えたとき、実際にどんな方法があるのでしょうか。また医師の中でも勤務医に向いている方法はあるのでしょうか。資産形成を焦り、知人からすすめられた金融商品を購入して損をするなど、後悔をする前に、あらかじめしっかり資産形成について学んでおくことが必要です。
業務時間外も多忙な勤務医
医師の仕事はハードワークです。厚生労働省は医師の過酷な勤務実態を改善するために動き出していますが、それでも2019年3月13日に提示された医師の残業時間の制限は「年間1,860時間」というものでした。
これは週5日勤務で換算すると、1日約7時間10分の残業になります。9時~17時で働くサラリーマンに当てはめると、仕事を終えるのは毎日、日付をまたいだ0時過ぎ。こうして数値で見てみると、いかに医師がハードな仕事であるかがよく分かります。
医師がこのように業務時間外の残業を強いられる理由は、医師は替えの効かないスペシャリストだからです。当然ながら、今は医師がいないから代わりに看護師が手術を……というわけにはいきません。そして入院患者はいつ容体が急変するかは誰にも分かりませんし、救急患者を受け入れている病院であれば、いつどのような患者が運び込まれてくるかも分かりません。
そのため、どうしても医師に対する負担が重くなり、勤務時間が増え、なかなか休むことができないという実態をつくり上げているのです。
このような現状では「資産形成をする暇もない」と思ってしまうかもしれませんが、医師は収入も多ければ、支出も多いケースが少なくないので、将来に備えて早い段階から資産形成をすることは“必須”なのです。
勤務医に向いている投資・向かない投資
では、実際に多忙な勤務医はどのようにして資産形成をすればよいのでしょうか。銀行にただお金を預けていても、超低金利時代の今はほとんどお金が増えません。そこで「投資」という手段が浮かび上がってきます。
一口に「投資」といっても、さまざまな投資法があり、勤務医に向いている投資、向かない投資があります。
例えば、一般的な投資法に「株式投資」があります。株式投資とは、上場企業の株を購入して、配当を受け取ったり、売買時点の差額で収益を生み出す方法です。結論からいうと、株式投資は「勤務医には不向き」といわれています。
その理由は、株式投資で収益を生み出すためには、刻々と変化する市場の変化を読み、将来の予測を立て、売り買いのタイミングを逃さないことが不可欠だからです。勤務医のなかにもビジネスや経済に詳しい方はいますが、それでも多くの勤務医は株式投資を専門にしているディーラー相手では劣るのが現実です。
また、多忙な医師が売り買いのタイミングを見逃さないためにパソコンの前に張り付いていることは不可能なため、その道のプロに依頼することになります。こうなると、自分の感覚というよりも、相手の感覚で結果が決まります。これらの観点から、株式投資は医師の特性を活かしづらい投資法といえるでしょう。
一方で、不動産投資は医師の特性を活かすことができる投資法といわれています。まず、不動産投資を始める際にはマンションやアパートなどの不動産を購入することからスタートしますが、この際に医師という社会的な信頼の高い職業ゆえにローンが組みやすくなります。
さらに、不動産投資を行った場合は、経年により損失する建物の価値分を「減価償却費」として経費計上することが可能になります。車なども経年により価値が下がりますが、勤務医が減価償却費を経費計上できるのは、基本的に「不動産投資」のみです。
また、実際の運用は管理会社に依頼することが一般的です。「運用はプロに頼む」という点では株式投資と同じですが、不動産の管理は日々マーケットの変化が起こるわけではなく、流動性が低いものなので、他者への依存度は低いといえます。
専門家との定期面談の有効活用
不動産投資の有用性に触れましたが、実際に資産形成を始める場合は、できることならば事前に専門家と面談を行うようにしてください。専門家とは、現状のカウンセリングや資産形成の方法をともに考えてくれるコンサルタントなどを指します。
資産形成を行う際には、「なぜ資産形成をするのか」「本当に必要なのか」「いつまでにどれぐらいの資産を形成する必要があるのか」「今の勤務形態でどういった資産形成が可能なのか」「実際にどのように始めるのか」など、全体像を把握したうえで始めたほうが結果を出しやすく、また失敗したとしても自分が納得してやったと思うことができます。
「人からすすめられたから」と、事前になんの準備もせずに投資に手を出すと、大やけどをする可能性も十分にあります。投資は得をすることもあれば、損をすることもあるからです。
まとめ
不安を解消し、納得してスタートするためには、専門家を有効活用しましょう。信頼できる専門家を見つけ、定期面談を行い、少しずつ投資に向けて歩み始めることが時間のない医師が資産形成を行ううえで何よりも重要なのです。
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