不動産投資で成果をあげることができる人は、そこに存在する「リスク」も知っている人にほかなりません。医師の方でも不動産投資に失敗した人の体験談を見てみると、リスクについて学ばず、不十分な対策で投資に踏み切ってしまったケースが多いことが挙げられるようです。
「もっと勉強してから始めればよかった…」「あのときもっとこうしておけば失敗しなかったのに…」などと後悔しないためにも、事前にリスクと対策について詳しく学び、より賢い投資法を身につけましょう。
その物件、本当に大丈夫? 瑕疵物件とは?
「確実に儲かる」という話が存在しないように、投資にもリスクが存在します。もちろん、不動産投資もその例外ではありません。
不動産投資におけるリスクのひとつは「瑕疵(かし)物件を購入してしまうこと」です。瑕疵とは簡単にいえば「欠陥」のことで、購入した土地の土壌が汚染されていた、耐震強度が法定基準に不足していた、雨漏りがひどい、シロアリが発生するなど、さまざまなものがあります。
このように目で見てわかる瑕疵を「物理的瑕疵」と呼びます。瑕疵はほかにも、「心理的瑕疵」や「環境的瑕疵」、「法的瑕疵」があります。
心理的瑕疵とは、居住するにあたって心理的な抵抗が生じる恐れのある物件を指しています。わかりやすい例が昨今よく話題になる「事故物件」といわれるもので、建物内で自殺や他殺、事故死、孤独死などがあった物件です。心理的瑕疵は他にも、近隣に暴力団事務所や墓地があるなどがあります。
環境的瑕疵は、近隣から異臭がする、騒音がひどい、日照権が守られていないなど、家のまわりの環境に問題がある物件に生じる問題です。
最後の法的瑕疵は、市街化調整区域にあって建て替えが難しい、建築基準法の接道義務違反によって再建築ができない、耐震基準が不適格など、各種法令に不適合だったり法令によって制限がかかっているものです。
これらの問題を含む瑕疵物件を買わないためには、事前の「確認」が重要です。不動産を購入する際は「物件状況確認書」が提示されるもので、そこには住宅性能評価、耐震診断、リフォームの履歴、排水管の状態など、さまざまな項目が載っています。購入後に後悔しないためには、これらの項目を事前に確認しておくことが何よりも大切です。
家賃が払われない!? 不良入居者対策
瑕疵のない物件を購入し、入居者もすぐに入ることになり、「これで家賃収入が入ってくる」と思ったら、数カ月後になぜか家賃が支払われない……。いくら催促しても「すぐに払います」と言ったきりで、全く振り込まれない……。
こんな人が本当にいるのか?と思ってしまいますが、これが世の中を騒がせている「不良入居者」です。不動産投資を行うリスクは、物件購入だけでなく、物件購入後にも発生するということを覚えておいてください。
家賃が支払われなくなると家賃収入がなくなります。不動産投資をはじめる場合は数千万円の物件を購入するにあたり、費用をローンで借りるケースがほとんどで、家賃収入からローンの支払いを行うのが一般的です。家賃収入がなくなるとこのキャッシュフローが回らなくなり、不動産投資だけで見れば収支はマイナスになってしまいます。
これでは何のために不動産投資をやっているのかわかりません。そこで不動産投資をはじめる前には、しっかりと不良入居者対策を行う必要があります。
対策の一つ目は、ご自身で物件を管理される場合に入居者の事前審査を厳しくすることです。審査の段階で勤務先や年収を確認することはもちろん、連帯保証人をつけるか、それが難しい場合は保証会社をつけてもらうようにしましょう。こうしておけば入居者からの家賃支払いがストップしても、次の手段を打つことができます。
二つ目の対策は、管理会社を入れることです。医師は本業が忙しいため、不動産の管理を自分でしているという人は少なく、ほとんどの方が管理会社に依頼しています。やはり管理はプロに任せておいた方が何かと安心です。仮に不良入居者に当たってしまって家賃が滞納された場合も、督促や強制退去の手続きも迅速に対応してくるからです。また、管理会社が保証の厚い保証会社を付けてくれますので、家賃滞納分の保証のほか、お部屋のルームクリーニング費用などが保証されることもあります。
買うときと同じくらい売るときも大切
不動産投資で成功するためには、物件の購入(入口)だけでなく売却(出口)まで考えておくことが不可欠です。購入した物件から安定的に家賃収入が入ってきて、収支がプラスになっていればよいのですが、やはり物件を手放すタイミングというものが存在します。
たとえば、減価償却が終了したタイミング。減価償却とは「減価償却費資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続き」のことです。これが不動産投資の大きなポイントで、節税に有効です。
減価償却ができる期間は物件によってさまざまで、居住用のRC造は47年、重量鉄骨造は34年、木造は22年などと定められています。この期間が終了すると、減価償却の経費を計上できなくなるので、そのタイミングで売却するのも有効です。
また、売却の時期を逆算して考えておくことも大切です。数千万円の売買である不動産物件は「売りたい」「買いたい」という行為が簡単に進むものではありません。不動産会社の査定、契約、売却の告知を経て、ようやく市場にでるので、数カ月はかかると考えておきましょう。
タイミングを逃してしまい、思うような価格で売れなかったということがないように、早い段階からアクションを起こすことが大切です。
まとめ
不動産投資は大きな収益を得る可能性がある一方で、注意しなければならない点もたくさんあります。瑕疵物件、不良入居者、出口戦略などがこれにあたりますが、こうした注意点があることを事前に把握しておき、対策を講じておけば失敗する可能性を減らすことができます。
まずは不動産投資に関する最低限の知識を身につけることが成功への近道なのです。
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