昨今、ハラスメントという言葉がとにかく浸透しました。
パワハラ、アルハラ、モラハラ…○○ハラスメントが、世の中に一体どれくらいあるのか、把握するだけでも困難です。
中には度が過ぎるような、過度なハラスメント対策と思われるものもありますが…
窮屈な時代になりましたね。
とはいえ、中には本当に許されないハラスメントも存在します。
そんな「医療業界でのハラスメント」について
「まずこれは間違いなくハラスメントだけど、医療業界では黙認されている」
水準のハラスメント、危険水準のハラスメントについて、まとめました。
1、医師の「なんとかしておいて」はダメ
医師はあらゆる医療スタッフの中心ですから、各方面に指示を出さなければいけない場面が多々あります。
そんな中、よくあるのが「なんとかしといて」です。
いわゆる丸投げってやつですね。これは明確にハラスメントの対象なので注意が必要です。
ぼんやりとした指示で丸投げをされても、受け取った側は何をどうしたら良いのか、わからない場合もあります。
何をどうしたら良いのかわからないけど、時間がない。これはかなりのストレスになり得ます。
細かく具体的に、誰にでもわかりやすく伝わる様に、指示を出す。
これが「指示を出す側のモラル」であり、阿吽の呼吸はチームプレーの障害にしかなりません。
丸投げは指示を出す側の怠慢に過ぎず、医療現場でたまにおこる緊急事態に、対応できません。
緊急事態にこそ、具体的な指示が必要ですが、指示を出す側も訓練されていないと、いざという時に指示をうまく出す事ができません。
詳細まで具体的に指示しないといけないのは面倒ですが、平常時から細かく指示を出す事を練習し、いざという時にも通常通り細かく具体的な指示を出し、多くの命と健康を守れるよう、精進するのも医師の務めではないでしょうか。
2、研修医がミスをした…なんて注意するべき?
最近の若い先生と、どう接したら良いかわからない。
そんな声が、医療現場ではたまに聞こえてきます。
研修医との接し方で最も難しいのが、研修医がミスをしたり間違った際の、指導の仕方です。
まず、基本的に「ミスに対してとにかく怒る」のは、NGです。ハラスメントです。
ミスの内容を詳細に追求し、予防の糧とするのは非常に重要ですが、怒りの感情をそこに乗せて、相手の言動を動かそうとするのはNGです。
ミスを責めるのではなく、予防と解決策を具体的に提示しましょう。
ここでも具体的に、がポイントです。
例えば「次からミスしないように!」と、言うだけではいけません。
なぜミスが起こったか、予防するために具体的に何をして、何に気をつけるべきか。
提示しましょう。
3、昔良くあった「何か面白い事言って」もハラスメント
割と医師の世界では聞きなれたフレーズですね。
何か、面白い事言ってよ。
うまく話せる医師もいますが、そうでない医師もいる時点で、これはハラスメントの可能性を抱えている言動です。
これは基本的な事なのですが、仕事の範疇を超えている様な要求はNGです。
ここでの「何か面白い事を言って」は、明らかに仕事の範疇を超えていて、必ずしも必要とは言い切れない要求です。
ではどうすれば良いのか?
ここでも「具体的に」がポイントです。具体的に質問します。
例えば
「○○に行った事はある?」
「○○学会、今度行く?」
などです。
具体的な質問は、回答がイエスノーで十分な事が多く、回答が比較的容易です。その代わり質問をする方は結構大変なのですが…致し方ありません。
基本的には「具体的に」がハラスメント防止のポイント
以上の3つから、ポイントとなるのは「具体的に」です。
具体的に、指示を出す。
具体的に、注意する。
具体的に、質問をする。
具体的ではなく、抽象的でぼんやりとした指示、注意、質問は、受けてが混乱する可能性を抱えているため、ハラスメントになりやすいと言えます。
しかし、逆にプライベートな質問をし過ぎる危険性があるので、注意しましょう。
例えば
「先生、夜のお台場とか行った事ある?デートとかさ」
「先生、この前の土日は何していたの?」
などです。
具体的な質問は回答が容易ですが、心理的に回答しやすいかどうかは、質問の内容によります。
具体的な質問であれば全部オッケー、なんて事はありませんので注意が必要です。
最後に
いかがでしたでしょうか?
昨今、どこに行ってもハラスメント、ハラスメントとハラスメントに囲まれている気がしますが…上記の3つは割と、やってしまいがちなハラスメントではないでしょうか?心当たりが少しはある、という先生が多い気がします。
これからの新しい時代の感覚に、自分の感覚をフィットさせるべく、少しずつ努力をし始めてみるのも、良いかもしれませんね。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。