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    「確定申告は税理士に丸投げ」で大丈夫? 意外と知らない税理士の実態 | 勤務医ドットコム

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    「確定申告は税理士に丸投げ」で大丈夫? 意外と知らない税理士の実態

    tokyoh@dmin2017

    日々診療などで多忙な医師のみなさんは、勤務医であれ開業医であれ、確定申告などの「税務」について、税理士に任せっきりになっているケースが多いようです。しかし、「確定申告は税理士に丸投げ」は思わぬリスクもはらんでいます。具体的にどのような危険性があるのでしょうか。それに対して、どのように対応すればいいのでしょうか。

    医師から全てを任されている税理士も多いが…

    夫婦共に医師というCさんの家庭。アルバイトも合わせるとお互いの年収は1200万円ほど。毎年、確定申告は行っていますが、細かいことは勤務先の顧問税理士に全て任せっきり。自分たちの年収はいくらなのか、税金をどれくらい払っているのかさえはっきり把握していませんでした。

    実は、こうしたケースは珍しくありません。医師のみなさんは日々、診療で多忙を極めていますし、専門医などの資格を維持するための研修や学会参加、さらに土日にも宿直があったりします。主治医ともなると、担当患者の容態によっては夜間や休日に病院へ駆けつけなければならないこともあるでしょう。

    また、家庭においては教育熱心な人が多く、お子さんの医学部受験ともなれば、様々なサポートで気の休まる暇がありません。
    さらに、一般のサラリーマン家庭の場合は、収入がさほど高くないことから、税金や社会保険料の負担について敏感ですが、平均年収1000万を超える医師(勤務医)であれば、家計のやり繰りに困るというわけでもありません。

    こうして、確定申告のことはどうしても後回しになり、税理士など専門家に丸投げということになってしまいがちなのです。

    税理士は節税について積極的なアドバイスはしない

    普通、確定申告をはじめとした「税務」は税理士に任せておけば大丈夫、と考えがちです。
    しかし、これは大きな間違いです。むしろ、税理士に丸投げすることで、税金を余分に払っている可能性さえあります。
    そもそも税理士は第二次大戦後、いわゆるシャウプ勧告に基づいて青色申告などを含む申告納税制度が日本に導入されたのをきっかけに誕生した国家資格です。令和元年9月現在、全国に7万8508人の登録者がいて、うち東京に2万3221人が集中しています。

    税理士の使命は、「税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」(税理士法第一条)とされています。

    つまり、納税義務の適正な実現が第一であって、節税などを積極的にアドバイスすることが求められているわけではありません。
    また、下記に該当する人が、税理士になる資格を有しています。

    ①税理士試験に合格した者であること
    ②税理士試験を免除された者であること
    ③弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
    ④公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)
    ※①と②は税又は会計に関する事務に従事した経験が通算して2年以上必要。

    税理士全体のうち、①の試験組が約45%ですが、②の試験免除組も約37%を占めています。そして、試験免除組のうち多くを占めるのが、税務署に長年勤めていた元税務職員です。税務署に23年以上勤め、指定研修を修了すると、試験なしで税理士になれるのです。

    こうした試験免除組の税理士は、元の職場である税務署から睨まれるような節税策には消極的だといわれます。依頼主が積極的な節税策を取ろうと相談しても、むしろ「リスクがあるからやめたほうがいい」といって引き留めることが多いといわれるのも、なんとなく頷けます。

    税理士は節税について積極的なアドバイスはしない

    医師の世界でも細かく専門分野が分かれていて、専門外の患者を診ることはまずないはずです。もし診るとしても、相当慎重になるのではないでしょうか。

    税理士の世界も同じです。ニーズの多い所得税や法人税を扱う税理士は多いですが、相続や贈与に関する税務ついては、そもそもの件数が少ないため、実績のある税理士はかなり限られています。つまり、勤務医時代にお世話になった税理士を信頼し、開業後そのまま業務提携をお願いしたとしても、その信頼に応えられない可能性は非常に高いといえます。

    例えば、これは法人化した開業医に限ったケースではありますが、経営者である医師から法人に多額の貸付金がある場合、それは「相続財産」として評価されてしまうのをご存知でしょうか。相続税の税率は最高55%ですから、この事実を知らずに貸付金が増えていたら、相続発生後に遺族が大変な思いをします。

    税金の問題は、資産全部を含めて検討しないと、上記のような思わぬ事態が発生しかねません。しかし、税理士が資産を総合的に判断してくれるかというと、決してそうではありません。そもそも、顧問税理士の通常の契約では、会計処理と申告書の作成が主な業務であるため、頼まれてもいないことに口出しして、損失を与えたりしてはヤブヘビになるからです。依頼された経理処理と税務申告などはきちんとやりますが、頼まれたこと以外は基本的にノータッチです。

    個人であれ法人であれ、長期的な資産運用を考慮した「最適な経理処理」は何か、将来をにらんだ「税金対策」をどうしたらいいか、といったアドバイスを税理士に期待することはできないのです。

    第三者への相談や医師側での経理処理も検討

    そう考えると、これからはある程度、医師本人が税務に関わり、全体的な方向性を判断するほうがよいでしょう。
    個人の場合、所得税の確定申告などを依頼する税理士とは別に、中立的な立場からアドバイスしてくれる第三者に相談するのがひとつの手です。

    医療法人の場合、一部の経理処理を医師側(実際には親族などが担当)で行うことが考えられます。最近は、入力負担の少ない会計ソフトや入力データを一元管理できるクラウド型会計ソフトなどが登場しています。

    こうしたツールを使い、日々の会計データを医師の側で入力した上で毎月、税理士に送ってチェックしてもらうのです。こういうやり方を「自計化」と呼んだりします。税理士に頼む医師の側としても、経営状態や業績をタイムリーに把握でき、経営や税金についての方針を決めやすくなります。いずれにしろ、税理士への丸投げのリスクを認識し、できるところから手を打っていくことが重要でしょう。

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