利害関係なく冷静に分析してくれる第三者の意見は重要なもので、これは不動産投資の世界でも例外ではありません。当事者になると夢中になって見えなくなってしまうこともありますが、鋭く指摘してくれる人が身近にいてくれると心強いものです。不動産投資では、その役割を果たす存在として「ホームインスペクター」がいます。一体、どのような仕事をしている人たちなのでしょうか?
ホームインスペクターとはどんな仕事?
ホームインスペクターとは、住宅診断(ホームインスペクション)をする人のことを指します。ホームインスペクションは第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況や欠陥の有無、改善すべき箇所やその時期、費用などを見極めて、アドバイスを行う専門業務のことです。
その業務内容から、「住宅のかかりつけのお医者さん」と呼ばれることもあります。ホームインスペクターは国家資格ではなく、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会による民間資格で、年に一度実施される試験に合格することでその資格を得ることができます。試験は「住宅に関わる建築の法規や実務範囲のガイドラインに関すること」「木造住宅、マンションの主に構造に関すること」「住宅の給排水、衛生、空調、電気設備等の呼称や一般的な仕様に関すること」など多岐にわたります。
「住宅の診断ぐらいなら自分でもできる」と考える医師の方もいるかもしれません。確かに、専門知識がなくても外観や内観を見て、欠陥箇所を見つけることはできる可能性はあります。しかし、医師が深い専門知識と経験によって患者を診断するように、ホームインスペクターもさまざまな知見をもとに、過去のデータと照らし合わせながら建物をチェックするため、欠陥などの発見率は格段の違いがあるでしょう。
不動産投資でホームインスペクターが果たす役割
不動産投資はマンションやアパートの一室などを購入して、入居者から家賃収入を得るとともに、かかった経費を計上することで節税を行うという投資法です。そのため、まずは不動産を購入することが投資の第一歩になります。
でも、医師の方の大半は「不動産の初心者」です。不動産業界に精通しておらず、ニーズも常識も理解していない人が手を出して、簡単に成功するものではありません。以前、購入したばかりの家の床にビー玉を置いたらコロコロと転がっていったなど、「欠陥住宅」がよくニュースに取り上げられました。これは決して他人事ではなく、不動産の初心者であれば誰もが当事者になり得る話なのです。
そこで、医師が不動産投資をはじめる際は、さまざまなプロの力を借りることになります。その一例が「ホームインスペクター」です。
不動産投資をはじめる際は、購入前にいくつかの候補物件を挙げ、実際に物件を見に行くことが一般的です。その際にホームスペクターに依頼することで、欠陥住宅を掴まされるリスクが格段に減ることは間違いありません。しかも、費用も数万円から依頼できるところもあるので、これを活用しない手はないでしょう。
中古物件を購入するときも、「購入前にここを直してほしい」というところがあったら、ホームインスペクターの診断のもと、明確な根拠をもって意見し、交渉を進めることができます。初心者の場合は適当にあしらわれる可能性があるかもしれませんが、専門家である第三者のお墨付きがあれば、相手も無碍にすることはできません。
売り手にとっても「敵」ではない!?
「ホームインスペクターを連れていくのは“重箱の隅をつつくよう”で何だか気が引ける」と考える医師の方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
売り手側にとっても専門家のホームインスペクターが来るとなると緊張感が増すのは事実だと思いますが、「購入後に揉めるよりも、事前にちゃんと見てもらい、お互いに納得して売買を行ったほうがよい」と考えている人もたくさんいます。たとえ契約に至らなかったとしても、自分では気づかなかった欠陥などを指摘してもらって、それを修繕することで物件の価値を上げることもできます。
ですから、物件のチェックにホームインスペクターを連れていくことに対して、何も後ろめたさを感じることはありません。「それだけこの物件に対して本気で見に来てるんだ」と、売り手側に対して真面目な検討者である印象を与えることもできるはずです。
不動産物件は日常の買い物と違い、高額の買い物です。売り手と買い手がお互いに納得のうえ契約できたほうが気持ちよいですよね。そのための万全の準備の一つとして、ホームインスペクターを活用しましょう。
まとめ
不動産投資は高額の買い物のため、物件を見極めて買うまでも大変ですが、購入してから運用するのが「本番」なので、購入後も気を抜くことはできません。仮に修繕が必要になったときも、ホームインスペクターはあなたの心強い味方になってくれる存在です。不動産投資をサポートしてくれるスペシャリストと交流をもつことは、大きなプラスとなるでしょう。
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