多額の収入を得ている医師は投資を行っている人が少なくありません。株やFX、不動産など、投資にはさまざまなものがありますが、「医師に向いている投資」にはどのようなものがあるのでしょうか。
そこで今回は、勤務医と開業医に分けて、向いている投資について考えてみます。
勤務医に適した投資商品とは
医師、特に勤務医は「投資をしやすい環境にある」といえます。その理由は、一般的に収入が高いうえ、開業医と違って月給が固定されているからです。高い収入が毎月安定して入ってくるため、生活費などを差し引いても余剰分を生みやすく、その分を投資に回すことができます。当然ですが、資金がなければ投資はできません。
医師は「景気に左右されにくい職業」というところも、投資には大きな強みです。景気が良くなろうと悪くなろうと、人は病気になってしまうものなので、病院がなくなることも、医師がいなくなることもないと考えられているからです。
それでは、安定して余剰資金を確保できる勤務医に向いている投資商品とは何があるのでしょうか? その一つは個人型確定拠出年金「iDeco」です。iDecoは国ではなく個人で運用する年金のことで、毎月5,000円以上(1,000円単位で上乗せ)を掛金として運用し、60歳まで払い続け、60歳以降になると受け取ることができるという制度です。
医師にiDecoが向いている理由は、iDecoは「所得の高い人ほど節税効果が大きいから」です。iDecoで積み立てた掛金は全て「控除」の対象になるため、課税所得を減らすことができる結果、支払う所得税や住民税も少なくなります。所得の高い医師は将来自分に返ってくるお金として多くのお金を積み立てられて、それが控除対象になるので、大きな節税効果が見込める商品です。さらに、iDecoは運用益は非課税、受取金も一定金額までは非課税に設定されているという強みもあります。
ただ、iDecoにもデメリットはあります。それは節税効果は見込めるけれど、コツコツ毎月積み立てたお金を受け取ることができるのは「60歳以降である」という点です。人生には何があるかわからないものですが、現時点で60歳まで払い続けられるかわからない金額を掛金に設定してしまうと失敗してしまうので、その点は注意しましょう。
開業医に適した投資商品とは
一方、開業医の場合はどうでしょうか。開業医も勤務医と同様か、それ以上に収入が高いためiDecoは向いている投資商品といえるでしょう。
まとまった投資資金が手元にある開業医の場合は、「ヘッジファンドに預ける」という方法があります。ヘッジファンドとは資産運用を行う会社のことで、要は投資素人の自分の代わりにプロに運用をお願いするということです。投資は無知の状態で始めると失敗する可能性が高くなるからです。
ヘッジファンドを利用するうえで重要なポイントは「ファンドを見極めること」です。ヘッジファンドはたくさんあるので、どのファンドが自分と合っているか、信頼できそうか、資金をちゃんと運用して増やしてくれそうかなど、見極めることが極めて重要になります。
その点、開業医は独立した経営者であり、さまざまな経験をしてきているので、人を見る目があるはずです。実際にヘッジファンドを依頼する際は、複数のファンドマネージャーと会い、面談形式で質問をしていくことになります。このときに大事なことは、「何となくいい」と中途半端に決めるのではなく、本当に信頼できる人に出会うまで会い続けることです。
不動産投資は医師に適している?
医師に人気の投資として「不動産投資」があります。不動産投資とは、アパートやマンションを購入し、他人に貸して運用益を得るというものです。運用益だけでなく、購入の際の減価償却費、管理費などは、経費として認められているため、課税所得を減らすことができて、所得税や住民税を軽減することが可能になります。
つまり、運用益と節税という二つのメリットを見込める投資です。このように書くとメリットだらけで、「絶対にやるべき投資」と思うかもしれませんが、もちろん不動産投資にもデメリットはあります。それは「運用を失敗すること」です。
購入したアパートやマンションに入居希望者が現れなければ、家賃が入ってこないため、運用益を得ることはできません。そのため、不動産投資を行う際は、空室が発生しにくい人気の物件を選ぶ必要があります。これは医師の専門領域ではないので、不動産のプロにお願いする必要があるでしょう。
また、不動産には「トラブルが発生すること」も考えられます。入居者が家賃を支払わない、催促しても応じない、修繕をどちらが負担するかで揉めるなど、さまざまな可能性があります。これらのトラブルの中で賃料については、借主に保証会社への加入を義務付けることによって、リスクをほぼゼロに抑えることが可能です。
不動産投資はこれらのデメリットも鑑みたうえで、「自分には向いているか、向いていないか」を見極めてから行うことをおすすめします。決して安くない不動産を購入してから「自分には向いてなかった」では取返しがつきません。
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