初めまして、今回より勤務医ドットコムのコラムを執筆させていただくことになりましたファイナンシャルプランナーの長尾真裕美と申します。
ご相談者の住居・教育・老後資金等のライフプランニングのアドバイスをしております。
不定期ですがコラムを通して勤務医を中心とした医師の皆様に有益な情報を発信してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて早速、表題の「マイホーム購入派と賃貸派」、医師の皆様はどうお考えでしょうか。
戸建派とマンション派と同様、ちまたでよくこれらの議論を見かけますよね!!
両者の意見をまとめると以下のような主張です。
マイホーム購入派
メリット
不動産は資産になるので売却もできるし、住宅ローンの返済が終われば居住費の心配をしなくて良い。
デメリット
住宅ローンを組めば金利を払わなければならないが、今のような低金利が35年間ずっと続く保証はない。もしも住宅ローンを支払っている間の平均金利が2%になれば、6000万円の住宅を購入した場合、金利だけで2350万円弱支払わなければならず、不動産は経年劣化で値崩れのリスクを伴う。
住宅ローンの返済が終わったとしても、リフォームなどの手入れの必要もあり、固定資産税が続くなど全く費用がかからなくなるわけではない。
一生賃貸派
メリット
家族構成が変われば居住空間も変えることができる。
家賃相場はそれほど大きな変化は少ないので変動金利に怯えなくて済み、物件が古くなって修繕が必要になったら引っ越しをすれば良い。
デメリット
家賃が生涯に渡って継続する。
いったいどちらが合理的なのか?永遠の議論で、どちらも正解だと思います。
将来、年金だけで暮らしていけるのか
老齢年金がいくら貰えるのか?は、納めた厚生年金の額によって人それぞれ違います。
厚生年金保険料は納められる上限が決まっており、どんなに高所得者の医師でも、老齢年金に反映できる金額が限られております。
平成15年に老齢年金の計算式が改定されており、平成15年以降しか年金を納めていない若い世代の先生なら、高所得でも年金は多くても手取り30万円には満たない事が殆どだと思います。
ボーナス制度が無い病院にお勤めの場合は、年金の手取りは20万円前後の場合も考えられます。
この金額の範囲で家賃と生活費を捻出するのは、かなり厳しいでしょう。
老後の生活費はいくら必要?
年を重ねると医療費の心配や介護費用もかかるようになりますし、さらに厳しい状況が予測されます。
年金額を上げる手段としては、勤務医であれば定年後も病院に在籍、もしくは転籍して仕事を続け、厚生年金をさらに納めたり、年金の受給を遅らせたりすることです。そうすれば、少しでも年金を多く受け取る工夫をすることができます。
それでも、年金で不足する部分については貯えをしておくのがベストです。
でも、将来のインフレ率も読めませんし、生活費が今の2倍近くかかるかもしれません。
いったいいくら貯えておけば安心して暮らしていけるのでしょうか?
賃貸派は家賃がネックに
人生100年時代を迎え、65歳で定年後の35年間の家賃の総額はいくらになるのでしょうか?
家賃が10万円/月だとしたら35年分の家賃は4200万円の準備が必要ですが、都心部で家賃10万円といえば、学生用のワンルーム程度ですよね。
夫婦で住むマンションなどでしたら家賃15万円/月くらいは見積もっていた方が良さそうですね。
そうすると、家賃の準備だけでも6300万円も貯えておかなければなりません。
賃貸派に限らず、医師の老後対策として
そこで、一生を賃貸派で送りたいとのお考えの医師には、不動産投資を取り入れておくことをお勧めいたします。
不動産投資は、不動産のローン返済は居住者からの家賃で返済し、ローンの返済が終われば家賃収入のみ継続的に入ってくるので、その家賃収入をご自身の家賃に充てることもできます。
不動産のローンは、その他のローンと比べると非常に低金利に設定されております。
銀行からの借入金ができるというのは信用力がないと借入できませんが、信用力があるほど低金利で資金調達ができます。
また、築年数があまりにも古くなると家賃に影響があるかもしれませんが、途中で物件を買い替えしておくなどの対策を講じることで、家賃相場を安定させ将来の継続的な収入も見込むことができます。
マイホームを購入するかどうか、長い人生においてどれが正解かはわかりませんが、どちらを選んでも、対策を取り入れておくことが必要だと思います。
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▼著者
長尾 真裕美(ながお まゆみ)
株式会社みらいDC代表取締役として、確定拠出年金の導入や企業型内で社員向け金融教育や金融系セミナー活動を行なっている。
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