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    【若い医師向け】税金を知って資産運用に活かそう! | 勤務医ドットコム

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    【若い医師向け】税金を知って資産運用に活かそう!

    tokyoh@dmin2017

    「税金」という言葉を耳にすると「取られる」「かかる」など、あまりプラスイメージが湧かない人も多いのではないでしょうか。しかし税金の仕組みを理解せず毛嫌いしてばかりではお得な情報を見逃してしまう可能性があります。現代社会において税金と関わることなく暮らしていくことは、ほぼ不可能といえるでしょう。

    税金の仕組みを知っておくことでプラスになることも多いため、若いころから税金の知識を学ぶことは非常に大切です。本記事では、税金の仕組みや節税方法、資産運用方法などについて学んでみましょう。

    所得と税金

    日本では、多くの種類の税金があります。個人の収入に対して課税されるのは国税の所得税ですが課税所得額への税率は5~45%の累進税率です。地方税の住民税は、原則一律10%となるため、あわせると15~55%の税金が課税されます。税率は、給与所得者も個人事業者も同じですが個人事業者は必要経費が認められるのが特徴です。

    一方給与所得者の場合は、必要経費を含めて給与所得控除で収入額に応じて控除される仕組みとなっています。2018年度改正(2020年1月施行)では、高額所得者の給与所得控除が制限されたため、給料の高い専門職や管理職・経営者層は、税負担が大きくなっているといえるでしょう。

    勤務医にも必要経費が認められる場合がある:給与所得の節税法

    給与所得者である勤務医の節税法として2016年から改訂され施行されているのが「給与所得者の特定支出控除」です。給与所得者の特定支出控除とは、簡単にいえば「給与所得者の経費を認める」といった内容になります。具体的には、以下の7項目で経費算入が認められています。

    * 通勤費
    * 職務上の旅費
    * 転居費
    * 研修費
    * 資格取得費
    * 帰宅旅費
    * 勤務必要経費(図書費や衣服費、交際費など)

    その年の給与所得控除の2分の1が適用判定基準です。ただしそれぞれの費目についての適用条件に合致した内容かつ給与支払者が証明したものに限られます。もし該当しそうな支出があれば一度調べて確定申告をすることで節税が期待できるでしょう。

    金融商品には税金がついてくる

    金融商品などで資産運用することで資産をより一層増やすことが期待できます。しかし資産運用の際にも税金の知識は欠かせません。ここでは、証券会社や銀行で開設することができる特定口座やNISA口座、また総合課税と源泉分離課税についても学んでみましょう。

    特定口座の使い方

    証券会社や銀行で株式や投資信託、債券などを購入する場合は、「特定口座」「一般口座」のどちらかで口座開設が必要です。そこでここでは、最初に特定口座と一般口座の違いや特定口座の源泉徴収ありと減徴収なしの違いを表で確認してみましょう。

    特定口座の使い方

    (出典=楽天証券)

     
    特定口座は、証券会社が年間取引報告書を作成してくれます。しかし一般口座の場合は、年間取引報告書がないため、確定申告時に自分で1年間の損益を計算することが必要です。以下で特定口座の「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の違いを見てみましょう。

    ■ 源泉徴収あり口座
    譲渡損益(株式・投信などの売買損益)と配当・分配金の特定口座年間取引報告書の作成と源泉徴収・納税が行われます。そのため確定申告をせずに税務手続きを完了することも可能です。

    ■ 源泉徴収なし口座
    特定口座年間取引報告書は作成されますが配当・分配金について取引報告書は作成されません。また配当・分配金は、支払い代行者(信託銀行)で源泉徴収されますが譲渡所得(売却益)があった場合の利益分の源泉徴収はされないため、一定額(給与所得者の場合は20万円超の所得)の譲渡益がある場合は、確定申告が必要です。

    源泉徴収なし口座の使い方

    一般的には、特定口座内で納税が完結する源泉徴収あり口座を選択する人が多い傾向です。しかし源泉徴収なし口座を選ぶメリットについても確認しておきましょう。主に以下のような場合は、源泉徴収なし口座を選択するのがおすすめです。

    ・ 前年の確定申告で譲渡損益の繰り越し損がある場合
    ・ 売却時に約20%の源泉徴収なしで利益額を全額現金化したい場合

    また源泉徴収なし口座を選択した場合は、確定申告時に納税が発生することが前提となるため、納税資金の準備が必要です。ただし「源泉徴収あり→源泉徴収なし」へ口座を切り替える場合は、1月1日以降、1件でも源泉徴収をする取引があるとその年は変更できません。そのため現在源泉徴収ありを選択している人は、変更するタイミングに注意が必要です。

    結論として運用経験や確定申告に慣れた人にとってはメリットのある選択となるのではないでしょうか。

    NISA口座の使い方と注意点

    2021年時点でNISAは、年間120万円の枠内で株や投資信託等を購入し保管する場合、値上がり益や配当・分配金が非課税になります。毎年120万円のNISA枠が5年使えるため、5年間で計600万円まで非課税で運用が可能です。また6年目には、ロールオーバーで新年度のNISA枠を使ってさら5年間、通算10年間非課税運用ができます。

    このようにNISA口座の銘柄株や投資信託がプラスの場合は、問題ありません。しかしNISA口座内の金融資産が元本割れの場合は厄介です。含み損の対応は「継続保有」「損切処分」のどちらかとなります。またNISA口座内の損益は、特定口座や一般口座の損益と損益通算ができません。以下で例を見てみましょう。

    口座の種類 銘柄 含み損益
    一般口座もしくは特定口座 A +20万円
    B +15万円
    NISA口座 X -20万円
    Y -10万円

    一般口座もしくは特定口座の銘柄Aを利益確定売りする際に含み損が出ているNISA口座の銘柄Xや銘柄Yと損益通算はできません。そのため銘柄Aを売却する場合は、20万円の約20%となる約4万円が源泉徴収されます。もし銘柄Xと銘柄Yを一般口座もしくは特定口座で取引していた場合は、損益通算が可能です。

    例えば銘柄A(+20万円)と銘柄X(-20万円)を売却することで損益はプラスマイナス0となり税金がかかりません。そのためNISA口座に入れる銘柄は、よく考慮して選ぶことが必要です。

    総合課税と申告分離課税の損得

    所得税を計算する際に合算して損益を通算できる(プラスとマイナスを通算)総合課税と損益を通算しない申告分離課税があります。上場株式や投資信託の譲渡損益(売却損益)は、給与所得や事業所得と通算できない分離課税所得です。株式の配当や投資信託の分配金は、給与所得などとの合算(損益通算できる)できる総合課税と申告分離課税のどちらかを選択することができます。

    総合課税は、10%の配当控除が適用されるのが特徴です。そのため配当や分配金の金額が大きい場合、「分離課税」「総合課税」のどちらを選択するかで納付する税額に違いが出てきます。ここでは、所得額によって「総合課税がよいか」「申告分離課税が得か」の境界線を確認してみましょう。配当や分配金には、所得税と住民税の合計で20.315%(復興特別所得税を含む)の源泉徴収課税がかかります。

    20.315%の内訳は、所得税15.315%、住民税5%です。所得税は、所得が上がるごとに5%、10%、20%、23%、33%……と税率が上がっていきます。総合課税では、株式配当に10%の配当控除があるため、例えば所得税率が23%の税率の場合、配当分の税率は13%(23%-10%)です。この結果「13%<15.315%」となり課税所得額900万円、所得税率23%以下の場合は、総合課税が有利になることが分かります。

    そのため税率33%以上の場合は、分離課税が有利なのはいわずもがなです。給料収入額で見ると世帯状況などで所得控除額が変わりますが所得額900万円は、給与収入額1,200万~1,400万円程度の方が該当することが予測されます。

    * 年間給料収入1,200万円、配当収入30万円、家族3名(妻と高校生)の場合
    * 課税所得:約731万円(所得税率23%)と仮定
    * 配当収入の課税額

    ■総合課税:30万円×13%(23%-10%)=3万9,000円

    ■分離課税:30万円×15.315%=約4万6,000円

    この場合、わずかですが総合課税が有利となることが分かります。投資信託の分配金は「所得控除の率が5%になる」「課税所得が1,000万円以上になると配当控除が5%に減額される」といった場合があるため「課税所得900万円を境目に総合所得選択を判断する」と記憶しておくのが良いでしょう。

    不動産と税金

    投資運用の不動産を所有する場合は、賃貸収入の入る収益物件とそれ以外の不動産によって同じ税目でも税務処理が違ってくるため、注意が必要です。収益物件の場合は、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などが経費として認められます。一方、所有して将来譲渡などを意図する場合は、上記と同じ税目であっても経費として認められません。

    また将来売却などで処分をした場合、固定資産税・都市計画税以外は譲渡益の計算の際に取得価格に加算されるため、納付の書類などの保管が必要です。

    ふるさと納税と所得額

    ふるさと納税は、2019年の金券による割増返礼品などで多くの人が利用して話題となりました。2020年度の返礼品の見直し後も件数・金額ともに伸びている傾向です。ふるさと納税は、個人の所得と世帯状況に応じて寄付(納税)限度額が変わります。限度額は、所得によって開きがあり高額所得者のほうが有利です。高額所得者は、住民税の納付額が多いため、ふるさと納税の額も当然大きくなります。

    以下で収入額と限度額の比率を見てみましょう。

    給与収入と返礼品の比率(夫婦共働きで高校生の子ども1人の場合)
    給与収入 限度額の目安 返戻品額
    (限度額の約30%と仮定)
    返礼品額÷給与収入×100
    400万円 約3万3,000円 約9,900円 約0.24%
    800万円 約12万円 約3万6,000円 約0.45%
    1,200万円 約23万2,000円 約6万9,600円 約0.58%
    2,000万円 約55万2,000円 約16万5,600円 約0.82%

    ※表は総務省 全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安から抜粋

    収入額と返礼品の額との比率を見てみると「収入が多くなるほどお得な制度」ということが分かります。

    まとめ

    20代・30代で収入が比較的多い人を想定して給与所得の特定控除制度と資産運用における税金などを解説しました。資格取得や研修費などキャリアステップを目指す人にとっては、給与所得の特定控除制度を試してみる価値があるといえるでしょう。また資産運用の税金は、実際に特定口座やNISAを使用してみて気になる点を挙げてみました。

    若いうちから税金の仕組みに向き合うことで世の中の仕組みが見えてくることもあります。そのためぜひ日ごろから税金について興味関心を持ってみてはいかがでしょうか。

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