こんにちは、医師で投資家の大石です。
最近、物価が上がってきていますね。物の値段ももちろん上がっていますが、バイトなどの人件費も高騰しているようです。ロレックス、不動産など高級品の類も値上がりしており、色々な物の値段が上がり始めております。
物の値段が上がる、というとおそらく「インフレ」という言葉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
今回起こるのはインフレなのか?本当に景気が良いのか?一体どうするべきなのか?勤務医が取るべき行動は?
考えていきたいと思います。
インフレーション、デフレーション、スタグフレーションの違い
いきなりですが、インフレーション、デフレーション、スタグフレーションの違いについて、ご存知でしょうか。
インフレーションとは、物価上昇という観点から考えれば、好景気による物価上昇の事です。
物やサービスがよく売れるので、物やサービスの値段が上がって、みなさんの給料も増えて、さらに物やサービスがよく売れて、という循環が生まれる状態です。まさに好景気という感じですね。
デフレーションとは、景気低迷による物価下落の事です。
物やサービスが売れなくなり、値段が下がり、利幅が取れないのでみなさんの給料も下がり、物やサービスはさらに売れなくなり、という循環が生まれる状態です。まさに景気低迷という感じです。
一方のスタグフレーションとは、物価上昇という観点からすると、物価は上がっているけれど、特別物やサービスがよく売れるわけではない状態のことです。
物やサービスの値段が上がるのですが、特別よく売れるわけではないので、利幅が取れず、給料は増えないので、別に何かを買おうという気にもならず、また売れず…という、なんだか最悪な感じですね。
今からはスタグフレーション?
実は、今は世界で物価上昇が起こっており、これを止めるべくFRB、ECBがこぞって金利上昇を行なっております。日本では日銀がそれを否定し、今のところ金利を上げる事はしていませんが、メガバンクが住宅ローン金利を上昇させました。
これは銀行が貸倒れリスクに備えて金利を上昇させ始めている可能性があり、景気は良くはならないだろうな、という印象です。
それでも物価上昇が止まらないのであれば、それはスタグフレーションになり得ます。もちろんこのまま物価が落ち着いて、単なるデフレである可能性も否定できませんが、デフレの場合は別に問題ないと思います。日本人はここ30年くらい、ずっとデフレであり、デフレの世界で生きる事には慣れているはずです。やれ貯金しろ、無駄遣いするな。そんな調子で、デフレの世界をさらにデフレにして生きていく事は、日本人は得意です。
一方で、困るとすればスタグフレーションになった時でしょう。
スタグフレーションになったら、勤務医はどのような投資行動を取るべきなのでしょうか?
スタグフレーションでの基本戦略1、現金を資産に変える
スタグフレーションでの基本戦略は、まず現金を持たない事です。現金の価値が薄まって、資産や物、サービスの価値が高まっていきます。サービスは保存する事ができませんから、基本は現金を資産や物に変えてしまうのが良いです。
具体的には、株や不動産、債券などです。
金利が上昇すれば株や不動産は下がりますが、それを吸収したなお大きな波として「現金の価値が薄まる」のが、スタグフレーションにおける物価上昇です。
ある程度の増減は見込んだ上で、現金を持たない。
この知識を携えた上で、勇気を持ち、実行に移す。これが必要になります。
スタグフレーションでの基本戦略2、借金を少なくする
次に大事なのは、なるべく借金を減らす、しても少額にするという事です。
インカムが増えないのに、金利だけ上がるという事は、借り入れそのものの価値が目減りするという事です。
ですから、銀行側も例えば「借り入れによって購入した不動産」の価値を、低く見積もらざるを得ません。
なるべく借金を減らしてしまう、つまり繰上げ返済や一括返済をしてしまうか、もし借りるとしても少額を借りて、あとはなるべく手元のキャッシュの範囲で資産ポートフォリオの再構築を行うべきです。
スタグフレーション下でバランスシートを無駄に拡大する事は、大きなリスクにつながります。
バランスシートはなるべくデフレ下で、余裕を持って潰れない程度に拡大し、あとは物価上昇を伴ったインフレを待つのが基本です。
スタグフレーション、何を見るべき?
では「スタグフレーションかどうか」を、どうやって見極めれば良いのでしょうか?
これには諸説ありますが、1つ確かな事として「政策金利」は大きなヒントです。
現状、FRBとECBは金利を上昇させていますが、これは間違いなくインフレかスタグフレーションか、どちらかが起こると予測しているからです。
デフレが起こると予測している局面では、中央銀行は金利を下げます。逆に中央銀行が金利を上げるという事は、デフレ以外のことを想定しているわけであり、それはインフレかスタグフレーションかのどちらかです。
つまり注目すべきは、日銀の動きと、日本の政策金利、各銀行の貸出金利でしょう。これらから目を離さず、常日頃見るクセを今のうちから身につけておけば、いざというときの初動で有利になるかもしれません。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。