患者の健康のために、日々ハードワークを続ける医師。多くの人から感謝される素晴らしい仕事ですが、医師の家族からすれば「多忙で倒れないか」「本人の体も大切にしてほしい」と常に心配が絶えないものです。そこで今回は、医師が実践すべき「簡単健康術」をまとめます。ぜひ今日からやってみてくださいね。
多忙な医師の生活
日本医師会「医師の働き方検討委員会」が平成30年4月に発表した資料「医師の働き方検討委員会 答申」を見ると、医師がいかにハードワークな日々を送っているかがよくわかります。
「平成 24 年の総務省就業構造基本調査」によると、職業別週労働時間 60 時間以上の雇用者割合は総数 11.6 %のところ、医師は 38.1% と最も高く、宿直明けも通常の勤務を行っている、休日がほとんどないという医師が少なくない等、過酷な勤務実態が明らかになっています。
医師が健康術を実践するべきなのは、日々多忙な生活のため、「運動を頻繁にすることができない」という点も大きいでしょう。日経BPメディカル研究所が2016年に調査した結果によると、回答した医師2,561人のうち、「全く運動しない」は19.4%で、週に1回以下が過半数を占める結果になっています。
生活習慣病を防ぐためには運動が効果的ですが、多忙な医師だからこそ、もっと生活に運動を取り入れてもらいたいところです。ただ、忙しい生活の中では運動を取り入れるのが難しいのも事実です。そしてそれではいけないと強く思っているものの、そのままにしている医師の方も多いのではないでしょうか。「何としても続けなければ」と思うとおっくうになってしまうので、気軽に「簡単健康術」を実践してみてください。
見習う医師も多い日野原重明さんの健康方法とは?
健康で長生きした医師の代表的な存在と言えば、聖路加国際病院の名誉院長だった日野原重明さん。享年はじつに105歳。日野原さんは亡くなる1週間前もベッドの上で足を動かしてリハビリをしていたそうです。
食事面もとても気を付けていたと言われています。1日の総摂取カロリーは1,300キロカロリー、食事内容も毎日ほぼ決まっていて、朝食はオリーブオイルを垂らしたオレンジジュースと大豆レシチン入りの牛乳、昼食はビスケット2枚と牛乳、夜は自由でした。
また、日野原さんは「院内を歩くのが早かった」と言われています。忙しい日々のなかで運動はできなくても、院内をてきぱきと移動することで運動のかわりにしていたのでしょう。それともう1つ押さえておきたいポイントは「前向き」な精神状態です。日野原さんは常に前向きで、人に対する感謝の気持ちを忘れずに過ごしていたそうです。
「病は気から」という言葉もあるので、誰でもすぐにできる簡単健康術は、日野原さんが実践されていた「前向きな気持ちを保つこと」かもしれません。
健康のための一、十、百、千、万!
日本医師会は「がんばらない健康法。健康のための一、十、百、千、万!」を提唱しています。その内容を紹介すると、一は「一読」で、新聞・雑誌・本などを1日1回読んで、認知機能を刺激すること。十は「十笑」。1日10回笑って免疫力を高めることで、がん予防も期待できるそうです。
百は「百吸」。1日100回の深呼吸をして肺機能を高め、自律神経の安定とストレスを解消します。千は「千字」。日記・手紙・メモなど、1日千字書くことで認知機能を高めましょう。万は「万歩」。歩くことはメタボ予防、記憶力向上、認知症予防に効果的なので、毎日歩くことを心がけましょう。
「睡眠をしっかりとる」ということも重要です。睡眠不足は高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の原因になることがあるので、どんなに忙しい日々を送っていても、睡眠時間だけは確保するようにしたいところです。
睡眠は寝る時間を確保することと同時に、「高い質の睡眠をとる」ことが大切です。どんなに長い時間寝たとしても、脳と体が休めない質の低い睡眠では意味がありません。
質の高い睡眠をとるためには、体内時計を整えることからはじめましょう。人間の体内時計は24時間ジャストではなく24時間11分と考えられているので、そのままでは1日の生活とずれが生じます。朝に光を浴びることで体内時計はリセットされて、ずれを戻すことができます。
また、枕やパジャマなどの寝具にも気を使いましょう。高すぎる枕を使っていると肩こりやいびきの原因になり、熟睡できなくなる原因になる可能性があります。自分にとってストレスを感じない寝具を探してみてくださいね。
まとめ
多忙だからといって何もしなければ、多くの患者の守ることはできても、自分の健康を損なってしまうかもしれません。ご家族のため、患者さんのためにもご自身の健康に気を配っていただきたいものです。