不動産投資を行う上で「返済」の足かせは思った以上に重たく感じるものです。
様々な理由から不動産投資ローン(アパートローン)の借り換えを行うこともあります。
ここではローンを借り換えする意義や、そのメリット・デメリットに着目し、不動産投資家がより有利な条件を得るための情報をまとめました。
現在のローン契約条件を見直したいと考えている方もご参考ください。
不動産投資ローンの「借り換え」とはどのようなことか?
現在借り入れを行っている金融機関から、他金融機関へ乗り換えることを指しています。
理由としては、下記の2つのことが考えられます。
- 借入金利の低下により、新たに借り入れを起こすことで返済総額の圧縮ができる
- 新たに投資物件の購入を検討する際、借り入れを一本化した方が支払金利を圧縮できる
例えば、ローン残債が2500万あり、年利が0.1%低いローンに借り換えるだけでも、1年間で2万5000円の金利圧縮が見込めます。
年利とするとわずかな額ですが、返済期間や残債額によっては、大きな圧縮額になるでしょう。
借り換えを行うメリットとデメリットは?
不動産投資ローンの借り換えを行う上でのメリットとデメリットをまとめました。
それでは一つずつみていきましょう。
【メリット】&9312;投資物件の利回り向上
借り換えによって支払利息の圧縮に成功すると、その分投資物件の利回りが向上します。圧縮額の分だけ、収益拡大につながります。
【メリット】&9313;資金に余裕が生まれる
わずかな金額でも、金利が下がった分だけ毎月の返済額を減らすことができます。
その分資金に余裕が生まれるため、修繕費積立などの費用に回すことや経費支払いに充てることができます。
【メリット】&9314;信用力が高まる
不動産投資ローンの借り換えを通じて新たに取引銀行を開拓することができます。
借り換えの審査が下りれば、投資家自身の信用力が高まります。
ローンそのものの借入額は減りますが、借入額との兼ね合いにより融資期間を短く設定される場合があります。
「融資期間が短い=支払利息もさらに減らせる」というメリットがありますが、借り換え前の状態より、月々の返済額が増えるデメリットもあります。
【デメリット】①各種手数料が発生する
繰り上げ返済を行う場合、これまで借り入れを行っていた金融機関に対し「一括繰り上げ返済手数料」を支払うことになります。
これは返済金額に応じて決定されることが一般的です。
また、契約時に固定金利を選択した場合は一括繰り上げ返済手数料も高くなるので注意が必要です。
もちろん、新たに借り入れを起こす銀行に対しても事務手数料や印紙税などが発生します。
投資物件に抵当権を設定していた場合、抵当権の抹消費用や、新たな抵当権設定費用が発生します。
この手数料関係だけでも大きな金額の支出が予想されます。
【デメリット】②今後金利上昇のリスクがある
マイナス金利政策が続く今だからこそ、金融機関からの融資を受けやすい現状があります。
しかし、これからの外国為替の変化や日本の金融政策の方向転換によって、金利上昇の可能性も否定できません。
今は借り換えによって金利を低く抑えられたとしても、将来、金利の上昇に伴う負担増のリスクもあります。
もちろん長期的な金利の変動に対する予測は難しいため、「リスク」に対する理解が求められます。
【デメリット】③審査落ちの可能性
金利政策の兼ね合いから、金融機関側も融資に対するハードルを下げています。
ただし、ローン借り換え希望者すべてに門戸を広げているものではなく、金融機関の規定により審査が行われます。
本業で安定した収入を得ている兼業投資家の場合でも、賃貸経営の状況が思わしくなければ不受理となることがあります。
もしくは融資期間を短くする・希望額より減額の上融資可能・連帯保証人を立てることというような厳しい条件を課されることも考えられます。
借り換えはどのタイミングで行うのが妥当か?
それではメリットやデメリットを踏まえて「不動産投資ローンの借り換えはどのようなタイミングが良いのか」を探っていきましょう。
①新たな投資物件を購入するタイミング
賃貸経営の規模を拡大するべく新たな投資物件を購入するタイミングでローンをまとめることができます。
購入物件の金額より借入額が増えてしまいますが、金利を低く契約することができれば、利息分の支出を少なくすることができます。
②不動産投資ローンの現状を見直すタイミング
以下二つの条件が合致すれば借り換えのタイミングと言えます。
- 借り換え先のローンとの現在の金利差が1%以上あること
- 返済期間が10年以上残っており、かつローン残高が500万円以上あること
現在借入を行っている不動産投資ローンと、借り換えを検討している不動産投資ローンの金利差が1%以上という数字は、現在のローンを一括繰り上げで返済する時や新規に借入を起こす時に必要な諸費用を考慮したものです。
先にデメリットとして挙げた通り、借入時にはもちろん、ローンの繰り上げ返済や抵当権の抹消などには大きな費用がかかります。
金利差で借り換えのために発生した諸費用を相殺することができるか見極めることは大切です。
また、500万円未満の残高である場合や10年以内で完済できるローンの借り換えは諸費用の支払いを考えると、得策ではないかもしれません。
(この場合、借り換えではなく一括返済した方が節約できます)
「金利が低いから」「融資のハードルが低い」という理由だけで借り換えを検討することは得策ではないとされています。
金融機関は、取引状況の他、不動産事業の業績や本業の勤務状況等も細やかに審査します。タイミングを間違えれば審査が通りにくくなります。
先に挙げたようなメリット・デメリットを鑑みながら借り換えのタイミングを検討しましょう。