医師として働いていると、毎日の業務に忙殺されて、ふと自分の立場を客観視できない場合があります。
結果的に体調を崩してしまったり、メンタルに不調を来したり、まさに「医者の不養生」になってしまう事も少なくありません。
今回は「気がついたら医師の生産性を下げてしまう」5つの悪い習慣についてです。
医師の悪習慣1、睡眠の質が悪くまばら
生物にとって睡眠は、健康でいるための基本です。睡眠が十分に取れないと、それだけであらゆる体調不良の原因になり得ます。
医師は仕事の性質上、どうしても睡眠がまばらになりがち。当直や待機業務も多く、家で寝ていても呼び出されてしまうケースがあります。
また仮にまとまった睡眠時間を取る事ができたとしても、当直中の「いつ呼び出され起こされるかわからない状態」という、一種の緊張感が睡眠の質を低下させます。人によっては
・枕が低い
・ベッドが硬い
・照明の具合でなんか眠れない
等、いつもと違うハード面での環境変化によって、睡眠が妨げられてしまう事があります。
医師という仕事は思った以上に「睡眠が妨害されがち」です。それを意識して、休める日や休める時間にしっかりと休み、質の高い睡眠をまとまって取る事は、健康被害を予防するのに大いに役立ちます。
医師の悪習慣2、病院の外に出ない
医師は多忙さも相まって、職場と家の往復で、どうしても病院の外の世界触れない事が多くなってしまいます。これはあらゆる面でマイナスです。
まずは情報が入ってこない。情報が入ってこなくても通常の業務には差し支えないと思う医師も多いと思いますが、世の中の細かなトレンドを押さえておく事は、患者さんやスタッフとの日常的なコミュニケーションの基礎となるため、有用です。
またこの悪習慣が長く続くと、存在自体が浮世離れしていき、周りから「浮いている」ように見えて、余計に病院の外に触れる機会が減ってしまいます。
次に病院が「世界のすべて」だと思ってしまいがち。病院での評価、医師としての評価は、人間としての評価とイコールではありません。
父親としての評価、母親としての評価、日本人としての評価、あらゆる面からの外的な評価がなされて形成されるのが「その人の評価」です。あまりにも狭い「病院での評価」が先鋭化してしまうと、人生トータルで見て判断を誤ったり、後悔する事も出てきてしまいます。
医師のような専門性の高い仕事ほど、積極的に病院の外へ出ていくべきです。
医師の悪習慣3、仕事の話しかできない
上記の話に続いて、職場の人間と仕事の話ばかりするようになってしまうのも悪い習慣の1つです。
プロフェッショナルとして仕事を完遂することは最低限必要な事柄ですが、あまりにもそこだけになってしまうと、今の時代の医療においてはマイナスが多いでしょう。
今の時代の医療は、個人の才能や技量に依存する部分をなるべく排除し、マニュアル化し、専門分化させています。各々のプロフェッショナルを、円滑なコミュニケーションで接続して、トータルで大きな成果を出す仕組みです。プロとして最低限の技量は必要ですが、ある閾値をクリアすれば、そこから先求められるのは円滑なコミュニケーションです。円滑なコミュニケーションには、仕事以外の話も必要になってきます。注意しましょう。
医師の悪習慣4、椅子と机が合っていない
地味な内容ですが、確実に効きます。医師になってから思ったことですが、割と座ってカルテを書いている時間って、長いですよね。その時間を、合っていない机と椅子で過ごすのか、なるべく快適な環境で過ごすのかは、肉体の疲労度に結構影響すると思います。
椅子が合っていなければ腰が痛くなりますし、机が合っていなければ肩が凝ったり首が痛くなります。これによる集中力の低下は、医師の生産性を下げてしまいます。
そんなに大金がかかるわけではありません。可能であれば自分に合う机と椅子を用意して、良質な事務仕事の環境を手に入れましょう。
医師の悪習慣5、自然に触れていない
病院は割と人が多いエリアに多く、職場と自宅を往復しているだけだと「自然」に触れる機会は少ないと思います。
しかしながら、僕は定期的に自然に触れることをオススメしています。
理由は、抽象的で申し訳ないですが「なんか元気になるから」です。
生き生きとした自然に触れることで、日常的なごちゃごちゃから離れて、頭の中を空っぽにすることができます。自然に触れ終わって日常に戻ると、頭の中がスッキリした状態で、クリアに仕事に向かうことができます。
一流のスポーツ選手や経営者も、瞑想をしたり自然に触れたりして、脳内を整理してから挑む人が多いそうです。
これは生命と健康を扱うプロフェッショナルである医師にも通じる話だと思います。騙されたと思ってぜひ1度、やってみて下さい。
最後に
いかがでしたでしょうか?
医師という職業ほど、生産性を高めて、より患者さんの「健康」という形で還元していくのは、社会的に意義のある事だと思います。ぜひ試してみて下さい。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。