不動産投資はリスクが高いと思われがちです。しかし、内容や仕組みを知ればハイリスクな投資ではないことが分かります。例えば、不動産投資は生命保険の代わりになる点はメリットの一つです。万が一のとき、残された家族が生活に困らないように、多くの方は生命保険の加入によって準備をしてると思います。しかし、必ず生命保険で準備する必要があるのでしょうか。
今回は、賢く遺族へ資産を残す方法として高所得者の医師が行っていることを解説します。
残される家族への保障はどれくらい必要?
家計を支える中心人物が亡くなった場合、残された家族は今までと同じ生活ができなくなる可能性があります。そこで残された家族の生活を支えるための資金を多くの人が生命保険などで備えている傾向です。もちろん金額が多ければ多いほど残された家族は助かりますが受取保険金額が多くなるほど保険料は高くなっていきます。
受取保険金額は「現在の生活費」「残された家族の人数」「年齢」などにより必要保障額を算出してそれに合わせて準備するのが一般的です。
40歳医師<年収2,000万円>子ども2人の場合の試算
必要保障額を計算するときに重要となるのは「家計の中心人物の年収」「家族の生活費」「教育資金」の3つです。今回は、年収2,000万円、4人家族(夫婦と子ども2人)の必要保障額について考えてみましょう。
続柄 | 年齢 | 年収・属性 |
---|---|---|
夫 | 40歳 | 勤務医で年収2,000万円(手取り金額約1,200円) |
妻 | 38歳 | 専業主婦 |
子ども | 10歳 | 小学生 |
子ども | 8歳 | 小学生 |
毎月の生活費 | ・住居費:20万円 ・教育費:15万円 ・生活費:45万円 ・貯蓄額:20万円 |
年収2,000万円と聞くと非常に優雅な生活をしているイメージがあるかもしれません。しかし高収入になればなるほど「公的支援が受けられない」「社会保障費や税金などの税率が上がる」といった影響により手取り金額が少なくなってしまいます。年収2,000万円でも手取り年収は約1,200万円程度となり月換算で約100万円です。
毎月の生活費の中で住居費については家をローンで購入している場合、団体信用生命保険に加入していればローンの支払いはなくなりますが教育費や生活費などはなくなりません。仮に生活費は人数が減るので7割程度まで下がるとしても約50万円は必要です。さらに子どもが大きくなり大学へ進学するころには教育費も山場を迎えるため、それまでの準備として貯蓄も必要になります。
夫に万が一のことがあった場合の必要保証額は、約50万円です。しかし残された家族には遺族年金が支給されるため、全額保険などで準備する必要はありません。遺族年金は、生前の収入と家族の人数、年齢によって異なります。正確な金額を計算することは難しいため、今回の場合は約18万円受け取れると仮定すると準備が必要な金額は32万円です。
生命保険で準備する場合
必要保障額を準備する方法として一般的なのが生命保険です。しかし生命保険で準備する方法は多岐にわたり選択によっては保険料が大きく異なる場合があります。生命保険で準備するための3つの方法を比べてみましょう。
必要なときに必要なだけ、効率的に準備したいなら収入保障保険
遺族の生活を支えるための保険として近年一般的になっているのが収入保障保険です。収入保障保険の特徴は、加入からの年数が経過すると必要保障額も減額していく保険のため、受け取ることのできる保険金額が減少していきます。無駄な保障をつけないことで保険料の負担を減らすことが可能です。例えば2歳年下の配偶者が65歳で自分の年金を受け取れるときまで40歳から加入した場合、保険期間は27年です。
最初の年は、子どもも小さくこれからお金もかかりますが20年後には末の子どもが社会人となっていた場合、必要になる金額は最初の年よりも少なくなります。つまり「大きな保障が必要なときは大きな金額」「それほどでもないときは程々の金額」を効率よく準備できる保険なのです。ちなみに40~67歳までの27年間月額30万円の保険に加入した場合は毎月2万1,980円の保険料で総支払い金額額は710万5,320円になります。(非喫煙健康割引・就業不能特約付き)
保険期間中一定金額の保障が安心ならば定期保険
定期保険は、加入したときから保険の満了期間まで保険金額が変わらない保険です。例えば収入保障保険では毎月30万円、27年間では最高保険金額は9,720万円になります。しかし20年後からの7年間では2,520万円まで減ります。これが定期保険では加入したときから保険の満了まで変わらず9,720万円が保険金額になるため、いつ受け取っても保険金額が変わることはありません。
保険金額が収入保障保険と比べて大きいことから保険料についても定期保険のほうが高くなります。40~65歳までの9,720万円の定期保険では毎月の保険料は2万5,758円で総支払額は772万7,400円です。(非喫煙者健康割引)
一生涯変わらない保障が欲しいなら終身保険
定期保険は、一定期間の保障しかなくその期間を過ぎてしまうと1円も保険金は支払われません。割り切ってその期間だけ保険に加入する方法もあります。しかし誰しもがいつかは万が一のことが訪れるため、事前に備えておきたい場合は、終身保険がいいでしょう。終身保険であれば加入した直後だけでなく払込みが終わった後でも保険金は支払われます。
しかし終身保険は必ず保険金を支払うため、保険会社にとってはその分の保険料を確保しておくことが必要です。そのため3つの保険の中では一番保険料が高くなり毎月の保険料は32万6,397円になり総支払額も9,700万円を超えてしまいます。しかし65歳で払込みが終わると解約返戻金が約90%程度あるため、解約して返戻金を受け取ると実質の保険料負担額は毎月約3万1,000円です。
それでも毎月の保険料を考えると現実的な方法ではありません。
不動産投資が生命保険変わりになる理由
団体信用生命保険の仕組み
不動産を購入したことのある人であれば団体信用生命保険は聞いたことがあるでしょう。団体信用生命保険は、借り入れをして物件を購入したときに加入する保険で保険金の受け取りは金融機関になります。つまり契約者に万が一のことがあって返済ができなることを防ぐために加入する保険なのです。残された家族にとっては、住宅ローンの支払いがなくなるため住居費の心配をする必要がありません。
金融機関にとっても残りの住宅ローンは保険金で支払われるため、回収ができなくなる心配がないことがメリットです。団体信用生命保険は、住宅ローンのときだけでなく投資用の不動産を購入するときにも加入することができます。
団体信用生命保険の種類
団体信用生命保険には、さまざまな種類があり以下のようなケースのときに保険金が支払われます。
・ ローンの契約者が死亡したり高度障害になったりしたとき(一般的な団信)
・ がんと診断されたとき(がん特約がある団信)
・ 3大疾病となったとき(3大疾病の団信)
なかには、就業不能状態になったときにローンの支払いが免除されたり保険金が一定期間支払われたりするものやその後ローンの全額が免除になるものなど幅広い種類があります。将来の不安に備えるのであれば幅広い保障があるほうが安心です。しかしその分保険料は高くなります。一般的に団体信用生命保険の保険料は、金利に上乗せして支払っていることが多い傾向です。
そのため金利が上がればその分ローンの返済金額が増えてしまします。
団体信用生命保険のメリット
団体信用生命保険のメリットは、基本的にローンの返済額に保険料が含まれるため別に払う必要がないことです。これだけだと保険料の支出が抑えられるだけに感じるかもしれませんが投資用の不動産の場合はどうなるでしょうか。実際にローンを支払うのは自分の収入からではなく入ってくる家賃の中から支払っています。
つまりローンの返済も団体信用生命保険の保険料も自分の労働から得る収入とは関係なく不動産収入から支払っていることになるのです。もしローンの契約者に万が一のことやがんと診断されるようなことがあった場合、ローンの残額は保険金で支払われ毎月の家賃はそのまま残された家族や本人の収入になります。
高収入者の医師がもしものために保険より不動産を選ぶ理由
投資用不動産をローンで購入する場合でも団体信用生命保険に加入することはできます。ローン契約者に万が一のことがあったとき残された家族の生活を守るためのお金を残す方法としてもメリットがあるのです。生命保険で遺族へお金を準備することもできますが保険金額を多くすればその分保険料は高くなり一定期間の保険では期間が終わった後の保障はなくなります。
一番保険料の負担が少ない収入保障保険であっても27年間で710万円以上の保険料を払わなければなりません。しかし投資用の不動産を購入して家族に残す場合、保険期間中に万が一のことがあったらローンの支払いはなくなるだけでなく、物件を所有して空室がなければ家賃は入り続けます。また物件を売却することでまとまった金額を手にすることも可能です。
残された配偶者の老後を考えたとき施設へ入る資金としても使うことも検討できたりその後の生活費として使ったりすることも期待できます。さらに子どもにも資産として残すことも可能です。これらを実現できるのが団体信用生命保険の大きなメリットといえるでしょう。しかも保険料は金利に含まれているため、710万円節約できることにもなります。
こういったことから医師を含めた高収入の人たちは、生命保険を自分で加入するのではなくあえて借り入れをして不動産を選んでいる人がいるのです。
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