開業医が考えることの一つに「跡継ぎ問題」があります。ゆくゆくは自分の子どもに医師になって欲しい、そのためには子どもを医学部に入れたいと考えてはいるものの、何から始めたらよいのか悩んでしまうという方も少なくないでしょう。そこでこの機会に、小学校から中学、高校、大学とすべて私学に通った場合いくらかかるのかなど、子どもの教育に関する情報を押さえていきましょう。
いつから始める? 小学校受験と中学校受験
子どもを将来、自分のクリニックの跡継ぎにしたい場合、大学の医学部に通わせて、その後独り立ちできるレベルの医師にする必要があります。この計画を実現するには、ゴールから逆算して子どもの教育を考えなければなりません。大学受験の段階で急に準備を始めても、難易度が高い医学部の試験に合格することは非常に難しいでしょう。
では、準備をいつから始めたらよいのか……というのが各家庭で悩むポイントになるでしょう。具体的にいえば、小学校受験と中学校受験、どちらの段階から“医師への道”を本格的に歩み始めさせたほうが良いかと考える親は多いのではないでしょうか。
そこでまずは、小学校受験と中学校受験、それぞれのメリットを解説します。
・小学校受験
小学校受験に臨むのは、5歳の子どもです。そのため、試験は学力を評価するのではなく、基本的な日常の生活習慣や創意工夫の力などが問われます。とはいえ、本気で小学校受験を考える家庭では、1年かけて試験の準備をすることも珍しいことではありません。
小学校受験のメリットは、同じように教育熱心な家庭の子どもと触れ合う機会ができることで、自然と学習意欲が高まるという点が挙げられます。学習に対して強制ではなく、早い段階から“自走”できるような子になれば、学力も身につきやすいといえるでしょう。
・中学校受験
中学校受験は小学校受験と違い、「学力」で評価される試験になります。医学部を目指す場合は、小学校受験をしなかった子どもでも中学校受験は必須といえます。この学力試験を突破するためには、相応の勉強時間が必要になります。
中学校受験のメリットの一つは、受験勉強のために本気で鍛えた頭脳を手に入れられることでしょう。ここで手に入れた知識、さらに成功体験はその後の人生に大きな影響を与えることになるはずです。
小学校受験に向けて何をするべきか?
小学校受験と中学校受験、それぞれのメリットを挙げましたが、どちらが正解・不正解ということはありません。実際に、どちらからも医師は誕生しています。これらのメリットや各家庭の状況を見極めたうえで、適切な決定をするようにしましょう。
ここでは「小学校受験のための準備」について考えてみます。希望の私立小学校に合格するためには、一体どんな準備をすればよいのでしょうか?
準備期間は前述のとおり、1年間と考えることが一般的です。折り紙や靴ひもを結ぶ練習など、受験対策は各家庭でできるような内容であるものの、幼児教室に通う家庭が多いのも実情です。幼児教室では、挨拶などの基本的な生活習慣から創意工夫が必要な作業方法まで、さまざまなことを教えてくれます。
大切なのは、子どもの性格に合っていて、なおかつ合格実績のある幼児教室に入れることです。どんなに素敵な幼児教室でも子どもが通いたがらなければ意味がありませんし、どんなに先生が一生懸命でも合格にベクトルが向いてなければそれもまた意味がありません。
希望の幼児教室の小学校受験の合格実績は、必ず事前に確認しましょう。その幼児教室が何を大切にしているのか、どんなことを教えているのか、どんな先生がいるのかなど、できる限り細かく情報収集をして見極めるようにしたいところです。
子どもを医師にするにはいくらかかる?
最後に、子どもを医師にするためには教育費がいくら必要なのかを考えます。
私立小学校では6年間で学費が約200万円。それに加えて塾や習い事などの費用も入れると、学費は合計で約400万円程度になります。同様の概算で、私立中学校は約400万円、私立高校は約300万円。ここまでで合計1,100万円です。
医師になるためには、大学の医学部または医大に入ることになります。ここからがいよいよ“医師への道”の本番で、教育費の差が大きく開くところです。というのも、国公立大学であれば400万円程度の学費で済みますが、私立大学の場合は3,000万円ほどになるからです。その差はじつに7倍強。
仮に、すべて小学校から大学まで、私立の学校に進学した「オール私立」の場合は、トータルで約4,100万円の学費がかかることになります。2人の子どもを医学部に通わせる場合は、この2倍の教育費が必要になるのです。
医師は高収入の仕事ですが、それでも教育費の負担は決して少ないものではありません。そこで多くの医師が考えるのが節税や資産形成を行うことです。勤務医ドットコムには、節税や資産形成についての記事が多数ありますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
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まとめ
子どもを医師として開業クリニックの跡継ぎにするためには「親のディレクション」が何よりも重要になります。そのためには、事前にしっかりと計画を練り、医師になるための道筋を描いてあげることです。ですが、良い教育を与え、医学部を卒業するためには多額の教育費がかかるのも事実です。そのため、節税や資産形成も日ごろからしっかりと考えて、少しずつ実践するようにしたいですね。