「安心して老後を暮らしたい」というのは、誰もが思うことで、これは医師も例外ではありません。しかし、「老後」はあまりにも漠然とした言葉で、実際にどれだけの資金があれば安心して暮らせるのかわかりづらいものです。わからないものに対しては不安がどんどん大きくなり、必要以上に恐れてしまうという悪循環が発生することも。そこで今回は、老後に備えて今からどのくらい貯蓄をしておけばよいのかを解説します。
老後にかかる資金はどのくらい?
ここでは老後を「定年退職して仕事を辞めた後」と定義します。現在は人生100年時代といわれるように、定年退職した後も元気に働き続ける人が増えていますが、多くの人は定年を迎えると収入がなくなり、年金で生活することになります。
年金に関しては最近、大きなニュースがありました。金融庁が年金給与水準の維持が困難なため、95歳まで夫婦2人で生きるなら2,000万円必要と国民に自助努力を呼び掛けたものです。
何とも不安な気持ちになりますが、年金が満額支払われたとしても、全ての人が年金だけで満足に生活できるわけではありません。国民年金と厚生年金では支払われる額が違いますし、各々の事情で必要な費用は大きく異なるからです。
このような個別の事情はあるものの、それは一旦置いておき、ここでは一般的な目安の話をします。金融庁が2019年6月に発表した資料「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」に老後に必要な資金の目安が載っています。
それによると、65歳からの20年で1,300万円、30年で2,000万円の資産取り崩しが必要になるとあります。もちろんこれが絶対的な正解ではありません。3,000万円必要な人もいれば、1,000万円未満で十分に生活を回している人もいます。
ただ、年金が今後どうなるかわからない時代だからこそ、一つの目安として、老後資産としてこれぐらい必要といわれている、ということは覚えておきたいですね。
目指すは25% 理想の貯蓄額
医師のみなさんは高収入なので老後の心配はない――といいたいところですが、そうとは言い切れない現実があります。その理由として「高収入であるがゆえ支出も高額になる(生活水準が高い)」「子どもも医師にするためには高額な学費がかかる」などがあります。子ども1人を医師にするためには、7,000万円~1億円の学費が必要といわれています。
また現実問題として、順調に医師として活躍を続け、ポジションも給料も上がり続ければよいのですが、実際はそうならない可能性もあります。身体を壊してしまえば満足に働けなくなる可能性もありますし、勤務する病院が変われば給与水準も低くなるかもしれません。
だからこそ、今から「貯蓄」をしておくことが大切です。貯蓄の割合の一つの目安は、年収1,000万円で20%、1,500万円以上で25%です。これを読んでいただいた医師のみなさんは、実際にこのぐらいの貯蓄ができているか、確認してみましょう。「これからも稼ぎ続けるから大丈夫」と、貯蓄を後回しにしてしまう人も少なくありません。
また、貯蓄の割合はご自身の将来設計に合わせて変更しましょう。子どもを医学部に進ませるか、将来はどんな老後を過ごしたいかなど、それぞれのケースによって必要な老後資金は異なるため、貯蓄すべき金額も当然ながら異なります。
将来のために始めるべき資産運用術
最後に、今からはじめられる資産運用術を紹介します。勤務医として働く医師におすすめの方法は、不動産投資です。不動産投資とは、マンションの1室を購入して、他の人に住んでもらい、家賃収入を得るというものです。
医師の中でも勤務医は病院からの給与のみでは経費を出して節税することができませんが、不動産投資を行うと、この投資に掛かった費用(広告宣伝費、管理費、修繕費)などを経費に計上できるため、節税効果があります。特に、不動産投資は減価償却費を経費にあげられるメリットがあります(減価償却とは、時間の経過によって建物の価値が減少するため、減ったぶんを損失計上するもの)。
また不動産投資のよいところは、多忙な医師が自分の時間と労力を使わずに行うことができる点です。実際の管理や運営は管理会社に任せることが一般的なので、“活用できる不動産”を購入することができれば定期的な収入を期待することができます。
不動産投資のポイントは、この“活用できる不動産”をいかに購入するかにあります。人気のない駅からさらに徒歩15分以上かかる物件などを購入してしまっては入居者が入りにくい可能性も。そうなると家賃収入が入らないので、不動産投資を成功させることはできません。
実際に不動産投資をはじめる場合は、しっかりと事前準備と勉強をするようにしましょう。
まとめ
将来に不安を感じて漠然と貯蓄をはじめたとしても、「目標」がなければ続かないものです。老後にいくら資金が必要なのか、そのために今の収入のうちのどれだけを貯蓄する必要があるのかを知っておきましょう。また、貯蓄と同時に、「収入を増やす」ことも考えて、そのために必要な情報を収集しましょう。勤務医ドットコムには不動産投資に関する記事が多数あるので、ぜひチェックしてみてください。
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