不動産投資を行う上で、一番重視しなければいけないのが「支出(返済)と収入」のバランスです。
格安で物件を購入しても入居者がつかなければ、「不動産投資は成功した」とはいえません。
もちろん、その物件を手放しても売却益を得ることもできないでしょう。
ここでは、不動産投資を行う上で最も重要な「利回り」についての解説と、不動産投資・不動産事業を行う上で、どのぐらいの利回りがあれば成功といえるのかその目安も紐といてまいります。
不動産投資の基本「実質利回り」とは?
不動産の利回りとは、不動産投資額に対する家賃や地代の収入割合を差しています。
計算式にすると、
不動産の利回り(%)=満室時の年間賃料÷不動産の購入価格(投資額)
で求めることができます。この利回り率が高いほど不動産投資をする方にとって「よい物件・投資に適した物件」ととらえることができます。
例)1億円で購入した12戸 1棟のマンション。1戸・月12万で賃貸すると仮定。
12万円×12戸=144万円(1ヶ月当たりの収入)×12ヶ月=1728万円(年間賃料)
1728万円÷1億円×100(100分率を求めるため)=17.28%
この建物の利回りは、年17.28%です。
ただし、この利回りは、「表面利回り(グロス利回り)」と呼ばれています。
表面利回りは購入前の試算などで用いられる指標であり、投資物件で賃貸経営を始めた場合や、経年経過後はこの利回りを維持できるかどうか保証できるものではありません。
「実質利回り」を知ろう
ここからは、先にあげた「表面利回り」よりも、実質的な利回りに関して説明します。
マンションは12戸あっても、12戸すべてが埋まるとは限りません。
空きができてしまい数ヶ月間10戸分の収入しか得られない可能性も生まれます。
また、経年経過とともに賃料を下げて提供することになった・退去に伴い修繕を行うことになったというように、年間賃料の減収や支払い経費の発生が生まれます。
ここで求めるのが「実質利回り(ネット利回り)」です。
こちらは、
「実質利回り=(年間賃料-年間支出)÷不動産の購入価格
で求めることができます。
年間支出の中には、税金や修繕等の経費も含まれているので、よりリアルな利回りを算出することができます。
例)1億円で購入した12戸 1棟のマンション。1戸・月12万で賃貸すると仮定。
2ヶ月間1部屋空室期間あり、税金他年間経費として200万円の支出
12万円×12戸=144万円(1ヶ月当たりの収入)×12ヶ月=1728万円(年間賃料)
1728万円-24万円=1704万円(2ヶ月分の空室を除く実質的な年間賃料)
(1704万円-200万円)÷1億円×100(100分率を求めるため)=15.04%
この建物の1年間の実質利回りは15.04%となります。
賃貸経営が始まったら、この1年間の動きを見ながら収益を見極めていくことが求められます。
どのぐらいの利回りを目安に物件を選ぶべきか
件購入を考えた時、どのぐらいの利回りを目安に物件を選べばよいのか難しい選択が迫られます。
年間のローン返済額は購入金額の何%に当たる額になるか算出してみましょう。
それ以上の実質利回りを生みだすことができれば、家賃収入でローンを返済し、かつ収入を得ることができると考えることができます。
数字の上ではこのような考え方が成立しますが、都心の一等地と郊外では路線価・地価も異なります。
都心の一等地でアクセスしやすい立地であれば、利回りが低くとも売却益を得られる可能性がありますし、高利回りの物件といっても、交通網が少ない郊外の物件では売却益を得ることが難しいととらえるべきでしょう。
見極めが難しい場合は、不動産投資のコンサル等も行う総合不動産会社を間に入れ、業界における展望を合わせて見据えていくとおのずと、収益につながる物件を選ぶことができます。
利回りの算出方法や、利回りを目安にした物件の見極め方についてまとめました。
利回りの算出は不動産投資物件探しを始めたばかりの方にとって、特に必要な情報であるといえるでしょう。
ただし、利回りの数字に振り回されることなく物件の立地などを総合的に見極めることも必要です。