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    【現役医師連載】勤務医と美容医師において、患者が求める事はどう違う? | 勤務医ドットコム

    医師のキャリア

    【現役医師連載】勤務医と美容医師において、患者が求める事はどう違う?

    tokyoh@dmin2017

    こんにちは、美容業界に医師として勤めています、大石です。

    当たり前なのですが、元々僕は一般の勤務医でした。そこから色々あって美容業界に身を置いているわけですが、両方の世界を見てきたからこそ、その2つの業界の違いがよくわかります。

    中でも、患者さんが求めている事の違いについて、今回は書いていこうと思います。

    患者さんが一般勤務医に求める事

    勤務医時代、基本的に患者さんは2種類に分ける事ができました。

    1、体の健康に大きな問題を抱えている
    2、体の機能に大きな問題を抱えている

    の2つです。

    逆に言えば基本この2つのどちらかでした。患者さんからすると、病院に求めている事はシンプルで「今のこの困った状態、マイナスの状態を元に戻して欲しい」という事だけでした。

    お腹が痛いから、それを治して欲しい。元の状態に戻して、日常生活を送れるような状態にして欲しい。

    膝が痛くてうまく歩けなくなってしまって、困っている。なんとか痛みを取り除いて、歩ける生活に戻りたい。

    このようなシンプルな、当たり前の感情を持った患者さんを相手にするのが、一般勤務医です。

    この「マイナスをゼロに」というところがポイントです。それ以上、つまりマイナスをプラスにして欲しいと望む患者さんは、まずほとんど見受けられないのが、一般勤務医の相手になる患者さんでは、ほとんどでしょう。

    ですから、患者さんからは大抵の場合、感謝される事が多いです。

    「自分のマイナスだった状態が、先生のおかげでゼロに戻りました。ありがとうございます。」

    という、非常にシンプルな感情に基づいた発言が、ほとんどを占めています。

    一方で、美容業界は全く異なります。

    患者さんが美容医師に求める事

    美容業界の場合、基本的に患者さんは

    現状に満足しておらず、より良く高い所に行きたい

    という心理的な要素が、多少の多寡はあれど、全患者さんが持っていらっしゃいます。

    具体的には

    ■ 現状の美容面がマイナスであり、プラスにしたい
    ■ 現状の美容面がゼロかプラスであるが、さらにプラスにしたい

    のどちらかです。

    ここでポイントになるのは、どちらの場合も「最終的にはプラスの領域まで持っていきたい」と、ほぼ全ての患者さんが思っている、という事です。あくまで美容的な側面に関しては。

    そうなると、美容業界で患者さんが満足するかどうかは「自分がプラスになったと思えるかどうか」に掛かってくるわけです。

    こうなってくると、一般勤務医とは全く異なるのがお分かりいただけるでしょうか。

    一般勤務医の場合、あくまでマイナスをゼロに、今ある困った症状や、機能制限を解除してあげるだけで、患者さんの目的は達成され、感謝されます。

    一方で美容医師の場合、スタートがマイナスであろうとプラスであろうと、最終的にはプラス、つまり美容的に偏差値60くらいは最低でも目指したい、と患者さんは思っています。

    人によってこれが偏差値70を目指す人もいれば、55で良いという人もいますが、いずれにせよほぼ全員、50は超えたいと思っているのは間違いありません。
    ですから、例えば元々がマイナススタートだったのを、美容の力で偏差値50くらいにアップさせたとします。一般勤務医であれば、この程度で患者さんは満足して感謝してくれますが、美容の場合はそうはいきません

    これでは目的が達成されていませんから、患者さんからは感謝される事はなく、むしろ目標としていた美容効果を達成する事ができなかったわけですから、インターネットで低評価の口コミを書かれてしまったり、色々言われてしまう可能性があります。

    ここが、一般勤務医と美容医師における「患者さんが求めている事」の違いです。

    これは業界の構造的に、必ずこういった違いが生まれてしまうので、今までもそしてこれからも、無くなる事の無い差として存在し続けるでしょう。

    美容業界こそ、十分なICが必要

    僕が思うに、この埋められないギャップに対して医師側ができる事は、ICの質を高める事です。

    一般勤務医をしている頃、当然ながら何回も患者さんにはICをしました。今のマイナスの状態がゼロになるよう努力するけど、100%なるとは言い切れない。合併症や副作用で追加のマイナス要素が発生する可能性も、当然ある。

    そういった内容を患者さんには伝えていますが、美容業界でも同様、むしろそれ以上に細かくて精密なICが、必要なのではないかと思っております。

    美容業界は、利潤の追及のため、ある程度営業トークを織り交ぜないといけないのは、事実です。

    だからと言って過度に期待をさせて、患者さんの目標値を上げるだけ上げてしまうと、契約は取れるかもしれませんが、後々に「思ったほどではなかった」という残念な結果に繋がりかねません。
    モニター患者の写真など、実質的なビフォーアフターを交えて、現実的な路線も見せながら、過度に期待させる事なく、時間をかけてじっくりICをしていくのが、長期的な目線で見た時に大きな利益をもたらしてくれるでしょう。


    ▼著者
    大石龍之介
    株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

    URL:https://bluestorage.co.jp/

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