こんにちは、美容医師の大石です。
世の中の統計的には、3分の1の確率で離婚するらしいですね。もはや離婚は一般的、バツイチくらいであれば珍しくない世の中になってきました。
さてそんな中、美容医師にとっても当然、離婚は無関係にはいられません。
特に美容医師のような高年収であれば、余計にです。
美容医師の離婚とお金の問題、その対策について考えていきたいと思います。
美容医師が離婚すると、どうなるか?
まず大前提として、簡単に言えば「夫婦2人で資産は分け合う」事になります。
例えば美容医師の口座に5000万円、奥さんの口座に1000万円、時価総額1億円のマンションがあって、マンションの残債が6000万円だったとしましょう。マンションの名義は美容医師側で、ローンは美容医師が1人で組んでいたとします。
そうすると、この夫婦の正味の資産は
現金=5000万円+1000万円=6000万円
マンション=1億円(時価)―6000万円(ローン残債)=4000万円
で、合計1億円になります。本当はマンション売却をするとなれば諸経費がかかりますから、この通りではないですが、まあザッとこんな感じだとしましょう。
そうなると、1億円を半分に分けてサヨナラです。5000万円ずつですね。
ですので、マンションが実質4000万円の価値がありますから、美容医師は口座にある5000万円のうち1000万円だけを残して、奥さんに4000万円を渡して、サヨナラという形になると思います。
また、子供がいればその子供の人数と年齢に応じて、養育費を支払う必要があります。本当は「奥さんの年収」との差が追加のパラメータとして存在していますが、美容医師の場合は高年収でしょうから、実質的に奥さんの年収をほぼ無視できる可能性があると考えて良いでしょう。
なぜか養育費算定表には、年収2000万円までの記載しかありません(笑)おそらく美容医師でこの年収に収まっている先生は少ないと思いますから、あまり一概には当てはめられない可能性がありますが、例えば
・子供が2人、中学生未満
・奥さんの年収がゼロ
であれば、2000万円の計算で養育費は月36万円程度です。
おそらく美容医師の場合は、もう少し年収が高いでしょうから、月40〜50万円の養育費は子供2人に対してかかると考えても良いでしょう。
奥さんからしてみれば、5000万円の資産と、月40〜50万円の養育費がもらえるので、そんなに贅沢をせずに、地方の実家にでも帰ってしまえば、特別働かなくても暮らしていけてしまいますね。
美容医師の離婚と、クリニックのお金
問題は、美容医師が離婚した際のクリニックの資金をどうするのか、という話になります。
結論としては、財産分与の対象にはなるものの一定のルールがある、という事です。
例えばクリニックが院長1人、看護師2人、受付2人、みたいな少人数の場合は、限りなくクリニックの口座のお金=院長のお金、と認識されます。もちろん働いているスタッフのおかげでもありますから、きっぱり50%というわけにはなりませんが、それでも30〜40%くらいは取られてしまう可能性が高いと言えます。
これって、結構おそろしいですよね(笑)
下手すればクリニックのお金が足りなくなって、経営が傾いてもおかしくありませんから。
しかし逆に言えば、従業員が大量にいて、医師も他に何人もいる場合は、クリニックのお金≠院長のお金と判断され、財産分与の対象になるパーセンテージは減少すると考えられます。
ただ、上場している会社や総合病院ならまだしも、小規模な美容クリニックレベルであれば、おそらくそのようなパターンには当てはまらないでしょう。
美容医師は、離婚の際にはクリニックのお金も吐き出さなければいけない可能性について、理解しておくべきです。
美容医師はiDecoを満額やっておくべき
一方でiDecoは、年金の代わりになるものですから、財産分与の対象にはなりません。節税効果も見込めるので、個人的には美容医師は万が一のことも考えて、満額つまり月6.8万円を拠出しておくべきだと考えます。
仮に満額拠出したとして年間約80万円です。大した金額ではありません。
とはいえチリも積もれば山となります、10年で約800万円、運用益を含めれば1000万円は超えると考えられるでしょう。
節税される金額が半分だとして、400万円が還付されて、その半分は離婚しても手元に残りますから、200万円は残ります。
800万円吐き出して、離婚しても1200万円が担保されるiDecoは、やはり離婚対策としても節税という意味でも、美容医師にとってはかなり有利になる可能性の高い制度と言えます。満額でやりましょう。
美容医師の小規模企業共済は、財産分与の対象
一方で、小規模企業共済については財産分与の対象になります。節税効果はありますが、離婚対策という意味では効果が薄いのが、iDecoとの違いになります。
いかがでしたでしょうか?
一言で言ってしまえば、美容医師が離婚しようとすると、かなり大変です。あまり安易な離婚は勧められませんが、それでも3分の1が離婚する世界です。
離婚を想定して、打てる手を効率的に全て打っておく。これが最善でしょう。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。