皆さんこんにちは。いきなりですが、先生方は散財されますか?
僕は正直、美味しいものを食べたり飲んだりする時と、価値が保存される物を買う時は、割と金額が大きくても使ってしまいます。
特に後者の場合、不動産投資をやっているとわかりますが、バランスシートの資産に組み込まれ、値上がりすれば純資産がグイーンと伸びる図がイメージできてしまうので、なかなか躊躇いがありません。
さて程度の差こそあれ、全くしない、という方はいらっしゃらないと思います。
今回はそんな医師の散財、特に勤務医のサイフの紐についてです。
勤務医は6万円使うのに、10万円稼がなくてはいけない
勤務医こそサイフの紐を締めなければいけない理由は、税金です。
例えば、ちょっと美味しい寿司屋にいったとします。2人で行って、奢ったとしましょう。飲み食いして1人3万円で、合計6万円くらいになりますよね。
この6万円、「6万円なら、まあバイト1回やれば良いか」なんて考えて払ってしまうのが勤務医の先生の脳内だと思います。僕も実際、そうです。
しかしながら勤務医の先生の場合、この6万円は「税引後」の6万円で支払わなければなりませんから、手元に税引後の6万円を用意するためには、10万円くらい稼がなければなりませんよね。
10万円となると、当直バイト2回分くらいでしょうか。
週末の夜2回を削って、時間も健康も削って捻出したお金から、税金を支払って手元に残るのが6万円です。
勤務医の先生は税金が高いので、その分「手元に残す金額」に対して「税引前に稼がなければならない金額」が、普通のサラリーマン等と比べて大きいんですね。
勤務医の先生こそ、サイフの紐を締めなければいけないのは、こういった理由があります。
忙しい勤務医の先生の時間は、他の人よりもさらに貴重です。
週休2日が確約されているサラリーマンと、週休1日が基本の勤務医の先生では、休みや余暇時間の価値が2倍だと言っても良いでしょう。
仮に先生にご家族がいらっしゃれば、ご家族にとって先生と一緒にいる時間が、他の人の2倍は貴重になっているはず。
その貴重な時間を使って、バイトに行くという事はどういう事なのか、よく考える方が良いと僕は思います。
例えば日当直で10万円を稼いだとして、翌日も寝ていたとしましょう。家族との時間はグッと減ってしまいますよね。
ここで失われた時間は、日中2日分(夜はどうせ寝るので)で、稼いだお金は10万円ですが、税引後で6万円です。
一般サラリーマンよりも時間の価値が2倍あるとすれば、休日の昼4日分を削って、6万円を稼ぎ出している事になります。
勤務医の先生が6万円を散財するとき、天秤にかけるのは「自分の時間、健康」だけでなく「家族との時間」も考えてあげましょう。
安易に「バイトすれば良いかな」と考えていると、いつの間にか時間だけ失って、もう戻れない過去を悔いる事になってしまうかもしれません。
勤務医vs開業医、お金の価値は
今まであえて「勤務医」と書いてきましたが、「開業医」の先生の話は別です。
6万円の接待交際費を捻出するためには、条件を満たせば経費で落とせますから、税引前で6万円稼げば、事足りるからです。
10万円を稼がなければならない勤務医とは、話が全く事なります。
しかもこの6万円を稼ぎ出すのは、開業医の先生だけの力ではありません。
働いているスタッフや、関係各所の協力のもと、生み出している利益が6万円になるわけなので、自分の努力100%で稼がなければいけない10万円とは、話が異なります。
開業医の先生がこの6万円を稼ぎ出すのに、必要な時間はもしかしたら3時間くらいかもしれません。あとは、他のスタッフの時間を失わせていますが、それらは給料によって等価交換しています。
一方で勤務医の先生の場合、6万円を手元に生み出すためには、2回ほど当直して10万円を稼がなければなりません。
同じ6万円を生み出すにあたって、税制も異なれば、失われる時間量も異なるため、その価値が相対的に異なるのは当たり前なのです。
開業医の先生からすれば「6万円の寿司くらい別に」と思うかもしれませんが、勤務医の先生からすれば「6万円の寿司!」となって、当たり前です。
これは開業医の先生に限らず、何か別の事業を行なっている先生の場合も同じです。
勤務医の先生こそ、サイフの紐は締めなければいけません。
最後に
いかがでしたでしょうか?簡単にまとめます。
勤務医の先生は、税金が高いので手元に残るお金ベースで考えると、稼がなければいけない金額が大きい。
勤務医の先生は忙しく、時間が貴重であるにもかかわらず、稼がなければいけない金額が大きいと、失われる時間量も大きい。
開業医の先生や事業主と比較して、お金を稼ぐ際に投入しなければいけない「自分の時間」が相対的に大きい。
総合すると、開業医の先生や事業主と比較して、同じ金額を散財するにあたって「実は奪われている時間とお金」が、勤務医の先生は大きいので、サイフの紐は締めなければいけない。
という話でした。
勤務医の先生は、勤務医時代はなるべく散財せず、開業医や事業主になるためのタネとして取っておいて、早めにその立場になってしまった後で、散財する事をオススメします。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。