単なる資産形成の手段としてだけでなく、収入の多い医師の節税対策として注目される不動産投資。勤務医・開業医問わず、不動産投資を検討している医師の方は増えています。
本コラムでは、これから不動産投資を始める方に向けて、最も基本的な考え方をご紹介します。
インカムゲインとキャピタルゲインは両輪と考える
不動産投資を行う上で押さえておきたい考え方に「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があります。インカムゲインとは、資産を保有している期間中に得られる利益のことで、不動産投資の場合は「家賃収入」などの利益を指します。一方、キャピタルゲインとは、保有している資産を売却する際に得られる利益のことです。
不動産投資を行うときは、「売却益だけで儲ければ十分」「月々の家賃が入ればいい」と、インカムゲインとキャピタルゲインを切り離して考えるのではなく、二つのトータルで利益計算をすることが大切と言われています。
なぜなら、どちらか一つだけで利益が出ていたとしても、もう一方でそれを上回るマイナスが出てしまえば、その不動産投資は失敗になるからです。逆に言えば、どちらかでマイナスが出ていても、もう一方がそれを上回るプラスになれば、投資は成功になります。具体例をあげると、3,000万円で購入したマンションが売却時に1,500万円でしか売れなかったとしても、所有している期間に家賃収入などで1,500万円以上の利益が出ていれば、トータルでは利益が出ていることになります。
そのため、不動産投資を考える際は、「安く買って高く貸す、安く買って高く売る」を基本原則として、インカムゲインとキャピタルゲインの両輪を常に頭の中にイメージしながら、戦略を考える必要があります。
三つの投資の指標を常に頭に入れておく
投資する不動産物件を見ていると、自分の好みや気分、勢いで決めてしまいたくなるかもしれません。そんなときは一度冷静になり、「収益力」「担保力」「稼働力」という三つの指標を思い出して、その観点から分析した上で投資するかしないかを決定するようにしましょう。
まず「収益力」とは、検討している不動産物件が生み出す利益のことです。販売資料には「表面利回り(%)」(年間家賃収入÷物件価格×100で計算されたもの)が記載されているケースが多いのですが、投資を考える際には、諸費用や支払う税金なども考慮した「実質利回り(%)」をチェックしなければなりません。
実質利回りは「(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時諸経費)×100」で計算することが可能です。さらに細分化すると、「年間家賃収入-年間諸経費=(月額家賃−月額管理費等)×12カ月−固定資産税−都市計画税」、「物件価格+購入時諸経費=購入価格+仲介手数料+印紙税+司法書士手数料+登録免許税+不動産取得税+ローン事務手数料(+リフォーム費用)」で計算することができるので、必ず収益力を自分で算出して確認するようにしましょう。
続いて、「担保力」をチェックします。担保力とは、その不動産物件がどれだけ担保価値があるのか、融資を受けるに値する物件か、ということです。担保力は土地と建物の資産価値などから判断します。
最後に、「稼働力」です。不動産投資は自分が物件に住むのではなく、他の人に住んでもらい家賃収入を得るものなので、稼働率が高くなければ投資は成功しません。現在は東京都内で働く独身者が増えているため、都内の1Rマンションは稼働力が高いと考えられます。他にも、駅からの距離、スーパーやコンビニが近くにあるかなどの要素によって、稼働力を分析しましょう。
不測の事態に備えたリスクヘッジは入念に
不動産投資を行ううえで欠かせないのがリスクヘッジです。不動産投資は打ち出の小槌ではなく、リスクが確実に存在する投資法なので、リスクを前もって洗い出し、それに対する策を練っておく必要があります。以下では、リスクヘッジの方法をいくつかご紹介します。
<繰り上げ返済>
繰り上げ返済とはローンを組んだときに決められた毎月の返済額に加えて、借入金の一部を返済することをいいます。これがリスクヘッジになる理由は、変動金利でローンを組んでいる場合、金利が上昇する可能性があるからで、そうなると当初の予定よりも返済しなければならない額が増えてしまいます。それを防ぐために、繰り上げ返済をして、少しでも元本を減らしていくことが重要です。
<火災保険・地震保険>
不動産物件を持つということは、火災や地震の被害を受けるリスクを負うことに他なりません。被害が出た場合に自分の持ち出しにするのではなく、保険金が支払われるように火災保険や地震保険に加入する必要があります。最近、日本では台風が巨大化し、ゲリラ豪雨が増えているため、暴風雨で窓が割れるなどの被害が実際に起こっています。
<家賃保証会社>
家賃保証会社は入居者の連帯保証人を代行する会社です。家賃は払われて当然と考えるかもしれませんが、家賃を滞納する入居者が多いと嘆くオーナーはたくさんいます。家賃保証会社と契約しておくと、入居者が家賃未納などのトラブルを起こした際に、入居者に代わって家賃が支払われるので安心です。
<団体信用生命保険>
団体信用生命保険は不動産のオーナーが死亡または高度障害を負った場合に保険金としてローン残債が支払われる制度です。これによってローンは完済となり、家族には負債ではなく、純資産を残すことができます。
まとめ
不動産投資の基本中の基本についてご紹介してきました。すでに不動産投資を始めている人にとっては当たり前の情報かもしれませんが、当たり前のことほど慣れてきたころに疎かにしてしまいがちです。
不動産投資初心者で、これから物件の購入を検討している人なら、上記でご紹介した基本的な考え方を念頭に置いて購入することをおすすめします。
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