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    医師の働き方改革2024とは? 改革のポイントをわかりやすく解説 | 勤務医ドットコム

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    医師の働き方改革2024とは? 改革のポイントをわかりやすく解説

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    2024年4月1日から「医師の働き改革」がスタートします。「医師の働き方改革」とは、政府が主導する医師の勤務環境改善における制度や、それに伴って医療機関などに求められる取り組みの総称です。
    本記事では、「医師の働き方改革」が行われる背景や対象者、改革のポイントについて解説します。専門家のコメントも紹介しますので、参考にしてみてください。

    働き方改革が行われる背景

    近年の日本では、少子高齢化による労働人口の減少や長時間労働の慢性化などが社会問題としてクローズアップされるようになり、全産業を対象にした「働き方改革」が推進されてきました。2018年には「働き方改革関連法」が施行され、長時間労働の抑制や非正規労働者の保護などが図られるようになっています。
    ただ、医師には「応召義務」があり、正当な事由もなく患者からの診察の求めを拒むことは、医師法で禁じられています。たとえ診療時間外であっても、それを理由として急施を要する患者の治療を拒むことは許されません。そのうえ患者への病状説明や血圧測定、記録作成なども医師が行っているため、長時間労働や過重労働は、なかば当たり前になっています。
    時間外労働の上限を取り決める36協定が締結されていなかったり、労働時間を把握する仕組みがなかったりと、労務管理がずさんな医療機関もあります。
    医師には特有の労働環境が存在するため、一般企業と同じルールをそのまま適用するのは困難で、働き方改革の実現も猶予されてきました。
    しかし、医師の自己犠牲的な長時間労働は医療の質と安全性を損なう恐れがあり、優秀な人材の確保や地域医療体制を守るためにも、医師の健康確保やワークライフバランスの実現は欠かせないものになっており、今回の法改正に至るのです。

    医師の働き方改革の対象者は?

    働き方改革の対象となるのは、病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院に勤務する「医業に従事する医師」です。
    産業医、検診センターの医師、裁量労働制が適用される大学研究者など、患者への診療を直接の目的とする業務を行わない医師は、「医業に従事する医師」ではないので対象になりません。時間外労働の上限時間は、医師以外の医療従事者と同じで、一般の業種の労働者と同様の基準が適用されます。

    医師の働き方改革2024のポイント

    ポイント①時間外労働の上限規制

    “時間外労働の上限規制は医療機関と所属する医師の業務によって異なる”

    時間外労働の上限規制は原則として月45時間、年360時間とされています。ただし一般労働者の場合は例外として、年720時間、複数月平均80時間、単月100時間未満の上限が認められています。
    医師の場合は、代えが効かない専門治療や緊急性の高い救急医療などに従事しているケースもあり、一般的な労働者と同じ上限規制に対応するのが難しいケースもあります。そのため、すべての診療従事勤務医に年960時間(休日労働を含む)、月平均80時間の上限を適用するほか、特例として年1860時間の上限も設けられました。
    医師の上限規制はABCの3つの区分に分類されます。
    「A水準」は、すべての診療従事勤務医に適用される水準で、年の上限は960時間になります。
    「B水準」は、地域医療の観点から必須とされる機能を果たすためにやむなく長時間労働となる医療機関の医師です。地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関から派遣される医師は「連携B水準」となります。
    「C水準」も2つあり、長時間集中的に経験を積む必要のある研修医を「C-1」、特定の高度な技能の取得のために集中的に長時間修練する必要のある医師を「C-2」としています。
    A水準以外の医師が所属する医療機関は、労働時間の短縮計画案を作成して都道府県知事の指定を受けなければなりません。

    水準
    対象となる医師の業務
    ​年の上限時間
    ​すべての診療勤務
    ​960時間
    救急医療など
    1860時間
    連携B
    大学病院からの派遣など
    1860時間
    C-1
    臨床・専門研修
    1860時間
    C-2
    高度技能の修得研修
    1860時間

    ポイント②医師の健康確保措置

    “医師の健康確保措置が義務化される”

    時間外労働の上限規制とセットになるのが、健康確保措置の義務化です。健康状態を医師がチェックする面接指導と、十分な休息時間の確保が求められることになりました。
    面接指導では、実施する医師は「面接指導実施医師養成講習会」を受講して修了する必要があります。また厚生労働省はガイドラインで「同じ部署の上司は避けることが望ましい」としており、医師が安心して面接指導を受けられて健康確保につながる体制も求められます。
    休息時間の確保では、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間を設ける仕組みが必要になります。これは原則として2種類あり、始業から24時間以内に9時間の連続した休憩時間と、始業から46時間以内に18時間の連続した休息時間になります。
    休息時間中にやむを得ず働いた場合は、労働時間に相当する休息時間(代替休息)を付与しなければなりません。

    水準
    面接指導
    休息時間の確保
    義務
    ​努力義務
    義務
    義務
    連携B
    義務
    義務
    C-1
    義務
    義務
    C-2
    義務
    義務

    ポイント③タスク・シフティング

    “タスク・シフティング(各職種の専門性を活かしながら医師に集中していた業務を分散させる医療関係職種の業務範囲の見直し)をめざす”

    タスクシフティングとは、各職種の専門性を活かしながら医師に集中していた業務を分散させる医療関係職種の業務範囲の見直しのことです。質の高い医療の提供と医師の負担軽減の実現を目指し、法改正を行いながら進められてきました。
    たとえば超音波検査の場合、現状では医師や看護師が造影剤を注入し、医師や臨床検査技師が超音波検査を行って、医師や看護師が抜針や止血を行っていますが、すべて臨床検査技師が行えるようになっています。医師の指導下での医療補助を前提としていますが、今後も実施可能な医療行為が拡大されていく見込みです。

    医師の働き方改革についての相談窓口は?

    都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センターなどに相談できる

    医療機関での働き方改革を進めるに当たっての困りごとや相談は、「医療勤務環境改善支援センター」が受け付けています。同センターは各都道府県に設置されており、社会保険労務士、医業経営コンサルタントなどから無料で助言、支援を受けることができます。
    厚生労働省は「いきいき働く医療機関サポート Web」(いきさぽ)で、医療機関の勤務環境改善や医師の働き方改革制度について解説しており、こちらも参考になります。

    社会保険労務士からのコメント

    「医師の働き方改革」は、ワークライフバランスを重視したい医師にとってはありがたい制度ではないかと思います。しかし、当直や長時間労働もいとわずに報酬を得たい医師にとっては、結果的に労働時間に対する収入が減ってしまう可能性があり、その点には注意が必要です。
    実際に、SNS等では「医師の働き方改革」について歓迎するドクターと反対派のドクターとで、意見が二分しているように見受けられます。そもそも医師の業務とは、自己の研鑽のため、または医局からの指示のもとで技能を積むための業務なのか、それとも単純な労働なのか、区別が曖昧になりがちな傾向にあります。それゆえに、医師の間でも「医師の働き方改革」の受け止め方がさまざまなのではないかと思います。

    長時間労働が長期化すると、本来の人間らしい働き方が叶えられなくなるだけでなく、精神疾患や労働意欲の減退、バーンアウト(燃え尽き症候群)など、さまざまな悪影響をおよぼします。「医師の働き方改革」が推進されている今こそ、自身の働き方について見直しをされてみてはいかがでしょうか?

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