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    【現役医師連載コラム】医師が知っておきたい「営業」のキホン | 勤務医ドットコム

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    【現役医師連載コラム】医師が知っておきたい「営業」のキホン

    tokyoh@dmin2017

    医師という立場上、営業マンから営業される事は結構あると思います。

    営業というスキルは、実はかなり世の中に広く伝わっており、また高い影響力を持っています。

    例えば、今や高学歴の新卒大学生がこぞって入社したがる、サイバーエージェント。この会社も実は、IT関係のイメージがありますが、元々は営業会社です。創業者である藤田さんの書籍や、旧ライブドアの方の書籍を見ると、よくわかると思います。今も営業という社風は、濃く残っているようですね。

    営業というスキルは、使えば強力です。そして知っていれば、営業される側になった時の守りとしても効果を発揮します。営業の知見を頭に入れておく事で、人生におけるあらゆる営業行為にまつわる、攻撃力と守備力を高める事ができます

    1つの知見で攻守ともにスキルアップする知識は稀有ですので、キホン的な事だけでも覚えておくと良いでしょう。

    医師が知っておきたい営業スキル1、フットインザドア

    医師が知っておきたい営業スキルとして、代表的なものにフットインザドアというスキルがあります。

    英語でfoot in the door、直訳で「ドアに足を挟む」という感じです。

    意味合いとしては、まずは小さいお願いをするという事です。

    最終的にお願いしたい、営業したい内容があったとして、そこまでの距離が遠すぎる場合、いきなりそこを目指しても失敗します。例えば

    「先生!いきなりですがこのエコー買ってくれませんか?」

    と言われても、買いませんよね。そこで

    「先生!この最新エコーは高いので、まずはこのポータブルエコーとかどうですか?この場で決めるのも難しいと思いますので、とりあえずデモ機をお貸ししますから、まずはお試し下さい」

    という感じで、目標よりも低い目標、だけども延長にある行為をお願いする(ドアに足を挟む)のが、フットインザドアです。

    そうしてお願いのレベルを少しずつ上げていきます。

    「ポータブルエコー、とりあえず買いませんか?」
    「次は、例の最新のエコーのデモでもどうですか?」

    そんな形で、少しずつドアに挟む足を大きくしていき、最終的にはゴールを目指します。

    こちらは成功率が高いメリットがあるものの、時間がかかってしまうのがデメリットです。その分、ものすごい無理難題でも、とりあえずはフックがかかります。継続的な関係性が求められるディールでは、有用です。

    医師が知っておきたい営業スキル2、フェイスインザドア

    フットインザドアの反対側に位置している営業スキルが、フェイスインザドアです。直訳で「ドアに顔を挟む」ですね。

    これはまず、目標ゴールに対して明らかに過大なお願いをします(ドアに顔を挟む)。

    そして「いやいやそれは無理です」と断られるのを前提で、徐々に目線を下げて、ゴールをします。

    上記の例で言えば、最終的なゴールが「ポータブルエコーの購入」であれば、まず最新のエコーを提案(フェイスインザドア)し、目線を下げて「じゃあポータブルならどうですか?」という提案をするパターンです。

    逆に、医師がこれを使うとすれば、例えば後輩に何かをお願いする時に

    「ねえ先生、俺の専門医の更新に必要な症例、まとめておいてくれない?あと今度の学会行く?ホテルも取っといて欲しいな…」

    と、モリモリにお願い事をした後、「えっ」みたいな顔をして固まっている後輩に対して

    「すまんすまん!ちょっと頼み過ぎた!とりあえず次の学会の発表資料、作っといてよ!それだけ頼むわ!」

    と、目線を下げたお願いをすると通ってしまう事があります。

    この方法は、短期で決めたい時に使えますが、成功率が低いのが特徴です。当たればデカいですが、外せば収穫はゼロです。フットインザドアのように、フックはかからない事が多いです。短期的で金額が大きいようなディールで、有用です。

    医師が営業スキルを発揮する時

    これらの知識を知っているだけで、少し営業行為に対する防御力が、上がったように思いませんか?どうでしょうか?

    「あー、これ今フットインザドアで、まずはフックかけようとしてきてるなー」
    「おー、これはもう失敗覚悟で、ドアインザフェイスで体当たりしてきてるなー」

    みたいに思えれば、合理的な判断を手助けしてくれるかもしれません。

    さて、逆にこれらの営業スキルを、医師側が使う時はいつなのでしょうか?僕の場合、不動産を購入する時にフェイスインザドアは使います。

    不動産取引の場合、金額が大きく、さらに基本的には反復取引があまりない、一発勝負のディールが多いので、フェイスインザドアは有効です。

    具体的に、例えば売り出し価格5400万円の物件があって、4900万円くらいで買えたら良いなと思ったとしましょう。

    目標である4900万円よりも、無理難題を押し付けるのがドアインザフェイスです。ここは理由をごちゃごちゃとそれっぽくつけて、4500万円くらいで指値をします。

    まずこの値段で、一発で弾かれてしまったらこのディールは終了です。次です。

    もし値段交渉になったら、少しずつ歩み寄ります。

    不「4500万円!?無理ですよ!」
    医「いやーそこをなんとか、本当に良い立地ですし満室ですし、既存オーナー様の愛情が伝わってくる物件ですが、だってホラここがこうでこうこう…」
    不「わかりました、でも4500万円は無理です、5200万円くらいじゃないと」
    医「え?それが限界ですか?」
    不「んー、5100万円ですね」
    医「いやー、4700万円くらいじゃないとキツいです」
    不「いやいや、5000万円割るのは無理ですよ」
    医「じゃあ5000万円ならいけます?」
    不「無理だと思いますが、とりあえずオーナーさんに言えるだけ言ってみます」
    医「わかりました、5000万円でお願いします」

    みたいな感じです。4900万円まではいきませんでしたが、限りなく近づけました。

    実際こんな感じで、ものの数分で数百万が動くのは不動産の世界ではザラなので、営業スキルは必須です。

    攻めにも守りにもなる、何にでも使える営業スキル。医師の皆さんもぜひ、勉強してみてはいかがでしょうか?

    現役医師連載シリーズ


    ▼著者
    大石龍之介
    株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

    URL:https://bluestorage.co.jp/

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