前回の記事<現役医師が警告!こんな不動産業者には注意>に引き続き、今回も不動産投資の注意点についてです。
今回フォーカスするのは、物件ベースです。不動産投資において、物件を吟味する事は当然重要なのですが、吟味をする上で注意しなければいけない、避けなければいけない物件が存在しますので、解説していきます。
特に、このような方は注意しなければなりません。
・とにかく仕事が忙しい
・プライベートの時間はなかなか確保できない
・性格的には、結構せっかちな方だと思う
・あんまり不動産に時間を割きたくない、考えたくない
少しでも「自分が当てはまるかも…?」と思った方は、注意して下さいね。
こんな物件に気をつけろ!一括借り上げ(サブリース)
みなさんは、こんな謳い文句を聞いた事がありませんか?
「この物件は、一括借り上げで、家賃が保証されています。」
「仮に空室でも、借り上げている会社が家賃を補填してくれます。その代わり、借り上げている会社は一生懸命、入居者を探すモチベーションが高まるので、win-winなのです。」
といった具合です。
これをサブリースと呼びますが、サブリースの物件は避けた方が無難です。
一見すると、まるで初心者に向いているようですし、忙しいお医者さんにピッタリな不動産投資なのではないか?と思ってしまいますよね。
しかし、これは罠です。
日本には借地借家法という、借主を手厚く保護する法律があり、借主側がかなり有利です。
この一括借り上げというスキームは、まさに「借り上げ」の文字通り、借り上げる側の会社が、借主になります。
そうすると、借地借家法で法的に保護されるのは、借り上げている会社であって、貸主である医師側はむしろ保護から反対側にいます。
一般的に、借主の方が立場上は弱い事が多いので、成立しています。しかしながら、この場合は立場が逆です。知識も経験も豊富な借り上げ業者が、手厚く保護されてしまいます。
それを利用されると、ある日
「借り上げ家賃、減額のお知らせ」
という、恐ろしい紙が届いてしまいます。
経年でサブリースして貸す家賃が減少してしまうのは、ご理解いただけると思います。それに伴って借り上げ家賃も下げる、つまり不動産投資家に渡されるサブリース料も減ってしまうのは、当然の事なのですが…この減額交渉が、一方的になされてしまいます。
よく考えればおかしな話なのですが、借地借家法を逆手に取ると、こういったおかしな事がまかり通ってしまうようです。
これは、不動産投資の素人では到底、見抜けません。
ある日いきなりサブリース賃料を減額させられてしまったら、恐ろしいですよね。
不動産投資の初心者こそ、サブリース物件は避けた方が無難です。
医師は「不動産について考えたくない」けどやりたい、という人が多過ぎる
そもそもなぜ、医師はこのようなサブリース物件を、買ってしまうのでしょうか?
それはおそらく、医師が「不動産の事はなるべく考えたくない」と思っているからだと思います。
医師は医師の仕事に集中したく、あくまで不動産はサブ。なるべく頭も体も時間も使いたくないのは、痛いほど理解できます。
しかしながら、その気持ちが強すぎると、最終的にサブリースにたどり着いてしまい、痛い目を見る事もありますから、注意が必要です。
こんな物件に気をつけろ!賃料のお化粧物件(AD物件)
もう1つ。賃料にお化粧を施した物件には、お気をつけ下さい。
家賃というのは、相場が必ずあります。
相場から乖離した金額で貸す事も、やろうと思えばできるという事です。
それがこのAD物件です。
ADという名前の広告費を、不動産仲介業者に支払う事で、不動産仲介業者に客付けのモチベーションを高めてもらい、それにより高い賃料でも空室を埋めてもらう方法です。
この方法では、仮に空室が埋まったとしても、もっと安い部屋にすぐ引っ越してしまう可能性があります。
また、ADだけではなく、最近はフリーレントと言って、家賃ゼロの期間を設ける場合もあります。
これは、引っ越しなどの初期費用がかかる入居時に、少しでも負担を減らしてもらい、その代わりに毎月支払う家賃を少し高く取る、というスキームです。
引越しの初期費用を支払えないような入居者であれば、このスキームは輝いて見えるもの。多少家賃が高くても、入居してくれます。
しかし、ADもフリーレントも、どちらも「本来の物件が持っている賃料」からは、高く乖離して貸せてしまうという事にもなり、それは家賃のお化粧です。
そういったお化粧の物件を買うと、痛い目をみます。
例えば、1部屋本当は7万円の部屋を、9万円で貸したとしましょう。月額2万円の差額です。10部屋あれば、月額20万、年間240万円です。
仮に利回り5%で購入するならば、年間240万円の家賃上昇分は、物件価格にして
240万円/0.05=4800万円
と、4800万円も高く買わされる事になります。
しかし、見た目上の利回りは、5%で同様です。利回りが「高くお化粧された家賃」によって、作り出されているわけです。
医師は「賃料の妥当性」さえ、調べようとしないので注意が必要です。
全ては医師の「忙しさ」が原因
医師は忙しい、だからこそ不動産投資は良い。
これはわかります。
しかしながら、全く何もしなくて良いかというと、そうではないと思います。
最低限でも調べる事は調べる。例えば購入する物件の家賃が適正なのか、ポータルサイトでサクッと調べるくらいのことをすれば、数分でわかりますよね。
その努力を怠ってしまうと、賃料の妥当性が判断できず、上記のような賃料のお化粧物件(AD物件)を買ってしまうわけです。
最低でも、知識は身につけたいところです。
とはいえ、具体的な知識をどうやって身につければ良いのか、わからないという方もいらっしゃると思います。
そういう方は、まずは実際に不動産投資を行っている先生に聞いてみるとか、そういったリサーチが有効かと思います。
▼著者
大石龍之介
株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。
URL:https://bluestorage.co.jp/
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