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勤務医向け節税対策のポイント

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    勤務医で年収1000万円~2000万円の抜かりない節税策 | 勤務医ドットコム

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    勤務医で年収1000万円~2000万円の抜かりない節税策

    tokyoh@dmin2017

    働き方改革の一環で「103万円の壁」といわれたパートで働く人の扶養控除の是正をはじめ平均的な所得層向けの所得税の改訂が行われました。一方で1,000万~2,000万円超の勤務医を中心とした医師にとっては大きな増税となっています。ここでは、その問題を学んでみましょう。

    1.課税ターゲットとしてねらわれる高所得の医師

    2018~2020年にかけて以下のような所得税の所得控除についてさまざまな改訂がありました。ここでは、3つの控除について確認していきましょう。

    1-1.配偶者控除と配偶者特別控除

    2018年に働き方改革の長年の課題であった「103万円の壁」が是正され配偶者特別控除が適用される配偶者の収入の上限が141万円から201万6,000円まで広げられています。これにより104万~150万円のパート収入における配偶者特別控除は、38万円(2020年からは48万円)になりました。

    標準的な所得者(仮に300万~800万円とする)への控除は増やして実質減税とする一方、配偶者特別控除が適用される所得は、2018年から所得制限が設定されています。具体的には、900万円超~950万円、900万円超~1000万円以下の2区分では所得階層別に38万円~1万円に漸減する設定になり、1000万円超では配偶者特別控除は適用されなくなりました。

    1-2.給与所得控除

    給与所得控除は、2019年までは従来220万円が最大額でしたが給与収入850万円を超える場合は195万円に減額されています。例えば年収851万円の給与収入の場合、2019年度までは給与所得控除額が205万1,000円でしたが2020年度は195万円です。また年収1,000万円の場合は2019年度までは給与所得控除額が220万円でしたが2020年度は195万円となっています。

    つまり高所得者にとっては増税となっているのです。

    1-3.基礎控除

    すべての所得税納税者に適用されていた基礎控除は2020年度分から48万円になります。しかし所得が2,400万円~2500万円層は、控除額が逓減し2,500万円超では基礎控除がなくなってしまいます。

    例えば年収1,200万円(合計所得1005万円)の場合、配偶者特別控除で38万円、給与所得控除で25万円の合計63万円の控除がなくなり、所得税率は23%、住民税は10%(所得に関わらず一律)の合計33%ですから、2018年以前と比較すると約20万円(63×33%=20.8)の税負担増になります。

    2.年末調整や確定申告で所得控除のモレがないかよく確認しましょう

    前項のように1,000万円以上の収入がある場合は、所得税の累進性に加えて所得控除の適用においてもあきらかに税負担が多い傾向です。税制改正に伴い取りやすいところから税金を取る2重の累進性ともいえるでしょう。そのため該当する人は、年末調整や確定申告で所得控除にモレがないか確認することが大切です。

    以下は、給与所得者が該当する所得控除とポイントを挙げてみました。具体的な節税額を計算するにあたって、以下のケースを想定します。

    【前提条件】
    * 年齢:45歳
    * 年収:1,100万円
    * 家族構成:妻(45歳、専業主婦)、子ども1人(17歳、高校生)
    * 住宅ローン:有(年末残高2,800万円)
    * 社会保険料控除:約126万円
    * 給与所得控除:195万円
    * 基礎控除:48万円
    * 配偶者控除:26円
    * 扶養控除:38万円
    * 生命保険料控除:12万円
    * 地震保険料控除:5万円
    * 所得税額:87万2,500円
    * 住民税額:66万3,000円

    2-1.住宅ローン控除

    2022年12月末までの入居分は、年末ローン残の1%が13年間、基本的に税額控除されます。2014年以降に入居開始した場合、住宅ローンの年末残高の上限は一般住宅で4,000万円、認定長期優良住宅および認定低炭素住宅で5,000万円となり認定長期優良住宅と低炭素住宅は控除金額が多くなるため、モレがないか確認しておきましょう。

    具体的な節税金額
    住宅ローン控除は年末ローン残高の1%が税額控除の対象となります。上のケースでは年末残高が2,800万円ですので、その1%である28万円が税額控除の対象となる訳ですが、所得税額が87万2,500円ですので、そこから28万円を引いた59万2,500円が納めるべき所得税額になります。

    2-2.医療費控除

    一般的な家庭の場合は、「医療費-10万円分」が医療費控除の対象となりますが、以下のようなケースはよく確認しておくことが大切です。

    世帯構成で同居以外の親などで健康保険上の扶養家族になっている人の医療費
    病院での受診より市販薬を頻繁に購入するセルフメディケーション選択の場合の薬局などへの支払い(1万2,000円~8万8,000円)
    入院時や出産時の医療費

    入院時や出産時の医療費などは特に多額になりやすいため、医療費控除の適用可否を慎重に確認したほうが良いでしょう。

    具体的な節税金額
    医療費控除の対象となる医療費は生計を一つにしている人全体の医療費となります。したがって家族で支払った医療費(保険金等による補てん額を差し引いた金額)が15万円だった場合、15万円から10万円を引いた5万円が医療費控除の額となります。そして、医療費控除については所得税および住民税両方に適用されますので、所得税については、課税対象金額が650万円から645万円に下がることから10万円減額され、住民税については5,000円の減額となります。

    2-3.共働き夫婦の扶養控除と配偶者の働き方

    共働き夫婦の扶養控除は、配偶者控除または配偶者特別控除のどちらかが適用されます。しかし先述したように、標準的な所得の場合は適用が拡大されましたが、控除を受ける納税者本人の合計所得額が900万~1,000万円の場合は3段階で控除額が異なっているため複雑です。基本的に配偶者の収入が150万円以上になると配偶者の控除が減ると覚えておくと良いでしょう。

    具体的な節税金額
    では、上のケースで妻が専業主婦ではなく、パートの場合を想定してみましょう。パートの場合、年間の合計所得金額が48万円以上であれば、配偶者特別控除の対象となります。合計所得金額が48万円ということは、給与収入が103万円ということになります。ただし、配偶者特別控除額は、配偶者の収入が上がるにつれ減っていきます。夫の年収が1,100万円の今回のケースでは、配偶者の合計所得金額が48万円超95万円以下であれば26万円の控除を受けることができますが、95万円超100万円以下になると控除額は24万円に下がり、130万円超133万円以下になると2万円となってしまいます。したがって、妻の収入をどのくらいにするかを考える必要があります。

    例えば妻の給与収入が103万円までの場合であれば、配偶者控除額が配偶者特別控除額に代わるだけですので、夫の所得税額に影響はありません。しかし妻の給与収入が200万円となった場合は所得税額にどのくらいの影響があるのでしょうか?

    妻の給与収入が200万円の場合、配偶者特別控除額は2万円となります。そうなると、各所得控除を適用した後の夫の課税所得金額は674万円となり、所得税額は92万500円、住民税は69万3,000円と合計で7万8,000円上がってしまいます。しかし、妻の所得が200万円であることから、妻の所得税および住民税を計算すると所得税2万7,000円は、住民税は6万1,500円です。社会保険料の約30万円を差し引いても161万1,500円が手取り金額となり、夫の増税分よりも家計上の収入が大きく上回ることになりますので、結果的には家計が豊かになることとなります。

    妻の収入によって配偶者特別控除額は下がるものの、家計全体の収入は上がる可能性があることから、配偶者控除額の減少による所得税および住民税の増額分と、妻の可処分所得を比較して検討することが大切です。

    2-4.ふるさと納税(寄附金控除)

    ふるさと納税の仕組みは、住民税として支払う予定額の20%を上限に居住地(住民登録をしている自治体)以外の自治体(都道府県・市町村・特別区)に寄付ができる制度です。自治体は、寄附のお礼として寄附額の30%の返礼品を寄附者へ贈ることができます。2018年度までは寄附に対しての返戻品の率と品物に制限がなかったため自治体間の返礼品競争を招きました。

    その結果2019年度からは30%と変更され自治体の特産品に限定されることになったのです。ふるさと納税における20%の上限額の計算は、「対象年度の住民税額×20%-2,000円」です。例えば給与収入1,500万円で課税所得が1,200万円とした場合、ふるさと納税の限度額は約24万円になります。返礼品は30%ですから、7万2,000円程度の品物になります。寄附した約24万円は、所得税から約8万円、住民税から15万8,000円戻ります。

    具体的な節税金額
    ふるさと納税については、年収そして家族構成によって上限が決まっています。最初に設定した前提条件のケースであれば、上限の目安は18万5,000円となっていますが、今回は18万円の寄付を行ったとしましょう。その際の控除の流れは以下のとおりとなります。

    1.所得税からの控除:(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
     18万円-2,000円×20%=3万5,600円・・・この額が所得税から控除されることとなります。
    2.住民税からの控除(基本分):(ふるさと納税額-2,000円)×10%
     18万円-2,000円×10%=1万7,800円
    3.住民税からの控除(特例分):(ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10%(基本分) – 所得税の税率)
     (18万円-2,000円)×(100%-10%-20%)=12万4,600円
    2および3で計算した合計額の14万2,400円が住民税から控除されます。

    上限額の範囲内で寄附をした場合、自己負担分の2,000円を引いた額が所得税+住民税でまるまる控除され、さらには返礼品が手に入る(つまり2,000円で返礼品が手に入る)という点がふるさと納税のメリットです。

    2-5.iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAで節税をする

    iDeCoやNISAは限度額がありますが、大きな節税効果が期待できる点が魅力です。 iDeCoは、勤務先の年金制度の関係がありDB(確定給付型年金)の場合は月額1万2,000円、DC(確定拠出型年金)の場合は2万3,000円など金額に違いはあります。年間の掛け金はすべて所得控除になるため大変有利です。またNISAとつみたてNISAでは、運用期間中の配当・分配金と元本の評価益が非課税となります。

    そのため節税の手段の一つとして活用している人が増えている傾向です。

    具体的な節税金額
    前提条件のケースで、夫が勤務先の確定拠出年金制度に加入していると仮定した場合、iDeCoに加入し、拠出できる掛金は年額24万円となります。iDeCoの場合、この掛金額全てを「小規模企業共済等掛金控除」に充てることができますので、最終的な所得税額および住民税額は82万4,500円および63万9千円となり、所得税額においては4万8,000円、住民税においては2万4,000円、合計で7万2,000円の減税効果を生むことが分かります。

    ただし、企業型の確定拠出年金に加入している場合、その企業の確定拠出年金の規定でiDeCoへの加入が認められていなければ、iDeCoとの併用はできない点に注意してください。

    2-6.株譲渡・配当・分配金の損益通算

    株式・債券や投資信託を複数の金融機関で保有しておりどちらかの口座で譲渡損が発生している場合は、確定申告で損益通算することができます。また譲渡損が残る場合は3年間の損失繰り越しができるため、確定申告で繰り越しを残しておいたほうがメリットを享受できるでしょう。

    具体的な節税金額
    例えば2つの金融機関にて株式を保有しており、片方の金融機関では100万円の売却益を上げ、もう一つの金融機関で200万円の譲渡損が出たとしましょう。100万円の売却益に対しては20%が課税されるため、20万円を納める必要があります。しかし2つの口座を合わせた損失は100万円となり、本来納める税額は0円となります。その差額の20万円を確定申告することで所得税を減少することができます。

    売却益に係わる20万円については、特定口座であればすでに徴収されている税額ですので、確定申告を行うことで、その20万円が還付されることとなります。

    2-7.災害・盗難等、生命保険料控除・地震保険料控除

    日本列島は、自然災害が多いため、いつどこで災害が発生するか分かりません。万が一災害などで被害に遭った場合は、雑損控除を使うことができます。生命保険料・介護保障保険料・地震保険料などは、それぞれの上限がありますが年末調整や確定申告時にモレないようにすることが大切です。

    具体的な節税金額
    例えば災害によって家屋に300万円の損失が発生し、そのうちの150万円を保険金で補ったとします。その時の雑損控除の金額は150万円から総所得金額(905万円)の10%を引いた額、つまり59万5,000円となります。この雑損控除も所得税および住民税両方に適用されますので、所得税は75万3,500円となり、11万9,000円の減額、住民税は6万円減額された60万3,000円まで下げることができます。

    3.給与所得者の特定支出控除

    給与所得者の必要経費は、給与所得控除があるため、「それ以外の費用は認められない」と誤解している人は多いのではないでしょうか。2012年、2016年に法が改正され業務に関わる以下の8項目の費用については、対象年度の給与所得控除額の2分の1を超える額が給与所得控除後の所得額から控除することができます。

    1. 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
    1. 勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出(職務上の旅費)
    1. 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
    1. 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
    1. 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
    1. 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
    1. 次に掲げる支出(勤務必要経費)
    (1)書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
    (2)制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
    (3)交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

    出典:国税庁

    申告をしたすべての費用が認められると過大な期待はできませんが正当と認められる内容であれば確定申告を出してみるのはいかがでしょうか。

    4.住民税の節税

    株式・投資信託などの譲渡所得や配当・分配金所得は、証券会社との特定口座で源泉徴収されています。所得税では、源泉分離課税と総合課税を選択することができますが住民税では、申告不要制度を選ぶことが可能です。特定口座(源泉徴収あり)では、所得税15.315%(復興所得税を含む)、住民税5%になっています。

    所得税で総合課税を選択した場合、そのままにすると住民税は10%となりさらに5%課税されるため注意が必要です。そのため株式などの譲渡・配当等所得がある場合は、申告不要制度を選ぶことで5%分の住民税が節税できることになります。手続きは、必ず確定申告後に市町村(特別区)の税務課に出向き申告不要の手続きが必要です。

    5.不動産収益事業での節税

    ここまでは守りの節税策でしたが資産運用や資産増加を図る方策の一つが「不動産への投資」です。不動産投資にはリスクもあるため、ここではメリットとデメリットを挙げるに留めます。

    5-1.メリット

    運用益と売却益が得られる
    年金のかわりの収入源となる
    生命保険のかわりとなる
    相続税対策にもなる

    5-2.デメリット

    空き家リスク
    家賃滞納リスク
    価格変動リスク
    借入金と資産評価のリスク

    5-3.節税効果の具体的なシミュレーション

    実際に不動産投資による節税効果を得ることができるのは、その年の不動産所得がマイナスになった時です。

    例えば、家賃収入が年間120万円で、その年のその投資物件に対する経費が300万円かかった場合、その差額180万円を他の所得と損益通算することができます。つまり、給与所得金額である905万円から赤字分の180万円を差し引き、所得税を計算することとなります。その際の課税所得金額は470万円となることから、所得税額は51万2,500円となり、36万円の減額となります。住民税についても同様に18万円の減額となることから、最終的な住民税額は48万3,000円となります。

    6.最低限の税知識をもって賢く節税しましょう

    2020年度からは、標準的な所得層(300万~800万円)にとっては税負担が軽減されますが1,000万円以上の所得層には増税となっています。なぜなら高所得者から課税したほうが最も徴収しやすく反発も少ないからといえるでしょう。そのため対象となった高所得層の人たちは、賢く対応することが求められます。

    例えば所得控除をモレなく申告したり給与所得者の特定支出控除の申告を検討したりするなど取り組んでみてはいかがでしょうか。株式などで資産運用をされている人には、住民税の申告不要制度を活用することも方法の一つです。また不動産運用については、項目の羅列に留まりましたが専門家のアドバイスをもとに検討されるテーマといえるでしょう。

    7.節税に関するQ&A

    Q1:寄付金控除はどれくらい節税できるのか?

    寄付金控除は「その年に寄付を行った額の合計額」もしくは「その年の総所得金額の40%相当額」のいずれか低い額から2,000円を引いた額が所得控除の対象となります。寄付金控除として思い浮かべるのはふるさと納税が多いかもしれませんが、それ以外にも公益社団法人や政治活動に対する寄付も含まれます。例えば給与収入が1,100万円であれば、給与所得は905万円となり、その40%である36万2,000円まで寄付を行うことで、36万円が寄付金控除の対象となります。所得税の場合、課税所得金額における税率が20%の場合は7万2,000円の減額となります。また、住民税からも対象課税所得における税率10%分の3万6,000円が減額されることとなります。

    したがって、目安としては自身の所得税率がどのくらいなのかを把握し、寄付金についても同じ割合が減額されると考えておくとよいでしょう。

    Q2:法人化すると節税できるのか?

    個人事業主が法人化することで、さまざまな費用を経費とすることができます。例えば役員報酬や出張手当、交際費などを経費とすることで、節税効果が生まれます。特に役員報酬を支給することで、個人の課税所得金額を減らし、節税につなげることができるほか、社員の福利厚生を目的とした費用は福利厚生費として経費計上することが可能です。中小企業退職金共済の掛金も全額費用計上できることから、退職金を用意しながら節税することも可能です。ただし、法人化するにあたっては、法人化することによって発生する法人税や法人住民税、社会保険料の負担額の増額分と節税効果を比較して最終的に決めることが大切です。

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