「人生100年時代」という言葉が一般的になってきました。寿命が伸びることは喜ばしいことですが、生活をしていくうえでは、どうしても一定のお金が必要です。つまり、寿命が伸びて老後生活が長くなるほど、老後資金は多めに必要になります。
また、結婚やマイホーム購入、子どもの教育といった「多額のお金がかかるライフイベント」をまだ通過していない人は、その都度、お金がかかります。
このように、老後やライフイベントに備えるためには、資産形成を進めておくことが重要です。しかし、現在は低金利環境なので、お金を銀行に預けておくだけでは、ほとんど資産は増えません(形成できません)。
また、本業が忙しい人は、なかなか資産形成についてじっくり考える時間がないかもしれません。そこで今回は、「ゼロから資産を形成する」という前提にて、本業が忙しい人に向けて、おすすめの資産形成方法をランキング形式で5つ紹介します。
本業が忙しい人におすすめの資産形成方法ランキング5つ
今回のランキングは、「本業で忙しい人がゼロから資産を形成する」ことが前提となっているため、「本業に支障が出ず、なるべく手間がかからず、限られた時間で行えること」がランクインのポイントです。したがって、仮に収益性が高くても、1日中モニターの前に座っている必要があるデイトレードはランクインしません。
あくまで、本業で忙しい人が実用的に行える資産形成方法をランキングにしてみました。それでは早速、第5位から紹介します。
第5位:IPO投資
IPO投資とは、IPO株に投資することです。具体的には、「プライマリーマーケット(公募増資や売出しの公開価格)で購入して、セカンダリーマーケット(公開後の初値など)で売却すること」を指します。
IPO投資は、利益が出る確率が高い投資方法と言われています。なぜならIPOの公開価格は、割安に設定されることが多いからです。これを「IPOディスカウント」と呼ぶこともあります。
「本業が忙しくゼロから資産を形成する人」にIPO投資が向いている理由には、以下のようなことが挙げられます。
・ 2015年以降は東証で年間80~90社がIPOしており、投資のチャンスが多い
・ 1件1件は比較的少額(数十万円程度)の投資となり、大きな元手が不要
・ 投資してから現金化するまでが短い(資金効率が高い)ので、ゼロから資産を形成したい人に合っている
・ IPOの日程は事前に決められているので、作業をする日を予め想定することができる
IPO投資における最大の難関は、「IPO株を手に入れること」です。事前に複数の証券会社に口座を開設しておき、目論見書や情報サイトでIPO株の詳細を確認し、投資に値するIPOの募集には、根気よく手を挙げ続けるようにしましょう。当初はややエネルギーが必要かもしれませんが、慣れれば短時間で、一連の作業を完結できるようになるはずです。
第4位:株式投資(長期保有)
最もポピュラーな投資方法とも言える株式投資が第4位にランクインしました(厳密に言うとIPO投資も株式投資ですが、便宜上、分けて記載しています)。株式投資と一口にいっても、その方法はざまざまですが、今回に関しては、短期間で売買するスタイルではなく、長期保有を前提とした株式投資を想定しています。
長期保有で株式投資を行う際は「その業界や企業の将来はどうなっていくか」という予想が重要です。忙しく働いている人は、本業の知見が銘柄選別の役に立ちます。その業界で長く働いている人は、本人が思っている以上に、株式投資のヒントを持っているものです。
その業界が今後どうなっていくのか、その業界のなかで伸びていきそうな企業はどこなのか。そのような知見をもとに、銘柄を選定し、長期保有していくことがひとつのアイデアです。ただし、インサイダー取引に抵触しないように注意しましょう。
第3位:つみたてNISA
つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。2018年1月からスタートしました。新規投資額は毎年40万円が上限で、非課税投資枠は20年間(最大800万円)です。なお、つみたてNISA自体は制度の名称なので、投資商品そのものではありません。
つみたてNISAで購入できるのは、金融庁が長期の積立・分散投資に適したと認める投資信託のみで、保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)が、購入した年から数えて20年間課税されません。
「本業が忙しくゼロから資産を形成する人」につみたてNISAが向いている理由には、以下のようなことが挙げられます。
・ 毎月少額を積み立てていくための制度設計になっており、ゼロから資産を形成したい人に合っている
・ 金融庁がスクリーニングをかけてくれているため、投資信託を選ぶ工数を圧縮できる
・ 投資で得た利益が非課税になるため、複利効果を発揮しやすく、中長期目線の資産形成と相性が良い
・ 毎月一定額を購入する制度設計なので、売買のタイミングを図る必要がなく、本業で忙しい人でも投資を継続しやすい
なお非課税制度と言っても、投資である以上は、元本割れが発生する可能性があることには注意が必要です。
第2位:iDeCo
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。60歳になるまで掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで掛金を運用します。原則として60歳以降に、掛金とその運用益との合計額を年金や一時金として受け取ることができます。
【積立時】【運用時】【受取時】の3点において、税制上の優遇措置が講じられています。第3位のつみたてNISAは【運用時】の税制優遇しかありませんので、いかにiDeCoが強力な税制優遇制度であるかが分かります。
つみたてNISAと同様に、「毎月少額を積み立てていくための制度設計になっているため、ゼロから資産を形成したい人に合っている」「複利効果を発揮しやすく、中長期目線の資産形成と相性が良い」「売買のタイミングを図る必要がなく、本業で忙しい人でも投資を継続しやすい」ことも特徴です。
ただ、原則として、60歳になるまで資産を引き出すことはできません。iDeCoは老後の資金準備のための制度であり、結婚やマイホーム購入、子どもの教育といったライフイベントへの備えには使えません。また、つみたてNISAと同様に、iDeCo自体は制度の名称であり、投資商品そのものではありません。
第1位:不動産投資
「本業が忙しい人におすすめの資産形成方法ランキング」の第1位に輝いたのが不動産投資です。不動産投資とは、マンションやアパート、オフィスビル、一戸建てなどを投資家が直接的に購入して、他人に貸し出すことで賃料を得たり、転売によって売却益を狙ったりする投資方法です。不動産は高額であることが多いので、一般的にはローンを活用して購入します。
「本業が忙しくゼロから資産を形成する人」に不動産投資が向いている理由には、以下のようなことが挙げられます。
・ 本業が忙しい人は、一般的に本業で一定の収入を得ている人であり、それを信用力としてローンを組みやすい。もしくは、より有利な条件でローンを組むことができる
・ ローンを活用することで、手元資金が少なくても高額の不動産を購入できる(レバレッジ効果を効かせることができる)ので、資金効率が高まる
・ 購入後は、あまり物件管理の工数がかからないため、本業が忙しい人でも無理なく投資を継続できる
・ 入居者への対応、集金、清掃、修繕などは発生するが、信頼できる管理会社を見つければ、それらも委託することができる
ただし、不動産投資には空室リスク、修繕リスク、地震リスク、火災リスク、金利上昇リスク(ローンを活用している場合)などのリスクもあります。
どの資産形成方法においても「何を買うか」が重要
ここまで、「ゼロから資産を形成する」という前提にて、本業が忙しい人に向けて、おすすめの資産形成方法をランキング形式で5つ紹介してきました。結果は以下の通りです。
第1位:不動産投資
第2位:iDeCo
第3位:つみたてNISA
第4位:株式投資(長期保有)
第5位:IPO投資
しかしながら、どの資産形成方法においても「何を買うか」が重要であることは言うまでもありません。どの投資方法で資産形成をするか決めたあとは、「具体的に何を買うか」をしっかりと吟味するようにしましょう。