条件が整った投資向け不動産物件。大きな投資金額となるため、「これは良い買い物になるか?」と自問自答される方も多いことでしょう。
人によっては「賭け」に出る方もいるかもしれません。
でも収益還元法を知っておくと「賭けで物件を買う」というリスクを減らすことが可能になってきます。
客観的に物件の品定めもできるようになります。
ここでは不動産投資における「収益還元法」に着目し、その考え方や計算方法に関してお伝えします。
収益還元法とは?
収益還元法(しゅうえきかんげんほう)は、投資物件として検討している不動産が、将来的にもたらす収益に着目した評価計算式です。
この計算式に当てはめることで、その物件の価格は適正であるかを評価することができます。
金融機関では、アパートローンの申込物件に対して収益還元法を用い、その物件の価格の妥当性を証明しています。
不動産投資家も知識として収益還元法に関して覚えておくことで、自分が投資検討している物件が「買い」なのかを見極める指針のひとつとなります。
収益還元法の種類にはどんなものがあるか?
収益還元法には2つの算定方法があります。
それでは算定方法の具体的な考え方を一つずつ説明してまいります。
①直接還元法(ちょくせつかんげんほう)
直接還元法とは、不動産から発生する1年間の収益(家賃収入など)を還元利回り(その不動産から得られることが妥当な投資利回り)で割り戻し、あるべき不動産価格を決定する計算法です。
還元利回りは検討中の物件の同一エリアもしくは近隣地域から算出するケースが一般的でより近しい評価額を算出することができます。
②DCF法(Discounted Cash-Flow)
当該不動産の保有期間中に得られる純利益と保有期間満了後の売却によって得られると予測される価格を現在価格に割り戻したうえで合計する算出法です。
算出時には金利や売却時の価格も考慮されており、この点は直接還元法との相違点といえます。
それぞれの具体的な内容と計算方法
ここからは、先に挙げた2つの算出法を更に詳しく掘り下げていきましょう。
①直接還元法
収益価格(あるべき不動産価格)=家賃収入÷還元利回り
ここで指す家賃収入とは1年間の家賃収入から必要経費を差し引いた金額です。
収益還元価格を割り出すには、あらかじめ還元利回りを算出する必要があります。
当該投資物件に対する利回りは検討段階で算出不能です。
近隣エリアにある現在賃貸運用中の類似モデルケースから得られる利回りを用いて算出し投影することが望ましいとされています。
例)・年間の純家賃収入 240万円 ・年間経費 40万円 ・還元利回り6.5%
(2,400,000-400,000)÷0.065=30,769,230
ここで導き出された収益還元価格は約3,077万円となります。
ただし、単純に導き出された評価額であり、地域性や都心や地方の差、アパートかマンションか一戸建てかによっても収益額の価値は大きく異なります。
この点を踏まえ検討することとなります。
②DCF法
不動産の証券化に関する鑑定評価法に用いられる計算法です。
これに先述の直接還元法を用いることで適切な開示内容であることを検証します。
計算方法の中には割引率や保有期間、売却価格など専門的な数字や計算手法が用いられるので特殊かつ複雑なものとなりますが、この算出法により直接還元法と比較すれば評価の予測精度が高まるといえます。
収益価格=毎期の純利益における現在価値の合計+復帰価格の現在価値
こちらの計算式に嚙み砕くことができます。
一般投資家がDCF法を用いて不動産評価をすることは少なく、直接還元法だけでもある程度の概要を求めることができます。
ただし、DCF法の概念などが分かれば、金融機関担当者との話題の大筋が読めるようになります。
収益価格を求めることができれば、現在の売り出し価格が投資に見合っているか、将来的に収益を生み出す物件となるのかをある程度予測することが可能となります。
ただし、どんなに導き出された数字が高くとも、周辺地域に集客を見込める商業施設や教育機関、鉄道網等の交通機関がなければ、想定通りの収益が見込めない可能性も考えられます。
様々な要素を鑑みながら投資に見合った物件かを見極めていきましょう。