「節税効果があると不動産投資をすすめられたけど、実際はどうなのだろう」
不動産投資を始めるにあたり、確定申告の際にどれだけの節税効果が見込めるか気になるところではないでしょうか。
今回の記事ではモデルケースを設定し、不動産投資を始めた年の確定申告をシミュレーションしていきます。
(記事執筆時、2018年2月現在の内容で計算しています)
モデルケース
それでは今回のモデルケースです。購入者と物件の情報を次のように設定します。
性別 | 男性(配偶者なし) |
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給与年収 | 2,100万円 |
購入月 | 9月 |
物件種別 | 区分マンション |
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築年数 | 築10年 |
物件価格 | 2,000万円 |
エリア&駅徒歩 | 池袋駅徒歩6分 |
広さ | 23.00平米 |
建物構造 | RC(鉄筋コンクリート 耐用年数47年) |
残存耐用年数 | 37年 |
税務上耐用年数 | 39年 |
管理費・修繕積立金(月額) | 1万円 |
PM管理会社管理費(月額) | 0.5万円 |
表面利回り | 6% |
家賃収入(月額) | 10万円 |
融資期間 | 30年 |
金利 | 3.00%(固定) |
購入方法 | 全額借入/元利均等 |
購入した投資物件は、都内で働く単身者に人気がありそうな物件です。
こちらの情報をもとに、シミュレーションしていきましょう。
所得税のシミュレーション
まずは不動産投資をしなかった場合の納税額を見てみましょう。
※計算を単純にするため、医療費や社会保険料などは考慮していません
①給与収入 | 2,100万円 |
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②給与所得控除 | 220万円 |
③給与所得金額(①ー②) | 1,880万円 |
④基礎控除 | 38万円 |
■課税所得(③ー④) | 1,842万円 |
所得税・復興特別税 | 約467万円 |
※平成25〜49年までの各年分の確定申告において、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)をあわせて納税・申告する
不動産投資をしなかった場合は約467万円を所得税・復興特別税として納税します。
それでは次に、不動産投資を始めた場合を見てみましょう。
家賃収入額(9〜12月分) | 40万円 |
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合計 | 40万円 |
不動産取得税(固定資産税評価額の3%) ※初年度のみ発生 |
15万円 |
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登録免許税(固定資産税評価額の2%) ※初年度のみ発生 |
10万円 |
管理・修繕費(1万円 X 4ヶ月) | 4万円 |
PM会社費用(0.5万円 X 4ヶ月) | 2万円 |
損害保険料(1年分の支払額) | 3万円 |
減価償却費 ※2,000万円を土地1:建物4で按分 1,600万 X 0.026減価償却率 X 4/12ヶ月 (今回は物件価格のみで計算) |
14万円 |
借入金利子 | 25万円 |
司法書士報酬 | 10万円 |
税理士報酬 | 5万円 |
印紙税・交通費・勉強用書籍代ほか諸経費 | 5万円 |
合計 | 93万円 |
A.不動産収入(40万円)ーB.不動産投資にかかった支出(93万円)が -53万円で赤字となるため、不動産投資を始める前に比べて課税所得の金額が下がります。
①給与収入 | 2,100万円 |
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②給与所得控除 | 220万円 |
③給与所得金額(①ー②) | 1,880万円 |
④基礎控除 | 38万円 |
⑤不動産収支 | -53万円 |
①■課税所得(③ー④+⑤) | 1,789万円 |
①所得税・復興特別税 | 約446万円 |
不動産投資をはじめた場合、1年目の所得税・復興特別税は約446万円を納税します。
不動産投資をしなかった場合の467万円と比べると約21万円納税額が抑えられています。
不動産投資をしていない場合と比べると所得税・復興特別税が21万円低くなっています。
所得税率について
ここで、所得税率についてみてみましょう。課税所得にかかる税率と控除額は以下の表となっています。
(国税庁 No.2260 所得税の税率 より)
課税所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0 |
195万円超〜330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 279万6,000円 |
課税所得にかかる「税率」をみると、900万円と1,800万円の2点を境として大きく上がっています。
では不動産投資によって今回のように所得がマイナスになり、このラインをまたぐ結果となった場合、大きく節税ができるかというと、実はそうではありません。
課税所得が①1,800万円と②1,801万円のケースについて実際に計算してみましょう。
②1,801万円 * 40% – 控除額279万6,000円 = 440万8,000円
税率が上がる分、控除額も増えているため、納税額がはねあがるといった結果にはならないのです。
不動産投資の節税に関しては、いくつか方法があります。
不動産投資を始めた翌年以降、家賃収入による所得の増加にあわせて税金は増えます。年々発生する経費や空室によるリスクなどをふまえ、毎年しっかりと利益が出せるよう、不動産投資に取り組んでいきましょう。
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