親であれば誰もが「将来自分の子どもが社会で活躍してほしい」と願うことでしょう。特に富裕層である医師は、子どもに習い事をさせる親が多い傾向です。社交界や実業界にデビューする際に困らないようにするための将来への投資と考えることもできます。富裕層は、子どもにどのような習い事をさせているのでしょうか。
1.富裕層は子どもの習い事に力を入れている
はじめに富裕層は、なぜ子どもの習い事に熱心なのでしょうか。まず基本的に富裕層は「生活に余裕があるため、子どもの教育にお金をかけられる」という経済的要因があります。少子高齢化が進み現代では子どもの数も1世帯に1人か2人という傾向のため、1人の子どもに対してふんだんにお金をかけることができる状態です。
また富裕層の中には会社を経営している人もいます。自分の子どもを後継者に考えている場合、将来に役立つ習い事をさせることは必要な投資といえるでしょう。単にスキルを身につけるだけでなく「人間的にも成長してほしい」という目的もあるかもしれません。習い事は、人との交流があるため、人間関係を学ぶうえでも有意義です。
もう一つセレブと呼ばれるクラスの富裕層は、社交の場に出ることが多くなります。品格を保つには、セレブらしい服装や身のこなしが必要です。大人になって急に身につくものではないため「幼少期からの習い事で品格を身につけさせたい」という願いがあることも想定できます。
1-1.習い事にかけるお金の費用は
富裕層の家庭では、習い事にかけるお金を惜しみません。「生活にゆとりがある」という理由もありますが子どもの能力を高める習い事は、将来の成長に対する投資と考えている傾向です。ベネッセ教育総合研究所の「学校外教育活動に関する調査2017」によると年収400万円未満の家庭が学校外教育活動にかける費用は8,000円でした。一方で年収800万円以上の富裕層では、2万5,000円かけています。
これだけかける費用に差があると富裕層の子どもしか通えない習い事も出てくるでしょう。逆にいえば富裕層の子どもは、ほとんどの習い事に通うことができるため、豊富な選択肢から選ぶことが可能です。
1-2.習い事を決めるうえでのポイント
習い事を決めるうえでの一般的なポイントは「自宅から近いなど教室までのアクセスがよい」「友だちが通っている」「月謝が手ごろな値段」といった理由が多いのではないでしょうか。しかし富裕層の家庭では、一般とは違った以下のような視点で子どもの習い事を決めている傾向です。それは以下のようなポイントです。
・将来社交の場で役に立つか
富裕層の子どもは、成長するにつれて社交の場に出ることも増える傾向です。しかし海外の子どもとの交流の場で英会話ができないとコンプレックスになる恐れがあります。ある程度の年齢になってゴルフやテニス、乗馬などに誘われても「できない」と返事していては次第に交流の場が減ってしまいかねません。そのため「将来社交の場で役に立つか」は、重要な選択ポイントの一つです。
・教養を深められるか
富裕層は、教養の高さも求められます。語学をはじめ音楽や美術、古典芸能など富裕層のたしなみといえる分野の教養を高めておくと交流の場が広がっていくでしょう。特に音楽は、世界共通となるためピアノやヴァイオリン、ギターなどの楽器を演奏できると海外の人とセッションできる場合があります。
・コミュニケーション能力を高められるか
勉強は1人でもできますが習い事は必ず他の生徒や講師との交流が必要です。習い事を通して協調性や人間関係を学ぶことが期待できます。そのため「コミュニケーション能力を高めることができる習い事か」といった視点もポイントの一つです。
・体力の向上に役立つか
スポーツ系の習い事をする場合は、「子どもの体力向上に役立つか」といった視点も大事なポイントになります。体を鍛えるために空手や水泳などを習わせるのはよく聞く話です。富裕層の親も子どもがすこやかに成長して欲しいと願う気持ちは同じといえるでしょう。
2.富裕層におすすめしたい子どもの習い事6選
子どもに習い事を経験させることでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、参考として富裕層におすすめしたい6つの教室のレッスン内容や費用について紹介します。紹介する教室は、子ども向けのため、社会人を対象にした教室に比べると費用の水準は低くなる傾向です。※記載する金額はすべて税込みです。最新の金額と差異がある場合がございますのでご了承ください。
2-1.グローバルな人材に育てるために必須の語学教室
現代は、経済のグローバル化やインバウンドの拡大もあり語学の習得は必須です。外資系企業はもちろん商事会社や貿易会社、航空・海運会社などに勤務する場合、海外クライアントとの交流は避けて通ることはできません。社会人になってから習う人もいますがネイティブな語学力を身につけるには幼少期から慣れ親しむことが理想的です。
一般的には、世界の共用語となる英語の習得を目指す人が多いかもしれません。しかし自分が活躍したい国に合わせてドイツ語やフランス語、中国語、韓国語なども習得するとよりビジネスチャンスが広がるでしょう。また富裕層の家庭では、子どもを海外留学させることがあります。幼少期から語学を習得させておけば留学するときに早く現地の環境に慣れる可能性も高まるでしょう。
良好な人間関係を築く基本は、コミュニケーションです。そのため語学教室は最適の場所といえます。月謝は5,000円~1万円程度です。
<参考>おすすめの子ども向け語学教室
教室名:東進こども英語塾
内容:有名な「セサミストリート」を使って開発された英語教育プログラムでレッスンを行います。エンターテインメント性があり楽しく英語で考える力を養えることが魅力です。レッスンの最初と最後にスピーキングタイムがあり子どもたちが無理なく自然に話に入っていけるように工夫されています。
【受講費用】
入学金:8,800円(兄弟で入学する場合は半額)
年間教材費:5,500~1万1,000円(コースで異なる)
月謝例:
[幼児(レッスン時間50分)] 9,900~1万9,800円(週1~2回)
[小学生(レッスン時間60分)] 9,900~1万9,800円(週1~2回)
※東京・渋谷1丁目教室におけるレッスンの場合。学費は、教室やコースによって異なります。
2-2.情操教育の定番で根気を養う音楽教室
情操教育の定番といえば「音楽教室」です。ピアノ教室が一般的ですがギターやヴァイオリンなどの弦楽器やフルート、トランペットなどの管楽器、ドラムスやマリンバなどの打楽器まで実に多くの楽器があります。音楽は、かなり根気のいる習い事です。楽譜の読み方を覚えるだけでもある程度時間がかかります。
また弦楽器であれば指にタコができるぐらい弾きこまないと弦を押さえることにも慣れないでしょう。音楽教室は、根気を養うだけでなく左右の脳をバランスよく育てることにも向いているため、理解力や記憶力を養うことにもつながります。音楽教室は大きく分けると「総合音楽教室」と「専門音楽教室」の2つです。
ヤマハ音楽教室に代表されるような総合型は、1つの教室でピアノやギターなどさまざまな楽器のレッスンを行っています。一方の専門型は、特定の楽器に絞ってレッスンを行う教室です。他に講師が直接自宅を訪れる出張レッスンというスタイルもあります。富裕層は、出張レッスンが多いかもしれません。月謝は級が上がるにつれて高くなる仕組みでピアノ教室の場合5,000円~1万円程度です。
ピアノの出張レッスンは30分1万円、60分2万円程度になります。
<参考>おすすめの子ども向け音楽教室
教室名:カワイ音楽教室
内容:ヤマハ音楽教室と同じく楽器メーカーが運営する音楽教室。1~4歳を対象にした「リトミックコース」は、グループレッスンで五感を使った活動で想像力や感性を育みます。3歳以上を対象にした「ピアノコース」は、個人レッスンで楽しく無理なくピアノが弾けるようになることを目指すコースです。4歳からは、カワイが開発したオリジナルテキスト「サウンドツリー」を使ってレッスンを行います。
【受講費用】
入会金:5,500円
運営管理費:毎月220円
月謝例:
[3歳ソルフェージュ(レッスン月3回)] 6,600円
[4歳からのピアノ(年間40回)] 7,700円
[小学生からのピアノ(年間40回)] 7,700円
※Studio19(横浜市神奈川区)におけるレッスンの場合。月謝や運営管理費は、教室やコースによって異なります。
2-3.セレブらしさを身につける乗馬クラブ
セレブの習い事といえば「乗馬クラブ」といわれるほどブリティッシュスタイルの乗馬服に身を包み颯爽と闊歩する姿は絵になります。セレブらしい落ち着きと優雅な身のこなしを習得することができるでしょう。乗馬の特徴は、相手が動物という点です。「自分の態度や行動が馬にどのような影響を与えるか」を見ることによりコミュニケーション能力を養うことができます。
当然、動物への愛護精神も育まれるでしょう。幼少期から動物との触れ合いを持つことは、子どもの精神的な成長にプラスとなります。会員制の乗馬クラブには、子ども向けのジュニア会員コースがあり18歳までのジュニアクラスで入会金22万円、月謝2万8,600円(「八王子乗馬倶楽部」の例)という料金です。
<参考>おすすめの子ども向け乗馬クラブ
教室名:WILL STUD(ウィルスタッド)
内容:埼玉県東松山市にある子ども乗馬教室です。3歳くらいから中学生以下の子どもを対象にレッスンを行っています。用意されているコースは、3~10歳程度が対象です。小さなポニーに乗ってレッスンを受ける「エンジョイコース」と10歳くらいから中学生までが対象で大きいポニーまたは会が所有する馬に乗ってレッスンを受ける「スポーツコース」があります。
【受講費用】
入会金:各コースとも7,700円
月謝例:
[エンジョイコース(各時間定員5名)] 8,000円(週1回)、1万2,000円(週2回)、2万円(フリー)
[スポーツコース(各時間定員3名)] 1万2,000円(週1回)、1万7,000円(週2回)、4万5,000円(フリー)
2-4.実業界デビューに備えるゴルフスクール
将来実業界にデビューする際、ゴルフの習得は欠かせない要素の一つになります。テレビのニュースでも米国大統領と日本の首相がゴルフに興じる場面を見たことがある人も多いのではないでしょうか。他にも著名な実業家同士がゴルフを通じて友好を深めることも少なくありません。ゴルフは、富裕層の代表的な趣味として時代に左右されない人気があります。
音楽のような一般的な趣味ではありませんが「ジュニアゴルフスクール」もあります。ジュニアと名がついていてもゴルフ練習場で行うわけではなく本物のゴルフ場でレッスンを行う本格的なスクールです。料金は「キッズゴルフ」の例で入会金3万円、月謝が月2回のコースで3万8,000円かかるため、やはり富裕層向けの習い事といえるでしょう。
<参考>おすすめの子ども向けゴルフスクール
教室名:KIDS GOLF by GDO
内容:ゴルフダイジェスト・オンライングループが運営する小中学生向けゴルフスクールです。「自分の力で18ホールのラウンドができるようになること」をコンセプトに本物のゴルフ場でレッスンを行います。家族でゴルフができるイベントも開催されるため、ゴルフが好きな家庭におすすめのスクールです。
【受講費用】
入会金:ラウンドレッスン3万3,000円、練習場レッスン1万1,000円
月謝:
[ラウンドレッスン月1回コース] 2万900円
[ラウンドレッスン月2回コース] 4万1,800円
[練習場レッスン月4回コース] 1万3,200円(ラウンドレッスン会員が利用の場合は月4回コース1万1,000円)
2-5.伝統芸能を世界に伝える日本舞踊
海外のセレブは、子どもにバレエを習わせる親が多い傾向です。日本では「日本舞踊」が該当します。日本の伝統芸能となる日本舞踊は、単に踊りだけでなく礼儀作法や浴衣の着付けなども学ぶことが可能です。生け花と同様に日本舞踊も流派があるため、同じ演目でも踊り方が異なる場合があります。そのため入門する前に流派について調べておくと安心です。
グローバル化が進むこれからの社会では、外国人の前で披露する機会も増えるかもしれません。月謝は、グループの稽古で1万~2万円、個人レッスンで2万円程度です。ただし日本舞踊の場合は着付けが必要で発表会に出演する際は10万円以上の費用がかかる場合もあります。名取や師範などの資格を取るときも家元に費用やご祝儀を納めなければなりません。
優美な世界ですが今回紹介した習い事の中では総費用がかなり高めとなるため、発表会まで出演することを考えると、富裕層でなければ難しい習い事といえそうです。
<参考>おすすめの子ども向け日本舞踊教室
教室名:藤間恵都子・藤間翔央日本舞踊教室(藤間流) 子供の日本舞踊教室
内容:有名流派藤間流の日本舞踊教室です。「日舞っ子(にちぶっこ)教室」と題した小学生以下を対象にした教室があります。藤間翔央講師との個人レッスンで踊りだけでなくあいさつや扉の開け閉めなどの所作も学ぶことが可能です。持ち物は、浴衣・帯・白足袋ですが入門時に扇子が支給されます。教室は、保土ヶ谷教室(横浜市保土ヶ谷区)と高津教室(川崎市高津区)の2ヵ所です。
【受講費用】
入門料:1万円
月謝:8,000円(月3回、1回30分程度、小学生以下)
2-6.護身術を身につける空手も人気
海外セレブを中心に子どもに「空手」を習わせることが人気です。日本と違い海外では「セレブが犯罪の標的になることが多い」という事情があります。本人のみならず子どもが誘拐されるリスクを考えるセレブが多いのでしょう。空手は、護身術に役立つ習い事のため、日本でも今後習わせる親が増える可能性もあります。
体力の増強になるほか、あいさつや集中力、落ち着きなども身に着つくことが期待できるでしょう。空手道場でも子どもの育成に力を入れており多くの道場で「子どもクラス」を導入しています。月謝は、5,000円~1万円程度です。
<参考>おすすめの子ども向け空手教室
教室名:極真会館KID’Sクラス
内容:幼稚園から小学校高学年までを対象にした子ども向けクラスです。ケガ予防のための柔軟体操、伝統的な基本稽古、移動稽古、型稽古、2人1組のミット稽古などを行い最後にスパーリングがあります。スパーリングは、安全面を考慮して手足にサポーターを着用して行うので大ケガの心配はありません。
【受講費用】
入会金:1万1,000円
月謝:7,700円(家族会員6,600円※複数の子どもが入会の場合それぞれが6,600円)
極真空手道着:8,800円
※別枠実施の選手稽古への参加料金が月謝のほかに2,160円かかります。
3.最後に
ここまで富裕層が力を入れている子どもの習い事について紹介しましたが乗馬・ゴルフ・日本舞踊とそれ以外で月謝や総費用は二極化しています。しかしいずれの習い事も身につけて損のないものばかりです。将来への投資と考えて子どもの個性に合った習い事を見つけてみてはいかがでしょうか。
※記事中で紹介した月謝等の費用は一例のためスクールによって異なります。参考までにお考えください。
4.富裕層の習い事に関するQ&A
Q1:どうして富裕層は子どもに習い事を受けさせようとするのか?
富裕層は、ビジネスやさまざまな活動を通して人との交流が多い傾向です。将来子どもが社交の場に出たとき困らないように特技や教養、マナーなどを小さいときから養うことを考えています。もちろん英会話やパソコンなどビジネスのスキルアップに役立つ習い事もありますが基本的に富裕層としてふさわしい豊かな人間性を育むことが目的と考えてよいでしょう。
Q2:習い事を決めるポイントは?
子どもには個性があるため、習い事も長続きしそうなものを選んであげることが大事です。先に紹介した習い事を決める4つのポイントに合う習い事の中から子どもの個性にあったスクールを選ぶとよいでしょう。体験入学を実施しているスクールもあるため、子どもと実際に体験して決めるとより長続きする可能性が高くなります。
Q3:富裕層の子どもにおすすめしたい主な習い事は?
将来社交の場に出たときに役立つ習い事としては、英語などの語学、ゴルフ、テニス、乗馬などが挙げられます。また特技として習得したい習い事としては、ピアノ、ヴァイオリンなどの楽器演奏、感性を養うための絵画などです。富裕層らしい優美さを身につけたいなら日本舞踊のほかにバレエもよいでしょう。セレブの子どもらしい護身術を身につけるなら空手、合気道なども有効です。
意外なところでは、2020年から小学校でプログラミングが必修化されたことでレゴを教材にしてプログラミングを習えるレゴスクールも人気になっています。