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    【現役医師連載コラム】勤務医の年収減少、要因と対抗策は? | 勤務医ドットコム

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    【現役医師連載コラム】勤務医の年収減少、要因と対抗策は?

    tokyoh@dmin2017

    勤務医の年収が、少しずつ減少していくのでは無いか、と僕は個人的に思っております。

    今からお医者さんになろうとしている学生さん、研修医や若手の先生には、大変心苦しいのですが…おそらく避けられない未来かと思います。

    「せっかく医学部に入ったのに、なんて事を言うんだ!」
    「医師免許取ったら、それでオッケーじゃないのか…」

    とお怒りの声が聞こえてきそうですが…

    そこは抑えて頂き、勤務医の年収が減少する理由と、その対策について、僕なりの意見を述べていきたいと思いますので、ぜひ最後まで読んでください。

    勤務医の年収減少要因1、労働時間規制

    医師の働き方改革により、医師も労働時間が厳しく制限されるようになりました。

    確かに、最近の病院では

    ・ 医師もタイムカードをしっかり切る
    ・ 残業申請を紙やシステムで、きっちり行う
    ・ 上司に残業を揉み潰されないように、配慮されている

    など、医師の残業時間について正確に計測し、残業代を支払うという事を意識した制度・システムが構築され始めている印象です。

    伴って、医師の給与体系には2つ大きな変化がありました。

    1つめは、残業代を申請していなかった医師の、給料増加です。

    今まで残業が多く、時間外の呼び出しが多くても、残業代の申請を揉み消されていたりした、多くの若手医師にとっては、前と比べると残業代をしっかり計算に入れる事ができるようになって、給料が増大したと思われます。

    2つめは、残業代の申請をしっかりしていた上級医の給料減少です。

    一応、部署としてそれなりの役職についている上級医であれば、残業代を申請する事は特別ハードルが無いように思えますが、働き方改革によって労働時間の規制がかかると、今度は労働時間そのものが減少し、結果的に給料は減ってしまう現象が起きています。

    医師の労働時間規制に関しては、基本的にはポジティブな面もありますが、中には

    ■ ガンガン働きたい!もっと医師として研鑽を積みたい!患者さんを助けたい!

    という、使命感に燃える若い医師の、やる気を削いでしまうような内容であるのも事実です。また中には

    ■ 残業しまくらないと、症例を捌ききれない…結果的には残業しなかった事にして、残業しているから意味がない

    という、人手が足りていないエリア、科では、むしろ労働環境が悪化しているという現象も起こってしまいそうです。

    一律に規制するのではなく、本来禁止するべきなのは

    ■ 医師が過剰に働く事

    ではなくて

    ■ 医師が無給で過剰に働かされる事

    です。

    残業代がしっかり出るような仕組みに構築するのが、デメリットをそれほど享受せずにメリットを多く享受するための、唯一の方法だとは思うのですが…

    残念ながらそうはなっていませんでした。

    これからは、ガンガン働いて稼ぎたい医師も、なかなかそうさせてくれないという時代がやってきそうです。

    勤務医の年収減少要因2、人口減少

    人口と勤務医の年収は、どういう関係があるのでしょうか?

    仮説として「人口が減ると、医師の給料が下がる」という仮説を、証明していこうと思います。

    それを探るために、まずは「都道府県別、人口あたりの医師数」を見てみます。

    引用:都道府県別医師数<https://todo-ran.com/t/kiji/10343>

    東京や福岡などの都市部を除くと、人口あたりの医師数が多いエリアは

    ・山陰地方
    ・四国地方
    ・北陸の一部
    ・和歌山
    ・秋田
    ・佐賀

    という事がわかります。

    仮説が正しければ、これらのエリアの医師の平均年収は、低いはずです。

    都道府県別、医師の平均年収を見てみましょう。

    医師の平均年収は1200〜1300万円程度ですが、これを大きく下回る都道府県がいくつかあります。平均年収が900万円を下回る、つまり1200万円の−25%以下の平均年収しかない都道府県は

    ・ 秋田
    ・ 富山
    ・ 和歌山
    ・ 鳥取
    ・ 島根
    ・ 広島
    ・ 佐賀

    でした。

    引用:賃金構造基本統計調査:<https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html>

    概ね上記の「人口あたり医師数が多い県」と、かぶっています。

    これは「人口が減少する、つまり相対的に人口あたり医師数が多くなると、医師の給料は下がる」という仮説を、肯定するデータだと言えるでしょう。

    例外的なのが、四国地方です。医師が相対的に余っていながらも、医師の平均給料はそれなりに高いままのようです。

    これは憶測ですが、もしかしたら医師の平均年齢が高いのかもしれません。若手医師よりも上級医の方が、給料は高く設定されています。もし今後、四国でも医師の新陳代謝が進めば、少しずつ医師の給料は四国で低下していく可能性があります。

    勤務医の年収減少に、少しでも対抗するためにできる事

    勤務医の年収減少要素を2つあげました。これらに少しでも対抗し、勤務医をしながらも年収を保つためにできる事は何でしょうか?

    まず1つめは、しっかり働いて残業代をもらう事です。

    厳密には、順番が大事です。まず残業代がしっかり出る病院、環境を選ぶ事。その上でバリバリ働けば、当然ながら年収は上がります。

    そして2つめは、場所を選ぶ事です。

    上記のように、過疎化が進行しているエリアでは、医師の年収減少が既に始まっています。いずれこの波は、今はまだ波及していない地方のエリアにまで及び始めるでしょう。実際、データを見ると広島だけ、それなりの都市部ではあるものの平均給料が低いままです。これは「始まり」なのかもしれません。

    そうなる前に、なるべく過疎化が進行しにくそうで、かつ対人口あたりの医師数がそれほど多く無いエリア。具体的には東海地方周辺などに、移住してしまう。これも労せずして勤務医の年収減少に対抗するための、有効な手段になり得ると言えるでしょう。

    現役医師連載シリーズ


    ▼著者
    大石龍之介
    株式会社ブルーストレージ代表取締役。医師としてクリニックに勤務しながら、不動産投資家としても活動している。

    URL:https://bluestorage.co.jp/

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