「医学部に強い高校」というものがあります。これは文字通り卒業生の医学部への進学率が多い高校のことを指します。そこで今回は全国のランキングと、地域別医学部進学率の高い高校について各地域の上位3位までを紹介し、そこから読み取れる傾向を分析します。
まずは全国ランキングの一覧を紹介します。
1位:東海高校(愛知/私立)、2位:洛南高校(京都/私立)、3位:開成高校(東京/私立)、4位:久留米大学附設高等学校(福岡/私立)、5位:ラ・サール高校(鹿児島/私立)、6位:桜蔭高校(東京/私立)、7位:愛光高校(愛媛/私立)、8位:灘高校(兵庫/私立)、9位:海城高校(東京/私立)、10位:豊島岡女子学園高校(東京/私立)、11位:南山高校(愛知/私立)、12位:四天王寺高校(大阪/私立)、13位:渋谷教育学園幕張高校(千葉/私立)、14位:滝高校(愛知/私立)、15位:白陵高校(兵庫/私立)、16位:聖光学院(神奈川/私立)、17位:麻布高校(東京/私立)、18位:熊本高校(熊本/私立)、19位:智辯学園若山高校(和歌山/私立)、20位:大阪星光学院(大阪/私立)。
有名私立高校の名前がずらりと並ぶ結果になっています。やはり有名進学校は強いですね。続いて、地域別のランキングを紹介します。
地域別医学部進学率の高い高校トップ3
・北海道・東北エリアのランキング
1位:仙台第二高校(宮城/公立)
2位:山形東高校(山形/公立)
3位:盛岡第一高校(岩手/公立)
・関東エリアの医学部進学率の高い高校トップ3
1位:開成高校(東京/私立)
2位:桜蔭高校(東京/私立)
3位:海城高校(東京/私立)
・中部エリアの医学部進学率の高い高校トップ3
1位:東海高校(愛知/私立)
2位:南山高校(愛知/私立)
3位:滝高校(愛知/私立)
・近畿エリアの医学部進学率の高い高校トップ3
1位:洛南高校(京都/私立)
2位:灘高校(兵庫/私立)
3位:四天王寺高校(大阪/私立)
・中国・四国の医学部進学率の高い高校トップ3
1位:愛光高校(愛媛/私立)
2位:岡山白陵高校(岡山/私立)
3位:広島学院高校(広島/私立)
・九州・沖縄エリアの医学部進学率の高い高校トップ3
1位:久留米大学附設高等学校(福岡/私立)
2位:ラ・サール高校(鹿児島/私立)
3位:熊本高校(熊本/公立)
全国ランキングから分析できることとして「関東、近畿地方は医学部志向が高い」ということがわかります。全国20位のうち、関東地方が7校、近畿地方が6校ランクインしていて、この2つの地方で65%を占めています。
中高一貫教育体制は医学部進学に適している
東海高校は、11年連続でトップの座についています。ただ、驚くべきことに東海高校は医学部進学に特化した教育プラグラムを設けているわけではないそうです。生徒の自主性を重んじる教育方針を打ち出していて、生徒が主体的に勉強した結果、自然に医学部進学者が多いというわけです。
なぜ、医学部進学に特化した教育プログラムを実施していないにもかかわらず、多くの医学部進学者を輩出することができるのでしょうか? ランキングをじっくり見てみると、見えてくるものがあります。
ひとつは「中高一貫校」の教育体制です。トップの東海高校をはじめ、灘やラ・サールなどランクインした高校の多くは中高一貫体制をとっています。中高一貫体制のメリットは、高校受験がないため、中学に入学した13歳のときから医学部受験をする18歳まで、切れ目なく勉強をすることが可能で、特に私立の場合は学習指導要領の制約がないため、高校2年生までに高校の全てのプログラムを終えることも難しいことではありません。
そうすると、大学受験イヤーである高校3年の1年間は、医学部志望者は全て医学部受験だけを考えて対策を練り、ピンポイントの勉強に打ち込むことができます。高校3年までカリキュラムが残っている高校生と比べて有利なことは明らかです。
ちなみに、中高一貫の進学校は公立高校と比べて、受験にかける教科の学習時間を約1.5倍設けているともいわれています。そのため、差がついてしまうのは本人の能力や努力だけのせいとはいい切れない現実があるのです。
同級生と切磋琢磨する環境
もうひとつは「学生寮」です。
例えば有名な進学校のラ・サールや愛光などは寮を設けていて、これが受験に一役買っていると言います。その理由は、学生寮に入ると、周囲も医学部進学などの高い目標をもって日々勉強をしているため、教師から言われなくても同級生の姿を見て自然と勉強する習慣ができるからです。
勉強が習慣化してしまえば、学力はどんどん伸びていくものです。
まとめ
本人の努力が最も重要であることはもちろんですが、医学部進学を果たすためには「医学部に進むための環境」を整えてあげることが大切かもしれません。本気で子どもを医学部に入れようと思ったら、高校から考えるのではなく、中学1年生からその勝負はスタートしていると考えてよいでしょう。