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    男性医師でも育休の取得は可能? | 勤務医ドットコム

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    男性医師でも育休の取得は可能?

    tokyoh@dmin2017

    女性対象の制度というイメージがある「育休」。子どもは男女のペアである両親から生まれるのですから、男性が育休を取得してもおかしくないはずですよね? 昨今では、男性も育休を取得しやすくなりつつありますが、実際、医師の世界ではどのようになっているのでしょうか? そこで今回は男性医師の「育休」について解説します。

    男性医師の育休取得の現状

    育休とは「育児休業」のことで、「1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、会社に申し出ることにより、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間、育児のために休業できる」という制度です。ただし、雇用された期間が1年未満、1年以内に雇用関係が終了する、週の所定労働日数が2日以内に該当する場合は、育休を取得することはできません。
    これは厚生労働省が示す資料「あなたも取れる! 産休&育休」に記載された内容で、そこには「男女労働者」と明記されているため、男性医師も条件を満たせば育休を取得することは可能です。ちなみに、育休の期間中は、育児休業給付金(原則として休業開始時の賃金の50%)を受け取れて、さらに社会保険料が免除されます。
    では実際に、男性医師の育休取得の現状を見てみましょう。日本医師会の「日本共同参画についての男性医師の意識調査」によれば、「育児休暇は取得していない」97.4%、そもそも取得について「考えたことがなかった」82.6%、育児の分担について「まだ足りないと思う」54.4%、「まったくしていないと思う」24.5%という結果になっています。
    つまり、男性医師で育休を取得したのは、たったの2.6%。大半の男性医師は育休を取らずに、働き続けるという選択をしたことがわかります。

    男性医師が育休を取得することに賛成の意見

    男性医師が育休を取得することに対しては、「賛成」と「反対」、両方の意見があります。まずは賛成側の意見から見てみましょう。

    育休を取得して現場に復帰した男性医師のAさんは「育休から復帰後に部下から相談される機会が増えた」と、そのメリットを話します。「小さな子どもには話してもわからないことが多々あるので、ルールやしつけを教育するのは本当に大変でした。でも、しっかり子どもと向き合って、ゆっくりと理解を進めようと根気よく努力すると、ちゃんとわかってくれるんです。この経験を経て現場に戻った僕は、部下とも以前に増してじっくりとコミュニケーションを取ることを心がけるようになりました。その結果、部下の方からも相談されることが多くなりましたね」。
    同様に職場復帰した男性医師のBさんは「仕事の効率が上がった」と言います。「育休で家にいる間は、仕事から離れて、客観的に職場のことが見られるようになりました。育児は忙しい毎日なので、食事、風呂、寝かしつけと効率よく行うことが求められます。その観点から職場を見たときに、もっと効率よくできる部分があると気づいたんです。それを育休中に資料にまとめて職場復帰の際に発表しました。その結果、仕事の効率が上がったとみんなからも感謝されています」。

    男性医師が育休を取得することに反対の意見

    一方の反対意見も見てみましょう。
    「職場は仕事をする場所で、医師は患者が待っているのだから、“家庭の事情”をもちこむことは男も女も許されないと思います。特に医師の仕事は高度なスキルが必要で、代替が難しい存在。どうしても家庭を優先したいのであれば、正規職員ではなく、アルバイトや臨時職員になるなどを考慮すべき」
    「周囲にどのような影響を及ぼすかを考えてほしい。深夜休日勤務がある医師は1人抜ければ、それをまわりのメンバーがサポートしなければならないため、1人が育休をとれば同僚が疲弊します。女性医師が産休、育休で抜けてただでさえ忙しいのに、男性医師も育休を取られたらもっと大変になります。医師は患者に対する責任があるので、妊娠したから育休を取るというのはとんでもない話だと思います」

    男性医師が育休を取得できる環境作り

    賛成意見、反対意見のどちらもあり、「どちらが正しい、間違っている」という話ではありません。そこにはお互いの本音が出ているので、広い視点でみれば、そこに「解決のヒントが隠されている」とも考えられます。厚生労働省が示すように、育休は男女労働者に与えられた権利なので、取得しやすい環境を整えてあげれば問題は解決するはずです。
    反対意見として挙がっていることは「周囲に迷惑がかかること」です。産休、育休の医師が出た場合に、素早く代替医師を用意する仕組みができあがればよいのですが、一朝一夕にそれは実現するものでもないでしょう。
    そうなると、まず個人でできることは、自分のいる職場で話し合いの場をもつことです。「男性の育休取得についてどう考えるか」というテーマで話し合ってみたり、実際に育休を取得した医師を事例としてケーススタディをしたりして、自分の職場だったらどのような対応を取れるかと考えてみることもできます。
    育休を取得しやすい環境が整わなければ、日本の少子高齢化の加速は止まらないでしょう。やれることからはじめてみることをおすすめします。

    まとめ

    男性医師が育休を取得できないのは、「人手不足」という医療現場の現状に起因しています。とはいえ、女性も第一線で働くことが当たり前になった現在では、子育てを女性だけに任せ続けることは健全とはいえません。個人、一病院単位ではなく、社会全体として男性医師が育休を取得できる環境作りをすることが重要です。

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